テキサス州、投票制限の州法が成立 中絶禁止法の施行も議論に

Voting by car, as this Texan did in 2020, is now banned

画像提供, Getty Images

画像説明, 2020年米大統領選でみられたドライブスルー投票がテキサス州で禁止される

米テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は7日、有権者に認める投票方法を大幅に制限する投票権法案に署名した。成立した同州法は、12月から施行される。同州では、妊娠6週目以降の中絶を禁止する州法が施行されたばかりで、全米の議論になっている。

投票権に関する新しい州法では、ドライブスルー投票や24時間利用できる投票所の設置が禁止され、郵便投票の際の身分証明書の提示が義務付けられるなど、投票方法が制限される。

テキサス州の共和党議員は、選挙の安全性確保のために必要不可欠な措置だと主張している。

アボット州知事は7日、法案の署名式で「選挙の完全性はいまや、テキサス州で法制化されている」と述べ、同法は選挙改革法案の成立を望む他の州の「模範」になるとした。

少数派や障害者に「不相応な負担」与えると

一方、民主党や公民権団体は、この法案が民族的少数派や高齢者、障害者などに対し、投票をする上で不相応な負担を与えたり、投票の意欲をそぐことになると指摘している。

7月には、民主党のテキサス州下院議員50人ほどが、法案の成立を阻止するためにプライベートジェット2機で地元を離れ、議会をボイコットした。

法案をめぐってはすでに、発効差し止めを求める訴訟が3件起こされている。

少数派人権団体や障害者支援団体は、少数派の有権者を意図的に差別するものであり、連邦法違反だと主張している。

カマラ・ハリス副大統領(民主党)は「前回選挙で、歴史的数のテキサス州民、とりわけ有色人種の市民が安全に投票できた投票の選択肢を制限するもの」だとツイートした。

投票制度の見直し相次ぐ

新法で禁止されるドライブスルー投票は、2020年11月の大統領選で、ヒューストンでの記録的な投票率につながったと考えられている。同地域ではジョー・バイデン米大統領がドナルド・トランプ氏に13ポイント差で勝利した。

テキサス州での大統領選の投票で不正があったという主張を裏付ける、実質的根拠は示されなかった。

アメリカでは、野党・共和党が優勢な州で投票制度の見直しが相次いでいる。

ニューヨーク大学ロースクール・ブレナン正義センターによると、昨年の大統領選以降、少なくとも18の州が新たな投票法を制定している。

法案の内容は次の通り――。

  • 24時間利用可能な投票所の廃止
  • 郵便投票にID(身分証)の提示義務を追加
  • 選挙管理が有権者に未承諾の不在者投票用紙を送ることを禁止
  • 日曜日13時以前の投票を禁止
  • 党員による投票監視を簡単に排除できないようにし、投票所内での「自由な移動」を認める
  • 月1回の市民権調査を実施

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妊娠6週以降の中絶禁止法を施行

テキサス州では今月1日、保守的な共和党議員が推し進めていた妊娠6週目以降の中絶を禁止する州法が施行されたばかり。

権利擁護団体などが連邦最高裁に差し止めを求めたが、最高裁は同日夜、請求を退けた。

この州法は、胎児の心臓音を検知できる時期だと中絶反対派が主張する、妊娠6週目以降の中絶を禁じるもので、「ハートビート(心臓音)法」とも呼ばれる。妊娠6週目は、多くの女性が妊娠を自覚しない。

ほとんどの女性が中絶を受けられなくなるこの州法について、米司法省は6日、テキサス州内で中絶を行うクリニックを保護すると表明した。

同省は中絶を行うクリニックや中絶を求める人が「攻撃を受けた」場合には、「連邦法執行機関による支援を提供する」としている。

医師や女性の権利を訴える団体は、この中絶禁止法を批判している。

また、この法では、妊娠6週目以降の中絶を行った医師を誰もが訴えることができる。

メリック・ガーランド米国司法長官は6日の声明で、「我々はFACE法(クリニックへのアクセス自由法)に違反し、性と生殖に関する健康のためのサービスを得ようとする者、あるいは提供しようとする者に対して暴力や物理的な妨害、物的損害を与える行為を容認しない」と述べた。

また、「女性やその他の人々の憲法上の権利を守るため、テキサス州の中絶禁止法に異議を申し立てるためのあらゆる選択肢を緊急に模索する」とした。

4月の世論調査によると、保守的なテキサス州では、有権者の半数近くが妊娠6週目以降の中絶禁止を支持している。