ゼレンスキー氏、バフムートは壊滅状態と説明 「ロシアに占領されていない」と記者会見でも

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ウクライナとロシアの間で昨年から激しい攻防戦が続く東部バフムートについて、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日午後、ロシアによって完全に破壊されてしまったと英語で述べた。さらに同日夜の記者会見でもバフムートの状態についてあらためて質問されると、今日の時点でバフムートは「ロシアに占領されていない」とゼレンスキー氏は言明した。
広島で開かれている主要7カ国首脳会議(G7サミット)のため来日中のゼレンスキー氏は、ウクライナはバフムートを掌握しているのか記者団に質問されると、「残念なことで、悲劇だが、今日のところはバフムートは私たちの心の中にだけある」と答えた。
「もうあそこには何もない。ただ地面と、大勢の死んだロシア人しかいない」のだとも説明。
「我々の防衛者たちは、強力に働いた。もちろんその見事な働きを、私たちはありがたく思っている」と述べた。

この発言が一部に誤解され、大統領が陥落を認めたとの報道が一時的に出たものの、ウクライナ大統領府はすかさずこれを否定。バフムートは都市として完全に破壊されたと大統領は答えたのであって、ロシアに制圧されたと認めたわけではないと説明した。
さらに同日夜の記者会見でもバフムートの状態についてあらためて質問されると、ゼレンスキー氏は戦況の詳細は話せないとしたうえで、今日の時点でバフムートは「ロシアに占領されていない。この言葉にいくつもの解釈の余地はない」と言明した。
ワグネルは制圧を主張

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20日にはロシアの雇い兵組織「ワグネル」代表のイェフゲニー・プリゴジン氏が、自分たちがバフムートを制圧したと動画で主張。「押さえていない部分がところどころあるなどと、さまつな指摘は誰もできない」と述べていた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はこれに祝意を示した。
プリゴジン氏はまた、ワグネルの部隊は休養のため今月末に離脱し、ロシア軍に主導権を渡すとした。
プリゴジン氏はこれまでも、バフムートの全部や大半を制圧したと主張してきたが、その後も戦闘は続いた。
今回の動画でも背景で爆発音が聞こえており、戦闘が同市周辺で続いていることがうかがえる。
プリゴジン氏の動画を受けて、ウクライナのハナ・マリャル国防次官は、事態は「深刻だ」と認めながらも、ロシア側による制圧の主張を否定していた。
国防次官は21日には通信アプリ「テレグラム」で、ロシアはバフムートを包囲できず、逆にウクライナ軍が「半分」街を取り囲んだのだと書いた。
「郊外の側面で私たちの部隊は前進を続けている。そのため、敵がバフムートにいるのは非常に難しい」とマリャル次官は述べている。
アナリストたちは、バフムートはロシアにとって戦略的な価値はほとんどないものの、ウクライナ侵攻を開始して以来最も長期間にわたる攻防戦が続いていただけに、勝利はロシアにとって象徴的な意味を持つと指摘する。
アメリカなど西側諸国は、バフムート攻略戦でロシアは2万~3万人の兵を失ったとみている。
ウクライナ側も相当の被害を受けている。バフムートの街は今や完全な廃墟と化し、住民は残っていない。
米政府は約517億円の追加支援発表

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ゼレンスキー大統領の当初の発言は、ジョー・バイデン米大統領との首脳会談に際して、記者の質問に答えてのもの。
その場でバイデン氏は、アメリカ政府がウクライナに3億7500万ドル(約517億円)規模となる追加の軍事支援を提供すると発表。ゼレンスキー氏はこれに感謝した。
国務省発表によると、38回目となる追加支援には、高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」の砲弾や対戦車兵器の補充、医療用装甲車両やトレーラー、トラック、部品などの提供が含まれるという。








