ヘルソンのダム決壊で地雷が下流に、赤十字が警告

Flooding in Kherson

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画像説明, 洪水によって浸水したヘルソン市

赤十字社は7日、ウクライナ南部ヘルソン州のロシア支配地域にある水力発電所のダムが決壊したことに絡み、地雷の位置特定に壊滅的な影響が出ると警告した。

赤十字社兵器汚染ユニットのトップ、エリク・トレフセン氏は、浮き上がり移動した地雷がヘルソン住民だけでなく、救援に訪れた人々にとっても大きな懸念となっていると警告した。

「これまではどこが危険か分かっていたが、もはや分からない」と、トレフセン氏はAFP通信に語った。

「分かっているのは、下流のどこかにあるということだけだ」

ウクライナ軍南部司令部のナタリヤ・フメニュク報道官はウクライナ・テレビに対し、「(ロシア占領地域の)対歩兵用地雷の多くが浮き上がり、水に流されている」と述べた。

その上で、こうした地雷ががれきなどに当たると爆発する可能性が高いの述べ、「これは大きな危険となる」と指摘した。

動画説明, ウクライナのダム破壊 これまでの被害状況は
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ロシアの占領地とそれ以外を分けているドニプロ川にかかるカホフカ・ダムが決壊して以降、数千人が洪水を逃れるために避難している。

これまでに、ロシアが占領しているオレシュキーで洪水による犠牲者が出ている。同市から逃れているウクライナ人市長イエフェン・リシュチュク氏は国営放送で、犠牲者はさらに増えるだろうと述べた。

ウクライナもロシアもお互いに、ダム決壊は相手のせいだと非難しあっている。

ウクライナ軍の情報機関はロシアが意図的に爆破したとしている。ロシア側は、ウクライナの砲弾がダムに当たったのが原因だとしている。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領との電話会談で、ダムの破壊は「野蛮な行為」だと述べた。

BBCは両国当局者の主張を検証・確認できていない。

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Local residents have tried to save pets and livestock from flooded areas

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画像説明, 地元住民は浸水した地域からペットや家畜などを救助している
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ロシアが占領しているノヴァ・カホフカにあるこのダムは、6日早朝に決壊。下流の水位が急速に上がり、大規模な避難につながった。

当局によると、川沿いの30の町や村が洪水に見舞われたほか、ウクライナが保持する州都ヘルソン市では住宅2000軒が浸水した。

ウクライナのイホル・クリメンコ内相は、政府はドニプロ川両岸の人々を助ける計画を立てていると述べた。

浸水被害を受けている30の村や町のうち、20は西岸のウクライナ側に、10は東岸のロシア占領地にあるという。

クリメンコ氏は、ロシアが人々を置き去りにし、「自力でどうにかさせようと」していると非難した。

ヘルソン州のオレクサンドル・プロクディン知事は、これまでに1700人が避難したと発表。一方、ロシア政府が任命した同地域の高官は、ロシアの占領地域では1200人が安全なところに移動したと述べた。

ウクライナ当局は、ドニプロ川の西側で1万7000人、東側で2万5000人が避難の必要があると説明している。

巨大なカホフカ貯水池の下流にあるカホフカ・ダムは、地域の農家や住民らに水を供給するとともに、欧州最大のザポリッジャ原発にも冷却水を供給している。また、ロシアが占拠しているクリミア半島への重要な水路の一部にもなっている

ヘルソンでのドニプロ川の水位は7日夜にはピークを迎えると見られていたが、当局はカホフカ貯水池の水が黒海に流れ、枯渇することで、農業大規模な損害が出ると懸念している。

国連児童基金(ユニセフ)のデイミアン・ランス氏は、家屋の全壊を目の当たりにし、閉じ込められた住民への不安は続いていると述べた。

「これらの地域では(ダム上流にある)貯水池から水が供給されていたため、安全な水の確保に影響が出ている。また、電力供給も停止している」と、ランス氏は説明した。

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は7日の時点で、ヘルソン州の数万人が飲み水のない状態だと述べていた。

Police, state emergency service and charity workers have been evacuating people since the dam burst

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画像説明, 警察や救急隊、慈善団体の職員などが、住民の避難に当たっている
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ヘルソンは昨年の開戦後すぐに、ロシア軍に占領されたが、11月にウクライナによって解放された。それ以来、この街は砲撃にさらされている。

だがそれ以前から、カホフカ・ダムは両国の間の支配力の象徴となっている。

2014年にロシアがクリミアを不法に併合した際、ウクライナ政府はダムを閉鎖し、主要な水の供給源から切り離した。

昨年10月には、侵攻したロシア軍がダムに爆発物を仕掛けたとウクライナが非難したものの、ロシア政府はこれを否定している。