イランで長期拘束のイギリス国籍の2人、解放され帰国

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イギリスとイランの二重国籍を持ち、スパイ容疑などでイランで長年拘束されていたナザニン・ザガリ=ラトクリフ氏(43)とアヌーシェ・アシューリ氏(67)が17日、イギリスに到着した。2人はオマーンを経由し、同日午前1時過ぎにオックスフォードシャーのブライズ・ノートン王立空軍基地に、チャーター機で到着した。
2人はイランでかけられた容疑について無実を主張。イギリス政府も2人の主張を支持し、解放に向けてイラン政府と交渉を重ねてきた。
アシューリ氏の娘のエリカさんはツイッターに、2人が家族と再会した様子の写真を投稿。
「幸せの1枚」というキャプションが付けられた写真では、ザガリ=ラトクリフ氏が6年ぶりに再会した娘のガブリエラちゃん(7)を抱きかかえている。
トムソン・ロイター財団のプロジェクト主任だったザガリ=ラトクリフ氏は2016年、イラン政府を転覆させようとした容疑がかけられ、裁判で禁錮5年の刑が言い渡された。昨年4月には、反政府プロパガンダを流した罪で、さらに1年の禁錮刑と国外への渡航禁止を言い渡された。
元土木技師のアシューリ氏は2017年にスパイ容疑で拘束され、禁錮10年の有罪判決を受けていた。2人は一貫して容疑を否定していた。
ザガリ=ラトクリフ氏とアシューリ氏は16日、イランで解放された。
ブライズ・ノートン基地での記者会見でリズ・トラス英外相は、2人の解放について、「最後の瞬間」まで不確定だったと説明。2人の家族にとって「とても感情を揺さぶる」数日間だったと語った。
「2人が元気だと報告できることが喜ばしい。この非常に困難な時期に冷静でいてくれた両家族に感謝する。2人をイギリスに健康かつ安全に迎えられたことは本当に素晴らしい」
ザガリ=ラトクリフ氏の帰国直前、夫のリチャード・ラトクリフ氏は、妻が解放されたことを「とても喜んでいる」と話し、これが「家族の新生活の始まり」になるだろうと語った。
また、娘のガブリエラちゃんが母親に見せるおもちゃを選んでいることや、妻が帰ってきたらまずは紅茶を入れてあげようと思っていることなどを語った。
債務返済との関係は
イギリス政府は先に、イラン政府に対する4億ポンド(約620億円)近い債務を返済したばかり。しかし両政府は、この返済と2人の解放は関連させるべきではないとしている。
この債務は1970年代にさかのぼる。当時のイラン政府は英国防省の支局に、戦車「チーフテン」1500台と装甲回収車250台を発注した。
しかし1979年のイラン革命後にイギリスはこの受注をキャンセルし、戦車を185台しか供給しなかった。
トラス外相は、この債務は「合法的なものだ」と説明。一方で、債務の件とザガリ=ラトクリフ氏とアシューリ氏の件は「英・イラン間の関係で同時進行していた問題だ」と述べた。
その上で、返済金はイランへの制裁に「完全に沿った形」で支払われ、「人道支援物資の購入にのみ使用されるよう制限される」と話した。
まだ帰国できない男性も
実業家兼野生動物保護活動家のモラド・タバズ氏(66)もイランの刑務所から釈放されたものの、出国は許されていない。
イランとイギリス、アメリカの国籍を持つタバズ氏は、環境・科学プロジェクトの名目で、イランの戦略的地域で秘密情報を収集していたとして有罪となった。タバズ氏は容疑を否定している。
イギリスのトラス外相はツイッターで、「モラド・タバズ氏が仮釈放され、イランで家族と再会できたことは喜ばしいが、十分な結果からは程遠い。我々は引き続き、同氏のイラン出国を勝ち取るために協議していく」と述べた。






