ロシア、招集令状をインターネットで送達へ 議会が法案可決

A man holds promotional materials of the Russian Defence Ministry, campaigning to sign up for contract service on April 9, 2023 in Moscow, Russia

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画像説明, ロシアでは兵役への志願を呼びかけるキャンペーンが繰り広げられている(9日、モスクワ)

ロシア議会下院は11日、兵役の招集令状をインターネットで送達できるようにする法案を可決した。

招集令状はこれまで、本人に直接か、雇用主を経由して届けなければならなかった。

法案では、政府ポータルサイト「Gosuslugi」に表示された時点で、招集令状が送達されたとみなす。

この日の下院(定数450)では、投票した議員395人のうち394人が法案に賛成、1人が棄権した。

法案は近々、ウラジーミル・プーチン大統領が署名し、成立する見通し。

ロシアではウクライナでの戦争が始まって以降、何千もの人々が動員から逃れている。

ロシア政府は今回の制度について、動員の拡大や兵役忌避への歯止めが目的ではないとしている。

招集令状を受け取らない人もいたが

ロシア政府は昨年9月、ウクライナでの「特別軍事作戦」で屈辱的な敗北が続く中、兵力増強のために緊急動員を開始した

元兵士や元招集兵ら30万人以上が招集されたとみられ、街頭やショッピングセンターで若い男性が声をかけられる場面も見られた。

徴兵を逃れようと国外に渡った18~27歳の男性は数千人に上った。ロシアの多くの都市で抗議デモが起こったが、すぐに抑え込まれた。

招集令状の受け取りを拒否するため、住所登録地とは異なる場所に引っ越したり、軍関係者が訪ねて来てもドアを開けなかったりする人も多い。

下院国防委員会のアンドレイ・カルタポロフ委員長は、今回の法案についてテレビで説明する中で、「招集令状は兵役義務のある人の個人アカウントに入った瞬間に届いたとみなされる」と述べた。

招集された人は、最寄りの入隊事務所に出向く義務がある。姿を見せない人は、海外渡航の禁止などの制限が課される可能性がある。不動産の売買ができなくなり、運転免許は無効となる。小規模事業の登記もできなくなる。

Police officers detain a man following calls to protest against partial mobilisation announced by Russian President, in Moscow, on September 21, 2022.

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画像説明, モスクワで昨年9月、ロシア政府の動員に反対し、警察に連行された男性。そうした人が直接、招集令状を渡されるケースもあった

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Presentational white space

ウクライナの戦場に送られないよう努めるロシア人男性らに助言や支援を提供しているウェブサイト「ヘルプデスク」を設立したイリヤ・クラシルシク氏は、「かつては便利だったオンライン政府ポータルに裏面があった」とツイートした。

「一瞬にしてマークされ、出国できなくなる。これで終わりだ。新たな動員なんて誰が必要としているというのか。デジタル国家の魅力的なインターフェースを使って、一人また一人と連れていく」

政府ポータルサイトは、新しいパスポートや結婚許可証の申請、請求書や罰金の支払い、開業医の予約などに広く利用されている。

増える死傷者

ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、今回の法案は動員の拡大とは関係ないと主張。「単に軍の記録を改良するためのものだ」と述べた。

流出した米文書によれば、ウクライナでの戦争におけるロシアの戦死者は3万5500〜4万3000人、負傷者は15万4000〜18万人と推定されている。

BBCロシア語はオープンソースの情報を使い、ロシア軍人1万7000人の死亡を確認し、名前、階級、所属部隊などのリストを作成している。

ロシア当局が最後に死傷者数を明らかにしたのは昨年9月で、軍関係者5937人が死亡したとしていた。