米中首脳がビデオ会談、プーチン氏は「ロシアの団結示した」軍称賛 ウクライナ侵攻23日目

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ロシアによるウクライナ侵攻23日目の18日、ロシア軍に包囲されたウクライナ南部の港湾都市マリウポリでは生き埋めとなった避難者の救出活動が続いた。マリウポリ市長は攻撃により「市中心部はなくなった」と述べた。こうした中、アメリカのジョー・バイデン大統領は中国の習近平国家主席とビデオ会談を行い、中国がロシアを支援すればアメリカは相応の対応をするとけん制した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ東部クリミア併合から8年になるのを前に国民に向けて演説し、クリミア併合とウクライナ侵攻を称賛した。
バイデン米大統領と中国の習主席は18日、ウクライナ情勢をめぐりビデオ会談を行った。話し合いは2時間に及んだ。
米ホワイトハウスによると、バイデン氏は「ウクライナの都市と市民に対する残忍な攻撃を行うロシアに対し、中国が物質的支援を提供した場合に予想される影響と結果について説明」した。
一方で中国外交部は、習氏が「国連安全保障理事会の常任理事国として、また世界の2大経済大国として、我々は中米関係を正しい方向に導くだけでなく、我々が共有する国際的責任を果たし、世界の平和と平静のために努力しなければならない」と述べたと明らかにした。

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プーチン氏、クリミア併合とウクライナ侵攻を称賛
ウクライナでの戦闘が続く中、ロシアのプーチン大統領はモスクワのルジニキ・スタジアムに集まった数万人に向けて、クリミア併合8周年を祝う演説を行った。
プーチン氏はこれまでも、クリミア併合の節目を利用して祖国への愛を強調してきた。
プーチン氏は「我々は次に何をしなければならないかを理解している」、「我々が設定した計画の全てを必ず実行する」と述べた。
また、ロシアの団結力を示したとして軍を称賛。「必要であれば兄弟のように体を張って銃弾をかわし合う。このような団結は長い間なかった」とたたえた。
プーチン氏は、ロシア軍がウクライナ東部の人々をジェノサイド(集団虐殺)から守っているとの虚偽の主張を繰り返した。
この演説は国営放送で中継されたが、プーチン氏が話している途中で突然、同国の歌手オレグ・ガズマノフ氏が「前進せよ、ロシア」と力強く歌う映像に切り替わる事態が発生した。ロシア政府は後に技術的な不具合があったと発表した。
モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長、国営放送のトップジャーナリスト、マルガリータ・シモニャン氏、外務省のマリア・ザハロワ報道官も演説を行った。

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公務員が強制参加か
当局は20万人以上が会場に集まったとしているが、実際の人数は検証できていない。スタジアムの公式収容人数は8万1000人。スタジアム外にも大勢が集まっていた。
参加者たちはロシア国旗を振り、8年の節目を祝った。
モスクワで取材するBBCのウィル・ヴァーノン記者は、入場するため行列する人々に話を聞いた。
多くの集会参加者はBBCに対し、自分たちは普段は公共部門で働いていて、雇用主から集会に参加するよう圧力を受けたと話した。
モスクワの地下鉄で働いているという男性も、ほかの従業員と一緒に強制的に参加させられたと語った。「ここにいる人の大半は戦争を支持していないと思う。私は支持していません」。
多くの人は撮影されるのを嫌がり、質問に答えなかった。
学生たちは「コンサート」に参加すれば授業を1日休めるという選択肢を提示されたと語った。BBCが話を聞いた学生の中には、このイベントがウクライナでの戦争を支援するものだと知らない人たちもいた。
一方で、プーチン氏やロシア政府が言う「ウクライナでの特別軍事作戦」の支持を示す「Z」マークを付けた人たちや、国旗を掲げる人たちも出席していた。
クリミア併合やウクライナ侵攻に関する特別授業
ロシア国内の学校では「クリミアの春」を記念する特別授業が行われた。
3月初旬には「我が国家」と題した、ウクライナ侵攻に関する特別授業が始まった。BBCロシア語によると、生徒たちはウクライナの歴史に対する詳細なビジョンを語るプーチン氏の動画を見せられたという。
今週初めには、ウクライナに侵攻したロシア軍の車両に描かれたシンボル「Z」の人文字をつくる子供たちの写真が浮上した。
ロシア教育省は一方的にクリミアを併合した3月18日に合わせた授業計画を学校側に送付した。同省が送付したメモによると、6年生から8年生(12歳から15歳)の授業では、「愛国心という感情について安定した、根拠のある理解を形成するのを助けるために(中略)現代の英雄たち」に焦点を当てるべきだとしている。
生徒たちは輪になって座り、「義務、尊厳、愛国心といった考え方が、功績や英雄的行為という概念と密接に関係している」との説明を受け、軍務に就く人は他の誰よりも英雄になれる可能性が高いことを示す動画を見るという。
クリミア併合をめぐる出来事について、ロシア側の言い分を伝える動画も学校に送付された。動画にはクリミア・セヴァストポリの10代の住民が登場し、2014年3月18日は「クリミアの春」が達成されたお祝いの日だと話している。別の10代少女は、なぜその出来事が春と呼ばれるのかと質問されると、「春は新しい生活の始まり。再生、暖かさ、太陽。そしてもちろん、居心地のいい家を表す」と答えている。
モスクワ地域のある教師は、嫌気がさしてこの日、仕事を休んだと語った。
「歴史がプロパガンダに使われるのは好きではありません。ウクライナに親類のいる子供が大勢いるので、危険だと思う。子供同士が対立してしまうかもしれないので」
この教師の同僚のほとんどは、こうした授業に賛同しているという。「爆弾を落とされた地域に親戚がいた人たちも賛成している。もっと早くにナチスを追い出すべきだったと言っている」。
多くの教師が「我が国家」授業を疑問視している。ヴォルゴグラード出身のある教師によると、一部の子供は戦争は冒険のようなものだと感じているという。「私は、戦争には良いことは何もないと説明した」と、その教師はBBCロシア語に話した。
マリウポリ市「中心部はもうない」
ロシア軍の攻撃が続くウクライナ南部の港湾都市マリウポリについて、被害状況への懸念が高まっている。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、16日にロシア軍に空爆された劇場の地下からこれまでに130人の生存者が救出されたが、まだ数百人が閉じ込められたままだと述べた。劇場の地下には当時、多数の市民が避難していた。
マリウポリ市議会によると、救助隊員が重傷者1人を発見したが、死者の報告はない。
ゼレンスキー氏は、ロシア軍の砲撃のせいで、民間人を避難させるための人道回廊をマリウポリ当局が確立できなかったと述べた。
マリウポリのヴァディム・ボイチェンコ市長は、戦闘が市の中心部にまで及んでいるとするロシア側の報道を認めた。
「街の中心部はもうない。市内に戦争の痕跡がない場所はない」と、市長はBBCに語った。
南部ミコライウでは、ウクライナ軍の兵舎にミサイル攻撃があり、40人以上の死亡が報告された。
一方でウクライナ全体としては、ロシアの侵略者はこの1週間でほとんど前進できていないと、複数の軍事アナリストは指摘している。
マリウポリを地球上から消し去ろうと
マリウポリからの避難民数百人が18日朝、ウクライナ西部リヴィウに初めて到着した。
ユリア・ヤシェンコさん(28)さんは「この街(マリウポリ)が地球上から消し去られようとしている」と話した。
「私たちの家は砲撃で焼かれた。(ロシア軍は)街に向かってあらゆるものを発射していて、あらゆる武器を使っている」
「黒煙があちこちに立ち込めている。死体がそこらじゅうに転がっているけど、それを回収する人は1人もいません」
ユリアさんは自宅が焼かれた後、両親と共に9日間、市内の劇場に避難していた。劇場を離れたのは、空爆の前日だった。
「私たちが生きているのは、そういう運命だから。ただそれだけ」と、ユリアさんは言う。「いつ殺されてもおかしくなかった。みなさんが私たちを車に乗せて、人道回廊がある街の外に連れ出してくれた」。
「こんなことはあってはならない。何が起きているのか、世界に伝えてください」

ロシア、航空機修理工場を破壊
リヴィウ近郊では18日未明、ロシア軍が航空機修理工場にミサイル攻撃を行った。リヴィウは国内各地の戦火から逃れた人たちにとって、避難場所となっている。
3回の大きな爆発音が聞こえた後、リヴィウ中心部からわずか6キロの工場に緊急車両が駆けつけた。この攻撃による負傷者は報告されていない。
今回の攻撃は、主要な人道的供給ルートであり、何十万人もの避難民の拠点となっているリヴィウ近郊で起きた攻撃としてはこれまでで最も近距離のもの。

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