ウクライナ侵攻、首都キーウで爆発音か 数千人が国外へ避難

People gather at a metro station as they seek shelter from expected Russian air strikes, in Kyiv

画像提供, Reuters

画像説明, ロシアによる空爆に備え、地下鉄の駅に避難する市民(ウクライナ・キーウ)

ロシア軍が南、東、北の3方向からウクライナへの軍事攻撃を続ける中、ウクライナ軍は全面的な侵攻を阻止しようと抵抗している。首都キーウ(キエフ)近郊では激しい戦闘が起きている。25日未明から早朝にかけては、キーウ中心部で爆発音が相次ぎ聞こえたとの報道もある。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日、自分や家族の身に危険が迫っていると話した。

キーウ郊外の飛行場では戦闘が激しさを増している。ロシア部隊がこの場所を占領すれば、キーウ進軍の足掛かりになる可能性がある。

現地で取材する米CNNによると、キーウ中心部では25日未明、2度の大きな爆発音が聞こえた。首都から離れた場所でも3度目の大きな爆発音が聞こえたという。

動画説明, ウクライナ首都上空で巨大な爆発

同国のウニアン通信は、アントン・ヘラシチェンコ元内務次官が爆発音を2度聞き、巡航ミサイルか弾道ミサイルが使用されたとの見方を示したと伝えた。

ウクライナ軍はこれについて、今のところコメントしていない。

Russia advance to Kyiv

こうした中、数千人のウクライナ人が国外へ逃れようとしている。

軍事攻撃を開始する数時間前の24日朝(日本時間同日正午前)、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はテレビ演説で、ウクライナ東部ドンバス地域で「特別軍事作戦」を実施すると発表。ロシアに干渉しようとする国は「これまで見たこともないような結果」に直面するだろうと警告していた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は戦闘を継続すると誓った。また、「新たな鉄のカーテン」ができつつあるとし、ウクライナがその西側に確実にとどまるようにすることが自分の役目だと述べた。「鉄のカーテン」とは、第2次世界大戦後にソ連が東欧の共産主義国を統制し、東西を分断した状況を指す言葉。

ゼレンスキー氏は国内の全地域での徴集兵と予備役を招集し、戦闘に加わるよう命じた。国防相は、ロシアを撃退するため、武器を持てる者は誰でも参加するよう求めた。

また、ウクライナは「絶対に自由を手放さない」とした。

「ロシアは悪の道へと乗り出したが、ウクライナは自衛する」と、ゼレンスキー氏はツイートした。

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市内では終日、銃声や爆発音が確認された。ゼレンスキー氏は「破壊工作員」がキーウに侵入したと述べたと、ウクライナメディアは伝えた。

欧米の情報当局は先に、ロシアがキーウを制圧するために「圧倒的な武力」を構築していると警告していた。

explosions
Presentational white space

ロシアが「私を消そうとしている」

ゼレンスキー大統領はビデオ演説で、「彼ら(ロシア)はウクライナの国家元首を消すことで、ウクライナを政治的に破壊したいと考えている」と述べた。

また、「敵は私を第一の標的に、私の家族を第二の標的に指定している」とした。

大統領は自分はキーウ市内の「政府宿舎」に滞在しており、家族も国内にいると話した。これ以上の詳細は明かさなかった。

多数の兵士が犠牲に

チョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所でもロシア軍とチョルノービリの警備隊が戦闘を繰り広げた。ウクライナのミハイロ・ポドリヤク大統領顧問は、「激しい戦闘」の末にロシア軍が原発施設を掌握したと説明した。

また、ウクライナ兵40人以上が死亡し、さらに多くの負傷者が出ているとした。

ウクライナ側はロシア兵50人が死亡し、ロシア軍機6機を撃墜したと発表している。

ウクライナ内務省関係者によると、キーウ市内のダルニツキ地区上空でロシアの航空機が撃墜されたという。

ロシアのジェット機1機は民家近くに墜落したと、ヘラシチェンコ元内務次官は説明したが、まだその事実は確認できていない。

ウクライナ当局は、キーウ近郊の町ブロバルイにある軍事基地がロシアの巡航ミサイルの攻撃を受けた際にも同様の音が聞こえたとしている。この攻撃で6人が死亡したという。

ニュースチャンネル「TelekanalNTA」は炎と煙が上がる様子をとらえた画像をツイートした。

現地の報道によると、キーウ市内の9階建ての住居ビルで火災が発生した。

ヴィタリ・クリチコ市長は、「ロケット弾の破片で」少なくとも3人が負傷し、うち1人が重体だとツイート。建物が燃えており、「崩壊の危機」にさらされていると付け加えた。

キーウにあるボルィースピリ国際空港をはじめ、キーウ、ドニプロ、ハルキウ、マリウポリといった大都市にある軍司令部や倉庫などが空爆されたと、ウクライナ軍は発表した。

BBCが確認した映像では、西部イヴァノ・フランキウシクの空港にミサイルが撃ち込まれたことがわかる。

ロシアは70以上の軍事関連の標的を破壊したと主張している。

4000人超が隣国モルドヴァへ

一部の隣国は、多数の難民を受け入れる準備を始めている。モルドヴァにはすでに、4000人以上が国境を越えて押し寄せている。このほかにルーマニア、ポーランド、ハンガリーなどへも逃れている。

ウクライナとモルドヴァとの国境には避難しようとする車が列をなしている。モルドヴァのマイア・サンドゥ大統領は非常事態を宣言し、ウクライナ人数万人に支援を提供する用意があると表明した。リトアニアのギタナス・ナウセダ大統領も、議会の承認を得た後に非常事態宣言に署名するとした。

国連の推計によると、10万人以上が家を追われたという。

イギリス国防省はウクライナ軍がロシアによる侵攻に抵抗しているものの、双方に「多数の犠牲者」が出ていると指摘した。

動画説明, 空爆の音で侵攻開始を知る ウクライナの人たちの侵攻初日

欧米諸国の反応

ロシアのウクライナ侵攻開始から約12時間を経て、アメリカノジョー・バイデン大統領は24日、追加の制裁措置を発表した。

ホワイトハウスで記者発表したバイデン大統領は、ロシアは何の挑発もないまま、正当性も必要性もないにもかかわらず、隣国に対する計画的な攻撃を開始したと非難。

「この戦争をする選択をしたのはプーチンだ。それがもたらす結果の報いを、プーチンと彼の国は受けることになる」と述べた。

一方でバイデン氏は、アメリカ軍がウクライナ国内でロシア軍と戦うことはないと強調した。

動画説明, バイデン氏、プーチン氏は自ら「選んだ戦争」の報いを受ける 追加制裁発表

イギリスや欧州連合(EU)など西側諸国も、ロシアに対して厳しい追加制裁を科すと発表しているが、ウクライナへの派兵は否定している。

ボリス・ジョンソン英首相はテレビ演説で、「ウラジーミル・プーチン氏によるおぞましく野蛮な、冒険的行動は失敗に終わらせるべき」だと述べた。

ロシア国民に向けて、「あなたの名のもとでこうしたことが行われているなど、信じられない。これがプーチン政権にもたらすであろう(国際社会から疎外される)『パーリア国家』を、あなたが本当に望んでいるとは思えない」としたほか、ウクライナの人々に対してはイギリスは「あなた方の味方」だと述べた。

EUのジョセップ・ボレル・フォンテジェス外務・安全保障政策上級代表は、「第2次世界大戦以来、ヨーロッパで最も暗い時代のひとつ」だと述べた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「プーチン大統領。人道の名のもとに、あなたの部隊をロシアへ戻してほしい」と呼びかけた。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は24日、プーチン大統領と電話会談を行った。仏政府によると、マクロン氏はプーチン氏に攻撃の「即時停止」を求め、「大規模な制裁」を科すことになると警告した。

しかしロシア政府は、両首脳は「真剣かつ率直な意見交換」を行っただけだと説明した。

マクロン氏は、この攻撃は「我々の生活に深く、永続的な影響を与える」だろうと述べた。

NATOの介入を要求

ウクライナのヴァディム・プリスタイコ駐英大使は西側諸国とNATOに対し、ロシアによる侵略行為を「撃退」するために対応の強化を求めた。

英紙タイムズに宛てた書簡の中で、ウクライナ政府は降伏しないとしつつ、ロシアを撃退するには国連加盟国からの支援が早急に必要だと主張した。

「イギリスを含む西側諸国は、ロシアに対して即座に、断固とした痛みを伴う制裁を科すと約束した。我々はそれを期待している。ロシア(の金融機関を)国際決済システム「スイフト」から切り離すだけでは不十分だ。この病的な攻撃を失敗に終わらせるためには、さらなる対応が必要だ」

プリスタイコ氏の願いとは裏腹に、西側諸国はこれまでのところ、ロシアを「スイフト」から切り離すという手段は対象外にしている。