プーチン氏、ワグネルの指導者たちは「ロシアの窒息」意図と非難 反乱めぐり演説
ジェイムズ・グレゴリー、サラ・レインズフォード

画像提供, Reuters
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は26日、週ロシア政府に対する反乱を起こした民間雇い兵組織ワグネルの指導者たちについて、「血なまぐさい激しい衝突でロシアが窒息すること」を望んでいたと非難した。
プーチン氏は短い演説で反乱を痛烈に非難し、反乱を組織した者を「裁く」と誓った。一方で、ワグネル部隊については「愛国者」だとし、ロシア軍に加わるか、ベラルーシへ移動するか、あるいは自宅に戻るか、いずれも認めるとした。
プーチン氏は演説でワグネルの名前は何度か口にしたものの、ワグネルを率いるエフゲニー・プリゴジン氏については直接名指しはしなかった。ワグネルはロシアが侵攻を続けるウクライナで、正規のロシア軍とともに戦ってきた。
他方でロシア連邦保安庁(FSB)は27日、反乱参加者は起訴しない方針を改めて示した。
プリゴジン氏は26日、プーチン氏の演説に先立ち、音声をメッセージアプリ「テレグラム」に投稿し、自分はプーチン政権の転覆を図ったわけではないと主張していた。24日に占拠したロシア南西部ロストフ・ナ・ドヌを同日深夜に離れて以降、プリゴジン氏の声が公表されるのはこれが初めて。
27日早朝には、プリゴジン氏と関係のある会社が所有する飛行機が、ベラルーシ・ミンスクの近くに着陸した。
プーチン氏の主張
プーチン氏は26日夜に国民向けの短い演説の中で、モスクワへ部隊を前進させた者は「裁きを受ける」と述べた。かつてプーチン氏の支持者だったプリゴジン氏については、名指しはしないものの、ロシアを後ろから刺していると表現した。
プーチン氏はこの演説で自身の権威回復を試み、ワグネルの反乱への対応が弱腰だったとの一般的な見方を打ち消そうとした。事前に録画された短い演説の中で、プーチン氏はひどく腹を立てた様子で、口をゆがめながら話していた。

また、西側諸国がロシア人「同士の殺し合い」を望んでいると非難したが、アメリカのジョー・バイデン大統領は26日、アメリカやその同盟国はワグネルの反乱には関与していないと述べた。
プーチン氏は「兄弟殺しの血」に染まらなかったワグネル部隊には、ベラルーシへ移動することを認めるという約束を守るとも述べた。
「唯一の正しい決断を下したワグネル・グループの兵士と指揮官たちに感謝する。彼らは兄弟殺しの流血に走らず、最後の一線で止まった」
「あなた方は今日(ロシア国防省や)あるいはほかの軍当局や法執行機関と契約を結び、ロシアへの奉仕を続けることができる。家族や親しい人のもとへ戻る機会もある」
「希望者はベラルーシに行くこともできる。私の約束は実行される」
反乱の最初の段階で「多くの流血を避けるための措置がとられた」とし、反乱を組織した者たちは「自分たちの行動が犯罪だと気付いた」のだと、プーチン氏は述べた。
また、ロシア社会の団結を称賛するとともに、反乱終結の仲介をしたとされるベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の平和的解決への取り組みに感謝を述べた。
<関連記事>

「政権転覆のためではない」
プリゴジン氏はプーチン氏の演説に先立ち、プーチン政権の転覆を図ったわけではないと主張する11分間の音声メッセージを「テレグラム」で公表していた。
ワグネル戦闘員がロシアの主要都市を制圧した後、モスクワに向けて北上したのは、ワグネルを直接的に支配しようとする政府の計画に対する反応だったと、プリゴジン氏は述べた。
ロシアは今月、ワグネルを直接傘下に置く意向を示し、ロシア国防省のニコライ・パンコフ次官が、「志願部隊」に国防省と直接契約を結ぶよう要請するつもりだと述べていた。これは、ワグネルを支配するプリゴジン氏を脅かす動きだったと広く受け止められている。
プリゴジン氏は今回の反乱について、ウクライナとの戦争の最中にロシア国防当局が犯した過ちに対する抗議でもあったと述べた。
ただ、ワグネルは常にロシアの利益のためだけに行動してきたとも主張した。
プリゴジン氏が公にコメントを発信したのは、反乱中止でロシア政府と合意して以降初めて。この合意には、プリゴジン氏へのすべての刑事訴追を中止し、同氏が隣国ベラルーシへ移動することが含まれていると報じられた。しかし、ロシア国営メディアは当局者の話として、プリゴジン氏に対する捜査が続いていると報じている。
プリゴジン氏は「ロシア兵の血が流れる」のを避けるために反乱に終止符を打ったとし、ワグネル部隊の前進が止まったことに失望しているロシア市民もいると付け加えた。
それでも、選挙で選ばれたロシア当局者たちを倒そうとする意図はなかったと強調した。
26日の声明は音声のみで、プリゴジン氏の現在の所在や次に何をするのかはわかっていない。

画像提供, Reuters
ワグネルは23日から24日にかけ、「正義の行進」と称してロシア南西部の軍事拠点を占拠し、モスクワへ車列を進めたものの、残り数百メートルというところで前進を中止し、撤収した。
プリゴジン氏は、この「正義の行進」によって「国中の治安に深刻な問題がある」ことが露わになったと主張した。
反乱終結の仲介をしたとされるルカシェンコ氏の役割についても言及し、ルカシェンコ氏がワグネルに「合法的な管轄権」で活動を継続できる方法を提案したことを明らかにした。
プリゴジン氏は、ワグネルがロシア軍ヘリを撃墜した際に、ロシア兵数人が死亡したことを認めたが、「地上で殺された兵士は1人もいない」と付け加えた。
「撃墜せざるを得なかったことは残念だが、そうしたのは(ロシア軍が)爆弾やミサイルで我々を攻撃してきたからだ」とプリゴジン氏は主張している。










