黒人の宅配ドライバーを親子で「追いかけ発砲」 米ミシシッピ州

D'Monterrio Gibson speaks to CBS

画像提供, CBS

画像説明, CBSの取材を受けるドモンテリオ・ギブソンさん

米ミシシッピ州で米宅配大手フェデックスの運転手として働く黒人男性が、仕事中の自分を追いかけてきて発砲した親子について、ヘイトクライム(憎悪犯罪)事件として起訴するよう求めている。

ドモンテリオ・ギブソンさん(24)は、ジョギング中に白人親子に追跡されて射殺された黒人青年、アマード・アーバリーさん(当時25)の事件と自分の経験には共通点があると指摘。米CNNに対して、「(アーバリーさんは)自分に何があったか主張しようにも生き延びられなかった。それだけに、自分は声を上げる責任があると感じている」と話した。

ギブソンさんによると、今年1月24日にミシシッピ州ブルックヘイヴンでフェデックスの宅配業務にあたっていた時、事件が起きた。配達車両を、一軒家の車寄せから出して道路に戻ろうとした際、軽トラックにさえぎられた。トラックをよけて道路に出ると、路上で男性が自分に銃を向けて、車を停めるよう合図してきた。

この男性がいきなり発砲し始め、自分はハンドルに身を伏せながら、その場を離れたという。発砲によって配達車両の車体と、車内の荷物が破損したが、負傷者は出なかった。

ギブソンさんによると、2人の男はその後も発砲しながら、自分を追いかけてきたという。高速道路に出たところで追跡は終わり、ギブソンさんはフェデックスの配送センターに戻った。

警察に被害届を出したギブソンさんは、上司を伴って警察署に出向き、配達車両についた銃弾の痕を自分たちが警察に見せるまで、警察は自分の言うことをまじめに受け取ろうとしなかったと批判している。

事件当時、自分はフェデックス配達員の制服を着ていた上、レンタカー大手ハーツのロゴがついたバンを運転していたとギブソンさんは言う。

この8日後に逮捕されたグレゴリー・チャールズ・ケイス容疑者(58)と息子のブランドン・ケイス容疑者(35)は、後に保釈された。ブランドン容疑者は、移動中の車両に向かって発砲したとして加重暴行容疑で、父グレゴリー容疑者は共謀容疑で、それぞれ起訴されている。

The cases

画像提供, Brookhaven police

画像説明, ブランドン・ケイス容疑者(左)と父親のグレゴリー・チャールズ・ケイス容疑者(提供:ブルックヘイヴン警察)

ギブソンさんの代理人、カルロス・ムーア弁護士は、両容疑者にかけられた罪状が軽すぎると主張し、連邦法にもとづき憎悪犯罪として捜査するよう要求。さらに、捜査の担当をブルックヘイヴン警察署から別の捜査機関に移管し、殺人未遂罪も適用するよう求めている。

「(ギブソンさんは)フェデックスにフルタイムで雇用されている。事件当時は、自分の仕事に取り組んでいた。それなのに、その人の行く手を阻み、追いかけ妨害しようとして、繰り返し発砲した」と、弁護士は容疑者親子を批判。さらに、「彼の肌の色だけを理由に、それほど憎悪にまみれ、それほど人種差別をして、それほど悪意だらけになれるなど、あまりにおぞましいことだ」と述べた。

ギブソンさんは事件後も、同じ配達ルートを担当するよう会社に指示されたが、数日すると途中でパニックの発作が起きるようになったため、無給で休みをとらざるを得なくなったという。

フェデックスは、「当社はこうした状況をきわめて深刻に受け止めており、チームの一員に対するこの犯罪行為に衝撃を受けている」とコメントを出した。

米ジョージア州で2020年2月にジョギング中のアーバリーさんを追いかけ射殺した罪で有罪になった白人男性3人には、今年1月に終身刑が言い渡された。この事件でも3人のうち2人は父と息子だった。アーバリーさん殺害については、憎悪犯罪として扱う連邦法事件としての裁判が控えており、今は陪審員の選任作業が続いている。