作家ラシュディさん、殺人未遂事件で「片目の視力失った」 代理人が発表

動画説明, 「悪魔の詩」作者ラシュディさん、講演中に刺される

今年8月に米ニューヨーク州で講演中に刺された英作家サルマン・ラシュディさん(75)が、片目の視力を失い、片手が動かなくなったことが明らかになった。ラシュディさんの代理人が発表した。

代理人のアンドリュー・ワイリー氏はスペイン紙エル・パイスに対して、「ラシュディさんは片目の視力を失った」と説明。「首に3カ所、重傷を負った。腕につながる神経を切られたたため、片手が動かくなった」と述べた。

さらに、「ラシュディさんは胸を15カ所以上刺されていた。残忍な攻撃だった」と語った。

ラシュディさんがまだ入院中なのかという質問には、「居場所については答えられない。彼は生き延びる(中略)その方が大事だ」と語った。

事件は8月12日、ニューヨーク州西部にあるショトーカ・インスティテュートで開催されたイベントで起こった。ラシュディ氏はアメリカがいかに作家の避難場所となっているかについて演説を行う予定だった。

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Presentational white space

現場で取り押さえられたハディ・マタール被告(24)が、講演中の壇上のラシュディさんに駆け寄り、顔や首、腹などを少なくとも10回刺したとして、殺人未遂罪で訴追されたが、無罪を主張している。

ラシュディさんは、小説「悪魔の詩」が出版されると、イスラム教徒の一部から神を冒涜(ぼうとく)したとみなされ、10年近く身を隠した。その後も、長年にわたり殺害予告を受け続けている。

Sir Salman Rushdie pictured onstage

画像提供, Reuters

超現実主義でポスト・モダンなこの小説は、預言者ムハンマドの描写がイスラム教を冒涜しているとして一部のイスラム教徒の怒りを買い、いくつかの国で出版が禁止された。

出版から1年後、イランの最高指導者だったホメイニ師はラシュディ氏の死刑を命じた。ホメイニ師はラシュディ氏を殺害した者に300万ドルの懸賞金を支払うとする「ファトワ」(イスラム教の法学者が宗教的な立場から出す勧告や判断)を発した。

イラン政府はホメイニ師の命令から距離を置いているものの、ラシュディ氏にかけられた懸賞金は今も有効。イランの準公的な宗教団体は2012年に50万ドルを報奨金に上乗せした。

ワイリー氏は今回、ラシュディ氏は長年、こうした脅迫にさらされてきたと話し、「ファトワが発令されて何年もたった今、彼が直面する最大の危機は、どこからともなくいきなりやってきた人間に攻撃されることだった」と説明。

「まったく予想外で非論理的なので、そんなものから身を守ることはできない。ジョン・レノンの殺人と同じだ」

インド出身でイギリス国籍のラシュディ氏は、イングランドの寄宿舎学校で学び、ケンブリッジ大学へ進んだ。2007年には文学への貢献を称えられ、「ナイト」の称号を受けている。

ラシュディ氏への攻撃は表現の自由への攻撃とみなされて広く批判されており、ラシュディさんへの支持の声も高まっている。