タリバンが暫定政府を発表、FBI指名手配の幹部が内相に 女性入閣はなし

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武装勢力タリバンは7日、アフガニスタンの暫定政府を発表し、「アフガニスタン・イスラム首長国」の樹立を宣言した。女性の入閣はなかった。
新内閣は男性のみで構成されている。過去20年の間に米軍への攻撃を繰り返したことで知られるタリバン幹部が、複数含まれる。
モハマド・ハサン・アフンド師が暫定首相として新内閣を率いることとなる。ハサン・アフンド師はタリバン創設者の1人で、国連のブラックリストに登録されている。
内務大臣には米連邦捜査局(FBI)に指名手配されている過激派組織「ハッカーニ」のリーダー、シラジュディン・ハッカーニ氏が就任した。
タリバンは3週間以上前にアフガンの大部分を掌握。選挙によって選ばれたガニ政権の指導陣を追放した。
今回の暫定内閣の発表は、タリバンによる恒久的な政府づくりに向けた重要な一歩といえる。新指導部は特に国の経済を安定させ、国際的な評価を得ることなど、大きな課題に直面することとなる。
タリバンはこれまで、多様な人材が参加する包括的な政権の樹立を希望すると話してきた。しかし7日に発表された閣僚は全員、タリバン幹部としてすでに地位を確立していた人物で、女性は含まれていない。

閣僚にイスラム法の施行を指示
タリバンの最高指導者マウラウイ・ハイバトゥラー・アクンザダ氏の名が記された声明は、暫定政府にシャリア(イスラム法)を守るよう指示した。
英語で発表された声明によると、タリバンは「隣国や他のすべての国と、相互尊重と交流に基づく強固で健全な関係」を持つことを望むと表明した。ただし、国際法や条約については、「イスラム法やアフガンの価値観に抵触しない」ものは尊重するとしている。
ハイバトゥラー・アクンザダ氏はこれまでに公の場に姿を現したことは1度もない。同氏のものとみられるメッセージが発信されたのは、タリバンがアフガンを掌握して以来初めて。
暫定首相のハサン・アフンド師は、タリバンが1996年から2001年にかけてアフガンを支配した当時、外務副大臣を務めていた。タリバンでは軍事的側面よりも宗教的な側面で影響力を持つ。
タリバンの中で、比較的穏健な幹部と強硬派との間で内紛があったと最近報じられていたことから、ハサン・アフンド師の起用は双方の妥協点だとみられている。
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内相は米政府テロリスト一覧に
暫定内務大臣のシラジュディン・ハッカーニ氏は、タリバン系列の過激派組織ハッカーニ・ネットワークのリーダー。2017年にカブールで150人以上が死亡したトラック爆弾攻撃など、20年におよぶ同国での戦闘で、複数の致命的な攻撃に関与してきた。
ハッカーニ・ネットワークはタリバンとは異なり、アメリカの国外テロリスト組織に指定されている。また、過激派組織アルカイダと緊密な関係を保っている。
FBIによると、ハッカーニ氏は「2008年1月にカブールのホテルが襲撃され(中略)アメリカ人1人を含む6人が死亡した事件に関連し、指名手配」されている。
また、「ハッカーニ氏はアメリカおよびアフガンに駐留する連合軍に対する国境を越えた攻撃を組織し、その活動に加わったと考えられる。2008年にアフガニスタンのハミド・カルザイ元大統領の暗殺計画にも関与したとされる」とある。

ハッカーニ・ネットワークは2011年9月12日にカブールの米国大使館と、近くの北大西洋条約機構(NATO)の拠点に対する攻撃についても、関与を指摘されている。この攻撃では警官4人と民間人4人、計8人が死亡した。
暫定政府のそのほかの顔ぶれは次の通り――。
- 防衛大臣には、タリバン創設者で初代最高指導者だったムラー・オマル氏の息子モハメド・ヤクーブ・ムジャヒド師が就任。2015年、父親の死後に公開した音声メッセージでタリバン内の団結を呼びかけ、注目を集めた人物
- タリバン共同創設者のアブドル・ガーニ・バラダル師が副首相の1人となる。バラダル師はドーハ政治事務所の元代表で、昨年にタリバンと米政府が米軍のアフガン撤退で合意した際に、合意文書に署名した
- 外務大臣には、アメリカとの米軍撤退交渉に参加したタリバン幹部マウルヴィ・アミール・カーン・ムタキ氏が就任する

なぜ女性が1人も起用されなかったのか尋ねると、タリバンのある幹部は、まだ内閣は確定していないとBBCに述べた。
BBCのリーズ・ドゥセット国際報道主任特派員は、女性の入閣の可能性は全くないだろうと指摘。同国の女性課題省は現時点では完全に廃止されたようだとしている。
また、この暫定政府は、タリバンの勝利はタリバンの支配のみを意味するというタリバンの見解を強調するものだと、ドゥーセット氏は説明する。
情報筋によると、タリバンは「包括的な」政府を求める声に反発しており、国のトップになったことのある元政治家や役人、とりわけ汚職にまみれた人物の起用をためらったという。
デモ隊に警告射撃
暫定政府の発表があったこの日、首都カブールでは女性を中心に数百人が抗議デモに参加。タリバン戦闘員は上空に向けて発砲し、デモ隊を解散させた。
現場を捉えた映像には、タリバンが警告射撃する中、人々が安全な場所へ逃げ込む様子が映っていた。激しい銃声も確認できる。
タリバンは、カブールの北に位置するパンジシールで抵抗を続けていた「アフガニスタンの反タリバン国家抵抗戦線」(NRF)を倒し、アフガンを完全掌握したと主張している。
対するNRFは声明で、「タリバンの暫定内閣発表は不法で、同組織がアフガン国民を敵視していることが明確に表れている」とした。










