フィリピンのノーベル賞受賞ジャーナリスト、脱税裁判で無罪

Nobel Laureate Maria Ressa gestures after she was acquitted of the tax evasion cases against her at the Court of Tax Appeals in Quezon City, Metro Manila on January 18, 2023.

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画像説明, マリア・レッサ氏は判決後、笑顔を見せた(18日、マニラ)

フィリピンの裁判所は18日、ジャーナリストのマリア・レッサ氏とニュースサイト「ラップラー」が脱税罪に問われた裁判で、無罪を言い渡した。報道の自由の勝利だと評価されている。

レッサ氏は、「今日、事実が勝ち、真実が勝ち、正義が勝った」とコメントした。

同氏は2021年にノーベル平和賞を受けた。有罪とされれば、最長34年の禁錮刑を受ける可能性があった。

裁判は、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領が政権を握っていた2018年に始まった。政府は、ラップラーが外国人投資家との提携で資金を調達した際、レッサ氏とラップラーは税金の支払いを逃れたと非難していた。

司法省の主張では、ラップラーはフィリピン預託証券と呼ばれる金融商品を外国投資機関「オミダイア・ネットワーク」と「ノース・ベース・メディア」に発行した際、1億4186万ペソ(約3億4000万円)相当の課税所得が発生したのに、2015年に申告しなかった。

レッサ氏とラップラーはこれを否定。取引は、課税所得を生まない合法的な金融制度に沿って実施したとしていた。

ラップラー側によると、税務控訴裁判所はこの日の判決で、検察が合理的な疑いを超えて有罪を証明できなかったと指摘。レッサ氏とラップラーは取引から利益を得なかったと結論づけたという。

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レッサ氏は、「不当に非難されたことのあるすべてのフィリピン人」の勝利だとして判決をたたえ、こう話した。

「訴追は政治的な動機に基づくもので、信じがたいものであり、恥知らずな権力の乱用だった。ジャーナリストの仕事を止めるのが目的だった」

フィリピンの全国ジャーナリスト組合は、今回の脱税事件について、ジャーナリストや市民社会への報復や脅迫のために法律が使われることが増えていることの表れだとした。

他の裁判も

フィリピン政府は、ドゥテルテ政権に批判的な記事を掲載してきたラップラーを繰り返し閉鎖しようとしてきた。2018年1月には、事業免許を没収。米投資家2人から資金を調達したラップラーが、外国資本によるメディア所有を禁じた憲法の条項に違反したと指摘した。

規制当局は2022年にも再びラップラーの閉鎖を命じた。ラップラーはこれを拒み、法廷で争うとしていた。

レッサ氏はまた、2020年6月にサイバー名誉毀損罪で有罪となり、禁錮最大6年の刑を言い渡された。その後、保釈された。

レッサ氏とラップラーは、他に3件の裁判を闘っている。2022年の閉鎖命令に対するラップラーの控訴審、サイバー名誉毀損罪をめぐるレッサ氏と元ラップラー記者レイナルド・サントス・ジュニア氏の控訴審、別の税金問題でのレッサ氏とラップラーの裁判だ。