ウクライナ、汚職撲滅へ新たに一斉捜査 富豪の自宅など家宅捜索
ポール・カービー、BBCニュース

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ウクライナ政府は1日、汚職撲滅のため新たな対策に乗り出した。国内有数の富豪イーホル・コロモイスキー氏など、著名人の自宅などを家宅捜索した。
アルセン・アヴァコフ元内相の自宅も、汚職撲滅の取り組みの一環として捜索された。
ウクライナ政府は反汚職の対策を進めている。政府関係者によると、税関当局の幹部らが解任されたという。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は1日、「権力を乱用させない」ために強制捜査が必要だと説明。
「残念だが一部の界隈では、制度変更と合わせて指導者を変えることでしか正当性を担保できない」と述べた。
EUから対策強化を求められる
ウクライナは、欧州連合(EU)など西側のパートナーから、汚職問題に取り組むよう圧力を受けている。
ゼレンスキー氏は2019年の大統領就任時、汚職との闘いを優先事項の1つに挙げた。
ウクライナ政府は今週、EU幹部らとのサミット開催を予定している。27カ国で構成するEUへの加盟を目指すウクライナにとっては、重要な会合と目されている。
ウクライナは、ロシアの侵攻が始まった4カ月後にEU加盟候補の地位を得た。ただ、汚職対策を強化するよう求められている。
対策の一環として先週には、ウクライナ大統領府のキリロ・ティモシェンコ副長官ら同国の有力者10人が辞職に追い込まれた。
さらに、副大臣と州知事も数人ずつ辞めさせられた。ゼレンスキー氏は当時、「欧州機関との良好な関係」を築くため、妨げとなる内部問題は一掃すると述べた。
コロモイスキー氏は、ウクライナ有数の著名人。同国のウェブサイトは、南東部ドニプロ市の同氏の自宅で本人が見守る中、捜査員らが家宅捜索を実施している写真を掲載した。

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コロモイスキー氏は2014年、ドニプロペトロウシク州の知事に就任。ウクライナ東部でロシアが領土を奪おうとすると、ボランティア大隊への資金提供において重要な役割を果たした。
しかし、アメリカは同氏を、知事時代の「重大な汚職」を理由に制裁対象にした。同氏は不正を否定している。
コロモイスキー氏は、ウクライナでメディア、石油、銀行などに携わる裕福な実業家だ。同氏所有のテレビ局は、ゼレンスキー氏が大統領を演じる政治コメディドラマ「国民のしもべ」を放送。これでゼレンスキー氏は一躍国民的なスターになった。コロモイスキー氏はその後、ゼレンスキー氏の大統領選への立候補を支援した。
ウクライナの経済安全保障当局は、国内2大石油会社のウクルナフタとウクルタトナフタの元経営陣による400億フリヴニャ(約1400億円)相当の大規模な横領計画と脱税を暴いたと発表した。ただ、コロモイスキー氏への言及はなかった。
両社にはコロモイスキー氏の企業がかなり出資していたが、同氏はすぐにはコメントを出さなかった。両社は昨年11月に国有化されたが、その数週間前に、コロモイスキー氏のウクライナ西部のアパートが家宅捜索を受けていた。
政府のヘリ購入に絡んで
一方、アヴァコフ元内相はウクライナのメディアに、6年前にウクライナがエアバスのヘリコプターを購入したことに関する調べの一環として、自宅が家宅捜索を受けたと明らかにした。
元内相はまた、家宅捜索では何も見つからなかったと説明。すべての契約は当時承認されていたと述べた。
首都キーウ近郊では1月、幼稚園の近くにヘリコプターが墜落し、内相やその側近、地上にいた子どもたちなど14人が死亡している。
ゼレンスキー氏の所属政党「国民のしもべ」のダヴィド・アラカミア党首は、税関当局の幹部全員が解任されたとし、捜査はさらに続くとした。
キーウの主な税務署も家宅捜索を受けた。









