ミャンマー軍、約6000人に恩赦 元イギリス大使や日本人映像制作者らを釈放

Portrait of Burmese artist Htein Lin with his wife Vicky Bowman and their baby Aurora. Karen Weber Gallery, Central. 21 MARCH 2008

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画像説明, 軍当局に拘束されていた元駐ミャンマー英国大使のヴィッキー・ボウマン氏と夫ティン・リン氏(2008年撮影)

ミャンマー軍当局は17日、拘束していた元駐ミャンマー英国大使のヴィッキー・ボウマン氏や日本人ドキュメンタリー映像制作者の久保田徹氏ら約6000人に恩赦を与え、同日釈放した。

ミャンマーの「国民の日」にあたる17日に釈放されたのは、反体制派ら約6000人。2021年2月の国軍によるクーデター後に拘束された、オーストラリア人でアウンサンスーチー氏の経済顧問を務めるショーン・ターネル氏も含まれる。アウンサンスーチー氏もクーデターで身柄を拘束された。

元駐ミャンマー英国大使のボウマン氏、日本人ドキュメンタリー映像制作者の久保田氏、ターネル氏の3人は釈放後にミャンマーを出国した。NHKによると、久保田氏は18日午前、東京の羽田空港に到着した。

ミャンマー軍はアウンサンスーチー氏率いる民主政権を倒して以降、1万6000人以上を逮捕している。国内では軍に対する大規模な抗議行動が拡大した。

民主派活動家らが釈放

最大都市ヤンゴンでは、野党・国民民主連盟(NLD)の広報担当だったミョーニュン氏と民主派活動家のミャエー氏らがインセイン刑務所から出てくる様子が目撃された。

Mya Aye, a prominent political activist who was imprisoned following the military coup on February 01, 2021, is greeted as he walks free after his release from Insein prison, in Yangon, Myanmar November 17, 2022.

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画像説明, インセイン刑務所から出てきた民主派活動家のミャエー氏(中央左)

ミャエー氏は刑務所の外で待ち構えていた群衆に対し、「どのような状況にあっても、私はミャンマーの人々と共にいる」と語った。

ターネル氏と面会したオーストラリアのペニー・ウォン外相は、同氏の釈放を歓迎した。

ウォン外相は「素晴らしい知らせだ。ショーン・ターネル教授が自由の身になり、家族のもとへ向かっている。私は彼と話す機会を持てた」と、ターネル氏とのツーショット写真付きでツイートした。

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国営メディアによると、アウンサンスーチー氏の側近だったチョウティンスエ氏も釈放された。米国籍も持つチョウテーウー氏の名前も釈放リストに載っていたが、他の外国人と同じバンコク行の航空機に乗っていたかどうかは分かっていない。

ボウマン氏は2002年から2006年まで駐ミャンマー英国大使を務め、逮捕当時はヤンゴンにあるビジネス環境での人権を擁護する「責任あるビジネスのミャンマー・センター(MCRB)」を運営していた。

ビルマ語を流暢(りゅうちょう)に話すボウマン氏は、ミャンマー国内に住む数少ない外国人の間では、広く知られている。元政治犯の夫ティン・リン氏も、釈放リストに名前が入っている。

軍当局はボウマン氏が居住先を登録していなかったとして、2人を起訴した。ただ、ミャンマーで外国人が入国管理法違反で起訴されることはほとんどなく、政治的な意味合いがあったとみられる。

People gather around a bus carrying inmates as they are released from the Insein Prison in Yangon, Myanmar, 17 November 2022.

画像提供, EPA

画像説明, 雨の中、釈放された人々を出迎える群衆(17日、ヤンゴン)

法的根拠のない逮捕や非公開裁判が「日常化」

「ミャンマーのクーデター以降に収監された何千人もの人は、何も悪いことをしていない。そもそも収監されるべきではなかった」と、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのオーストラリア・インパクト・ディレクターのティム・オコナー氏は述べた。そして、今回の釈放により、「2021年2月のクーデター以降行われてきたミャンマー軍の活動の残虐性から、国際社会の注目がそらされてはならない」と付け加えた。

「ミャンマーの軍政下では、法的根拠のない恣意(しい)的な逮捕や不法勾留、秘密裏に行われる非公開裁判が日常化している」とし、「認識できる」犯罪で起訴できない者は釈放されるべきだと呼びかけた。

ほかに数千人の政治犯が、今なお勾留されたままになっている。

Sean Turnell and Aung San Suu Kyi

画像提供, SUPPLIED

画像説明, アウンサンスーチー氏(右)の経済顧問を務めていたショーン・ターネル氏(左)

アウンサンスーチー氏の経済顧問を務めていたターネル氏は、軍がクーデターを起こした数日後にヤンゴンで拘束され、公職守秘法違反で禁錮3年が言い渡された。

オーストラリア政府は当時、ターネル氏が閉鎖的な軍事法廷で裁かれたと指摘。裁判所の判決を拒否するとした。

日本人映像制作者も釈放

日本人映像制作者の久保田氏は7月に、首都ヤンゴンであった反政府集会の会場付近で拘束された。10月には扇動罪で禁錮3年、電子通信法違反罪で同7年、計10年の禁錮刑が言い渡された。

国境なき記者団(RSF)によると、ミャンマーではこれまでに少なくとも68人のジャーナリストが拘束された。

7月に初めてミャンマーに到着した久保田氏は「ミャンマー人を主人公にしたドキュメンタリー」を撮影していたと報じられていた。

映画制作者サイト「Film Freeway」によると、久保田氏は2014年に日本でロヒンギャ難民と出会ったことを機に活動を開始。その後、ミャンマーの難民や民族問題をテーマにした映画を複数制作しているという。

ミャンマー軍は政権を掌握して以降、広範な人権侵害で非難されている。監視団体「政治犯を救う会」によるとクーデター以降、軍によって2400人以上が殺害された。