中国大使、ウクライナ主権を疑問視し反発招く 中国外務省は不支持

Lu Shaye

画像提供, Chinese Embassy in Paris

画像説明, 中国の盧沙野・駐仏大使

中国の盧沙野・駐仏大使が先週、ウクライナなど旧ソヴィエト連邦諸国の主権を疑問視し、強い反発を引き起こした。中国外務省は24日、同大使の発言から距離を置く姿勢を示した。

盧氏の発言は、21日放送の仏放送局LCIのインタビューの中で出た。

ロシアが2014年に併合したクリミアについて、国際法上はウクライナの一部だと聞き手は主張。これに対して盧氏は、クリミアの地位は明確ではないとの考えを示した。

そして、「旧ソ連諸国は国際法上、有効な地位はない。主権国家としての地位を認める国際合意が国際法上ないからだ」と主張。ウクライナなどの国々は、国際法をよりどころに主権を主張することはできないと示唆した。

ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は23日、盧氏の国際法の解釈を「ばかげている」と酷評。「中国が政治的に大きな役割を果たしたければ、ロシアのプロパガンダをおうむ返しにすべきではない」と述べた。

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中国はロシアの主要な協力国。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が昨年から進めているウクライナ侵攻を非難していない。

一方で、ウクライナでの和平の実現に関して、中国は大きな役割を担っていると自認している。

だが、西側によるロシアへの制裁が続くなか、中国はロシアにとって重要な貿易相手になっており、西側の多くの国が中国の公平性を疑問視している。

プーチン氏はこれまで、ウクライナの独立性をたびたび問題視している。昨年の侵攻開始の数日前の演説では、ウクライナの「現実の国家としての地位」を否定。同国はロシアの歴史と文化に不可欠な一部だと主張した。

中国外務省がコメント

中国外務省の毛寧報道官は24日の記者会見で、盧氏の見解を否定。中国政府はすべての国の主権、独立、領土保全を尊重し、国連憲章の目的と原則を支持すると述べた。

毛氏はまた、「ソ連は連邦国家で、外交上は全体として国際法の主体たる地位をもっていたが(中略)そのことがソ連解体後の各構成国の主権国家としての地位を否定するものではない」と説明した。

AFP通信によると、パリの中国大使館は同日、盧氏の発言は個人の見解であり、過度に分析されるべきではないとする声明を出した。

旧ソ連や欧州の各国が反発

盧氏の発言を受け、中国政府に説明を要求する声が上がった。

リトアニア、ラトヴィア、エストニアのバルト3国は、中国の大使を呼び出し、説明を求めるとした。

AFP通信によると、リトアニアのガブリエリュス・ランズベルギス外相は、同国の独立に関して中国が立場を変えたのか聞くと述べた。また、「私たちはソ連解体後にできた国々ではなく、ソ連によって不法に占領されていた国々」だと認識させるとした。

バルト3国は1940年にソ連に併合され、ソ連が崩壊しつつあった1991年に独立を果たした。

欧州連合(EU)の他の国々の外相も今回の発言を非難し、24日開催のEU会合で取り上げることを決めた。

オオカミの戦士」

盧氏はこれまでも物議を醸しており、歯に衣着せぬ発言などから中国外交の「戦狼(オオカミの戦士)」の1人として知られる。

2021年6月には、「戦狼」と呼ばれることについて、「中国を攻撃する狂ったハイエナ」があまりに多いので「光栄」だと仏メディアに語った。

フランス政府からの呼び出しも何度か受けている。新型コロナウイルスが大流行した時期には、高齢者が老人ホームで見捨てられていると示唆する発言をし、説明を求められた。