ペロシ米下院議長、「ハンマー襲撃にショックを受けている」 自宅で襲われた夫重傷
ナンシー・ペロシ下院議長(左)と夫ポール・ペロシ氏

画像提供, Reuters
ナンシー・ペロシ米下院議長(民主党、82)は29日夜、米カリフォルニア州サンフランシスコの自宅にハンマーを持った男が侵入し、夫ポール氏(82)が頭部などに重傷を負った事件について、「悲痛な思いで、心に傷を受けている」とコメントを発表した。アメリカの下院議長は、アメリカ政界で強力な権限を持ち、大統領が職務を果たせなくなった場合は、副大統領に続いて、大統領権限の継承権を持つ。
ペロシ議長は、警察と医療機関が素早く対応してくれたことに感謝すると述べ、ポール氏の「回復が続いている」と明らかにした。病院での治療に「命を救われ」、入院を続けているという。
議長は声明で「友人の皆さん」として、「残念ななことに、私たち家族の自宅に昨日朝、暴漢が押し入り、私に会わせろと要求し、夫ポールに襲いかかりました。子供たちと孫たち、そして私は、パパの命を脅かすこの攻撃に、悲痛な思いでいて、心に傷を受けています。警察と救急当局の素早い反応、そして命を救ってくれた病院での治療に、私たちは感謝しています」と書いた。
ペロシ氏は、「皆さんの祈りと温かい気持ちが、私たち家族を慰め、そしてポールの回復を助けてくれています。症状は引き続き回復を続けています」と続け、「皆さんの祈りと温かい気持ち、そして私たちの民主主義を強化するために皆さんがしてくれている働きに感謝しています」と結んだ。

ポール氏は頭蓋骨を骨折し、右腕と両手に重傷を負った。
ペロシ氏は事件発生時、東海岸の首都ワシントンにいた。事件を知り、飛行機で病院に急いだ。
ハンマーを持ってペロシ夫妻の自宅に押し入り、ポール氏を襲ったとして逮捕されたのは、デイヴィッド・デパピ容疑者(42)。ペロシ議長はどこだと叫びながら犯行に及んだとされる。容疑者の名前で開設され、BBCが目にしたブログやウェブサイト、ソーシャルメディアのアカウントには、反ユダヤ的なミームやホロコーストの否定、極右ウェブサイトへの言及、QAnon(Qアノン)などの陰謀論があふれている。容疑者はまた、選挙で不正が行われたとする、すでに否定されている主張も投稿していた。最近の投稿はとりとめなく極右や過激派の主張を取り上げていた。
11月8日に連邦議会の中間選挙を控えるアメリカでは、政治的動機による暴力事件への懸念が高まっている。
ジョー・バイデン米大統領はポール氏への襲撃を強く非難し、アメリカ政治にまつわる暴力について「もういい加減にしなくてはならない」と強調した。

画像提供, EPA
「ナンシーはどこだ」
サンフランシスコ市警は28日午前2時27分に、通報を受けた。現場に急行した警官たちは、ポール氏と容疑者がハンマーをつかんでもみあっているのを発見。容疑者がハンマーを奪い、ポール氏を攻撃したという。警官たちが容疑者を取り押さえ、ハンマーを取り上げたという。
捜査関係者はCBSニュースに対して、男が「ナンシーが帰ってくるまで」ポール氏を縛ろうとしていたと話した。事件の最中、「ナンシーはどこだ」と怒鳴っていたという情報もある。
米紙ロサンゼルス・タイムズによると、ポール氏は事件発生から間もなく、容疑者にトイレに行くと告げ、ひそかに携帯電話で警察に通報した。そのまま通話状態にしていたため、警察はポール氏と容疑者の会話が聞けたという。
警察によると、容疑者は現場で逮捕され、殺人未遂、凶器による暴行、強盗、その他複数の重罪の疑いがかけられている。
下院議長は大統領職の継承順位2位
メリーランド州ボルティモア出身のペロシ氏は、1987年からサンフランシスコを地盤に下院議員を務め、地元と首都ワシントンを行き来している。2007~2011年と2019年1月以降、下院議長として、大統領権限の継承順位2位にある。
来月8日の中間選挙を前に、全米各地の民主党議員らと、資金集めや選挙活動を続けていた。
夫のポール氏は、ベンチャーキャピタル会社の創業者で億万長者。生まれ育ったサンフランシスコで、主に暮らしている。
夫妻は1963年に結婚し、5人の子供がいる。ペロシ氏は、ポール氏の投資による資産もあわせ、最も裕福な下院議員の1人となっている。
議会指導者の警護を担当する連邦議会警察は、今回の襲撃を受け、家族への追加保護を検討しているとされる。
昨年1月の米連邦議会襲撃事件を受け、アメリカの議員らは警備を強化している。同事件では、議会棟にあるペロシ氏のオフィスが、当時のドナルド・トランプ大統領の支持者に荒らされた。
サンフランシスコの自宅は昨年、「家賃を取り消しにしろ」「すべてをよこせ」といった落書きをされた。玄関前の私道には豚の頭が置かれていた。









