激しい戦闘続き、救助や避難が難航 ウクライナ侵攻24日目

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ロシアによるウクライナ侵攻24日目の19日、南東部マリウポリなどで激しい戦闘が続いた。住民の一部は避難できたが、多数が逃げ場を失い、危機的な状況に追い込まれている。爆撃された場所での救助作業も難航している。
ウクライナ当局によると、ウクライナ各地ではこの日、計6623人が人道回廊を通って避難した。前日18日の9000人超からは大きく減った。
大統領府のキリロ・ティモシェンコ副長官は、ロシア軍による包囲が続く南東部の港湾都市マリウポリからは4128人が市外に逃れたと発表した。
イリーナ・ヴェレシチューク副首相は、これまでに330万人以上が西部の国境を越えて国外に逃れたと、ロイター通信に明らかにした。国内でさらに200万人が家を失っているという。
副首相はまた、約19万人が人道回廊を使って前線から避難したと述べた。
マリウポリの劇場、救助進まず
マリウポリでは、この日も激しい戦闘が続いた。ヴァディム・ボイチェンコ市長は「中心部で市街戦になっている」、「戦車がいて(中略)砲撃があり、あらゆる種類の兵器が発射されている」とBBCに話した。
同市はロシア軍に包囲されており、電気、水、ガスが使えなくなっている。市内には30万人近くがとどまっているが、食料や医療品などの人道援助は、ロシア軍の妨害で届けられない状況となっている。
ロシア軍は病院、教会、多数の集合住宅を攻撃している。市当局によると、住居の約8割が破壊か損壊しており、うち3分の1は修復不可能だという。侵攻が始まってからの市内の死者は、控え目にみて2500人に上っているとみられる。
市長は、「軍は市内で持ち場を維持しようと全力を尽くしているが、残念ながら、敵の部隊はこちらより大きい」と話した。

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戦闘が比較的穏やかになったタイミングを見計らって、16日に爆撃された劇場で救助作業が続けられた。地下には高齢者や女性、子どもら民間人数百人が閉じ込められたままとみられている。
市長によると、劇場付近でも戦闘がやまないため、がれきを取り除く程度しかできていないという。ウクライナの人権監視機関は、劇場からこれまでに130人が救出され、約1300人が外に出られないままだとした。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの日のビデオ演説で、今のところ「重傷者」だけで死者の情報はないと述べた。
市長はまた、メッセージアプリのテレグラムで、数千人の市民がロシアに移動させられていると報告。「占領軍がしていることは、古い世代にはなじみのあることだ。第2次世界大戦では、ナチスが無理やり人々を捕らえた」、「21世紀に人々が無理やり別の国に送られるなんて信じがたい」と投稿した。
BBCは、この市長の報告を検証・確認できていない。

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兵舎にミサイル攻撃
南部ミコライウの北辺にある軍基地では、18日に兵舎がロシアのミサイル攻撃を受け、19日も救助作業が続いた。
関係者によると、兵舎には当時約200人が寝ていた。これまでに57人が病院で治療を受けている。死者の公式発表はまだないが、数十人に上るのではないかと危ぶまれている。夜間の気温が零下6度くらいまで下がることも、生存を難しくしているとみられている。
AFP通信によると、マキシムと名乗る兵士は、「少なくとも50人の死体を収容した。がれきの中にあとどれだけいるのか分からない」と話した。
周辺ではロシア軍のさらなる攻撃が懸念されている。救助作業の間も上空ではロシア軍の航空機かミサイルの音が響き、北東方向からはにぶい爆発音が聞こえた。

ロシアが極超音速ミサイル使用か
ロシア国防省は19日、極超音速ミサイル「キンジャル」でウクライナ南西部の軍地下倉庫を破壊したと発表した。
発表が正しければ、ロシア軍が今回の侵攻でキンジャルを使ったのは初めて。ミグ31戦闘機から発射された可能性が高い。キンジャルは通常弾頭のほか、核弾頭も搭載できるとされる。

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ロシア当局は、ミサイル攻撃の場面だとする動画をツイッターに投稿した。ルーマニア国境から100キロほどのデリアティン村にある兵器庫を、高精度ミサイルで破壊したとしている。

極超音速ミサイルは、音速の5倍超の速度のマッハ5で飛ぶ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が開発に力を入れてきた。ロシア当局によると、キンジャルは時速6000キロ超で飛び、2000キロ先の標的を攻撃できるという。
「ロシアは制空権を握れていない」
イギリスの国防省は、ロシアがウクライナ上空の制空権を奪えていないとの見方を示した。ロシアにとって制空権の確保は、主要な目標の1つとなっている。
同省の最新分析によると、ロシアは「制空権を確保できておらず、ウクライナの射程圏外からの攻撃に大きく頼っている」という。
また、「制空権確保は紛争初期にロシアの主要目標の1つになっていたが、それを果たせず、作戦を進める上で大きな障害となっている」とした。
中国にロシアを非難するよう求める
ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は中国に対し、西側諸国と共にロシアによる侵攻を非難するよう求めた。
中国はこれまで、侵攻をめぐって外交的に距離を置こうとしている。国連でのロシア非難決議案の採択は棄権。アメリカからは、ロシアに軍事支援を提供する可能性があると指摘されている。
ポドリャク氏は、「中国は国際安全保障システムにおいて重要な要素になり得る。文明国の同盟を支持し、ロシアの残虐行為を非難するという、正しい判断をすればだが」とツイートした。
岸田首相がインドで侵攻を非難
日本の岸田文雄首相は19日、インドでナレンドラ・モディ首相と会談し、ロシアによるウクライナ侵攻は「国際法違反の暴挙」であり、毅然とした対応が必要だと述べた。
日本はロシアの個人や組織に対して制裁を発動しており、ウクライナ難民も受け入れている。一方、インドは侵攻を非難していない。
会談後に岸田氏は、「力による一方的な現状変更はいかなる地域でも許してはならない」との認識でモディ氏と一致したと記者団に語った。また、国際法に基づいて平和的解決を探ることが必要との考えを共有したとした。
日本とインドは、アメリカとオーストラリアと共に安全保障同盟「クアッド」を形成している。










