イラン、反政府デモ参加者に初の死刑執行 治安当局者刺した罪

Undated social media photo of Mohsen Shekari

画像提供, Mohsen Shekari

画像説明, イランの反政府デモ参加者として初めて死刑が執行されたモフセン・シェカリ氏。人権団体は「正当な手続きのない、見せしめ裁判」にかけられたと主張している

イランは8日、反政府デモに参加して有罪判決を受けた男性1人の死刑が執行されたと発表した。9月から続く抗議デモをめぐる死刑執行は初めて。

国営メディアによると、8日朝に絞首刑が執行されたのはモフセン・シェカリ氏。9月に首都テヘランの主要道路を封鎖し、準軍事組織のメンバーをなた負傷させた「暴徒」だとして、革命裁判所で「モハーレベ」(神への敵意)の罪で有罪判決を受けていた。

活動家の1人は、シェカリ氏が「正当な手続きのない、見せしめ裁判」の末に有罪判決を受けたと批判した。

「国際社会はこの死刑執行に直ちに、強く反応しなければならない」と、ノルウェーに本拠を置く非営利人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」のディレクター、マフムード・アミリー=モハダム氏は声明で述べた。

「モフセン・シェカリ氏の処刑についてイラン政府が重大な報いを受けないならば、大勢のデモ参加者が今後、一斉に処刑されるだろう」

弁護士接認めず自白強要か

イラン・ヒューマン・ライツによると、シェカリ氏は「取り調べと法的手続きの間、弁護士の接見が全く認められなかった」という。

また、イラン国営ファルス通信が死刑執行から数時間後にシェカリ氏が「強制的に自白」させられている様子を報じたと指摘した。動画ではシェカリ氏の右頬にあざがあるのが確認できる。

反政府活動家集団「1500tasvir」は、「(シェカリ氏の)家族がまだ上訴を望んでいた中、そしてこの事件についての知らせが何もない中、イスラム共和国は突如として彼を処刑した」とツイートした。

Iranian state TV report on the trial of Mohsen Shekari at a Revolutionary Court in Tehran, Iran (21 November 2022)

画像提供, IRIB/@hafezeh_tarikhi

画像説明, イラン国営メディアは11月に革命裁判所で行われたシェカリ氏の裁判の様子を放送した。画像は11月21日のTV放送の静止画

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反政府デモ参加者11人に死刑判決

イランでは、9月に髪の毛を覆うヒジャブを「不適切に」着用していたとして道徳警察に逮捕されたマサ・アミニさん(22)が、その後に死亡した事件をきっかけに、各地で激しい反政府デモが続いている。

司法当局のミザン通信によると、シェカリ氏は9月25日、テヘラン市内のサッタルカーン通りを封鎖し、デモ鎮圧に使われることの多い民兵組織「バシジ」のメンバーをなたで攻撃。革命裁判所は11月1日、シェカリ氏が「殺意を持って」武器を取り出して争い、人々に「恐怖を与え、社会の秩序と安全を乱した」とし、「神への敵意」の罪で有罪判決を受けた。シェカリ氏は判決を不服として上訴したが、11月20日に最高裁が革命裁判所の判決を支持したという。

反政府デモをめぐってはこれまでに、「神への敵意」の罪または「地上に腐敗を広めた」罪で、少なくとも11人が革命裁判所で死刑判決を受けたと、司法当局は発表している。被告の身元は明らかにされていない。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、イランの裁判所が「治安部隊や諜報部隊の影響下にある」と指摘。「もっぱら秘密裏に行われる著しく不公正な略式裁判を経て、厳しい判決が下されている」と批判している。

また、「ほかに数十人が同じ運命に直面している」とし、シェカリ氏の処刑は「イランの司法制度とされるものの非人道性」を露呈したと指摘した。

「国際社会はイラン当局に対し、予定されているすべての死刑執行を直ちに停止し、民衆蜂起を終わらせようと必死なあまり死刑を政治的抑圧の手段として用いるのをやめるよう、緊急に求めなくてはならない」

File photo showing women without headscarves protesting in Iran on 21 September 2022

画像提供, Twitter

画像説明, 道徳警察に逮捕されたマサ・アミニさんが死亡した事件をきっかけに、女性たちが抗議行動を主導している。画像はスカーフを着用せずに抗議する女性たち(9月21日)

イランのゴラームホセイン・モフセニー・エジェイー司法長官は、抑止力として、「これらの暴動の主な要因となっている人物に不必要な同情を示すことを避け、彼らに厳しい判決を下す」よう裁判官に指示したとしている。

また、イラン議会の大半の議員も司法による「断固たる措置」と、国家に「戦争を仕掛けた」者への「キサース」(イスラム法における同害報復刑)を求めている。

イランは中国に次いで2番目に年間の死刑執行数が多い。

フォルカー・トゥルク国連人権高等弁務官は現在の反政府デモが起きる以前から、イランでの死刑執行数が急増していると、懸念を示していた。今年の死刑執行数は、2017年以来初めて400人を超えたとされる。