トランプ氏、事業の損失計上で2020年の所得税支払わず 納税記録の公開で判明

Donald Trump

画像提供, Getty Images

画像説明, ドナルド・トランプ前大統領

ドナルド・トランプ前米大統領が、任期最後の年だった2020年に、経営している事業で大きな損失を計上し、所得税を回避していたことが、20日に公表された納税記録から明らかになった。

トランプ氏はまた、就任後2年間は税務調査を受けていなかったことも判明した。アメリカでは現職の大統領には税務申告の審査が義務付けられている。

民主党が多数派の下院歳入委員会は20日、4年間の法廷闘争の末にトランプ前大統領の納税記録の公開を賛成多数で決定。

一方、トランプ氏一族が経営するトランプ・オーガナイゼーションの広報担当スティーヴン・チャン氏は、公開は政治的動機によるものだと指摘し、「この不公平がトランプ大統領に起こりうるのであれば、それは理由なくすべてのアメリカ人に起こりうる」と述べた。

<関連記事>

Presentational white space

アメリカでは大統領候補は納税記録を公表するのが1970年代以来の慣例になっていたが、トランプ氏は大統領選の期間、「会計検査中だ」などの説明を理由に、公表を拒み続けた。大統領就任後も慣例を破り、納税記録を公表しなかった。

下院歳入委員会は、2019年からトランプ氏の納税記録の閲覧を求め続けてきたが、トランプ政権下の財務省が開示を拒否したため提訴。今年11月に連邦最高裁が記録の開示を認めた

数年にわたり所得税を削減

トランプ氏は長年、成功したビジネスマンというイメージを保ってきた。11月には2024年大統領選への出馬を表明している。

しかし民主党は、この納税記録はトランプ氏の行為に疑問を呈するものだとしている。

今回公開されたのは、大統領の任期を含む2015~2020年の納税記録。この期間、トランプ氏と妻のメラニア氏は何種類かの税金を支払っているが、トランプ氏の事業収入が控除や損失で相殺されるため、数年にわたり所得税を削減できていた。

下院歳入委は控除のいくつかについて合法性を疑っている。これには、9億1600万ドル(約1200億円)の控除も含まれる。また、納税申告書も詳細に欠けると指摘した。

委員会は数日以内に、修正後の納税申告書も公開する予定だという。

税控除に疑問

公開された記録からは、不動産開発で名を成し、リアリティー番組にボスとして出演していた実業家の、明らかに複雑な様相を浮き彫りにしている。

記録では、トランプ氏とメラニア氏は毎年数千万ドルの投資利益を得ている。しかし同時に、不動産を含む事業で数百万ドルの税控除や損失を計上し、所得税を大幅に減らしていた。

民主党は、こうした手法の一部の合法性に疑問を呈している。また、内国歳入庁(IRS)が適切な調査を怠ったとしている。

IRSはコメントを拒んだ。

トランプ夫妻は2018年に2430万ドルの調整後総所得(AGI)を申告し、100万ドルを納税した。しかし2019年の申告額は440万ドルで、納税額は13万4000ドルだった。

公表された6年のうち、黒字だったのはこの2年のみ。2017年は1290万ドルの赤字を計上し、納税額は750ドルだった。2020年は480万ドルの赤字で、所得税は支払わなかった。

夫妻はさらに、自営業と家事雇用の税金もかけられていた。これらは、ホワイトハウスにいた4年間で計300万ドルに上った。