バイデン米大統領、6兆ドル規模の予算措置を議会に要求

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ジョー・バイデン米大統領は28日、政権発足後初となる2022会計年度(21年10月1日~22年9月30日)の予算教書を米議会に示した。6兆ドル(約660兆円)の歳出規模を求めるもので、富裕層への大幅な増税措置が含まれる。
バイデン政権の予算案は、巨大な規模の新しい社会福祉制度の発足や、気候変動対策への大規模投資を含む内容になっている。すでに発表済みの、2兆3000億ドルの雇用拡大案や、無償教育の年数拡大を含む1兆8000億ドル規模の育児・教育支援案も、今回の予算案に含まれる。
バイデン大統領は予算教書の内容について、「アメリカの人たちに直接投資し、この国の経済を強化し、私たちの長期的な財政の健全性を改善するものだ」と述べた。
予算案では、企業やキャピタルゲイン、富裕層への増税で少なくとも3兆ドル分の財源を確保する。一方で、連邦政府の債務残高のGDP比は2031年には117%に達し、 第2次世界大戦中を超える水準となる見通し。
連邦政府の予算成立には議会の同意が必要となる。野党・共和党重鎮のリンジー・グレアム上院議員はすでに、「頭がおかしいほど金がかかる」予算案だと批判。上院共和党幹部のミッチ・マコネル院内総務は「社会主義者の白昼夢」のような予算案だと攻撃した。
共和党のドナルド・トランプ前大統領も在任中は毎年、連邦債務を増やした。トランプ氏が提出した2021年度予算案は、4兆8000億ドル(約526兆円)規模だった。
一方で、過去に民主党のクリントン政権の財務長官、オバマ政権の国家経済会議委員長を歴任したラリー・サマーズ氏ら一部のエコノミストは、今回の予算案ほどの巨額支出はインフレ悪化につながると警告。インフレ率が急上昇すればアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は金利引き上げを余儀なくされる恐れがあり、その場合は景気後退のリスクが生じると懸念している。
予算案に含まれるのは
バイデン政権は予算案について、アメリカ経済が下から上へ、中産階級から全体へと成長していくのを促すものだと説明している。
予算案に含まれる項目の一部は次の通り―――。
- 気候変動対策(クリーン・エネルギー投資含む)に8000億ドル以上
- 3歳と4歳の幼児全員に無料保育提供(2000億ドル)
- 全市民に2年間、コミュニティー・カレッジでの無料学習機会提供(1090億ドル)
- 全国的な傷病・介護休暇事業に2250億ドル。この実施によってアメリカの同事業は他の先進国並みに
- 道路・橋の整備に1150億ドル。公共交通機関・鉄道の整備に1600億ドル
- 全米世帯のインターネット・ブロードバンド接続改善に1000億ドル
予算案から省かれたことで注目されている内容もある。中絶手術の予算措置に関する「ハイド修正条項」と呼ばれる項目は、強姦と近親相姦の場合を除き妊娠の人工中絶手術の費用を公的資金でまかなってはならないと定めるもの。1976年に成立したこのハイド修正条項を、バイデン政権は今回初めて予算案から取り除いた。
熱心なカトリック信者のバイデン氏は長年、このハイド修正条項を支持していたが、昨年の大統領選中に立場をあらためた。今回の対応は、女性の人工中絶権を支持する進歩派から高く評価されている。
ただし、民主党内の中道派にはハイド修正条項を支持する声もあり、条項削除に強く反対する共和党に同調する可能性もある。











