英政府、軍艦2隻をジャージー島に 仏漁船の抗議を警戒

ジョージ・ボウデン、BBCニュース

HMS Severn, an offshore patrol vessel

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画像説明, 英海軍の軍艦セヴァンがジャージー島の周辺海域に派遣された

英政府は5日、英仏海峡最大の島で英王室属領のジャージー島の主要港に、海軍の軍艦2隻を派遣すると発表した。イギリスとフランスは漁業権をめぐって争いを続けている。

ボリス・ジョンソン英首相は、フランスの漁船100隻以上が6日にジャージー島に向けて出航する準備をしていることを受け、「いかなる封鎖もまったく正当化されない」と述べた。

イギリスが欧州連合(EU)離脱後、フランスの漁船に対して新たな規則を適用していることをめぐり、仏政府はジャージー島への電力供給を断つと迫っている。

ジョンソン首相は軍艦の派遣について「状況を監視するためだ」と述べた。

英首相は「断固支援」

英海軍のセヴァンが、ジャージー島のセント・ヘリア港沖に向かった。軍艦タマーも続く。

セヴァンはこれまで、イングランド沖でロシア海軍の軍艦を追い払う役割を果たしてきた。また、両艇とも日常的に漁業の安全確保の任務にもついており、乗組員らは他の船に乗り込んで検査も実施している。

ジョンソン首相は5日夜、フランス沖22キロに位置するジャージー島の政府への「断固とした支援」を宣言した。

これに先立ちジョンソン氏は、ジャージー政府のジョン・ル・フォンドレ首席大臣(首相)やイアン・ゴースト対外関係大臣(外相)と協議。フランスとの間の「緊張緩和が緊急に必要なことを強調した」という。

ゴースト氏はBBCに、フランスから受けている脅威は「不相応だ」とし、6日朝のフランス漁業関係者らによる活動が「平和的なデモ」となることを期待していると述べた。

また、ジャージー政府として、「港を封鎖するという脅しをとても深刻に」受け止めていると説明。だが、「外交で解決しなければならない」と話した。

フランス漁船100隻が島へ

AFP通信によると、フランスの漁船約100隻が6日、新規則への抗議として、ジャージー島の港に向けた出航を予定している。仏ノルマンディー地域の漁業組合トップ、ディミトリ・ロゴフ氏が明らかにした。

ロゴフ氏はAFP通信に、セント・ヘリア港を封鎖するつもりはなく、午後にはフランスに帰港すると述べたという。

イギリスとEUの貿易・協力協定(TCA)に基づいてジャージー政府が導入した新たな漁業規則は、フランスの漁船に対し、ジャージー島の周辺海域で漁業をしてきたことを示すよう義務付けている。

一方、フランス当局は、英仏海峡のチャンネル諸島沖で漁をするための「新たな手続き」は、EUに知らされていなかったとし、「無効だ」と主張している。

ジャージー沖での漁業をめぐる争い

St Helier Port on 12 April 2017

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画像説明, セント・ヘリア港(2017年4月撮影)

フランスの漁民らは、イギリスの海域での漁業について、許可の取得が難しく、排除されていると不満を述べている。

EUとの協定では、フランスの漁業者がジャージー島周辺海域での漁の許可を得るには、同海域での漁業歴を明らかにする必要がある。フランス側は、さらなる要件が通知なしに追加されたと訴えている。

漁業許可はジャージー当局だけが出せる。先週時点で、周辺海域で漁をするすべての漁船は許可が必要だとしている。

先月30日には、ジャージー政府はフランスの漁船41隻に許可を与えた。それらの船は、位置を確認できる機器を備えている。

しかし仏政府は、許可が出された漁船のリストとともに、「調整や協議がなく、通知もされていなかった」追加要件も示されたと訴えている。

漁業者クリス・ル・マスリエ氏は、フランスの漁民らの懸念はもっともだと話した。

「今回のことはフランス漁民に対する侮辱であり、みんな極めて立腹している。漁民らは、ジャージー海域で10日間漁をしたことを証明せよと言われている。何の漁をしているか、20日間や30日間漁をしているのかなどは、まったく関係ない」

一方、ジャージー漁業組合のドン・トンプソン氏は、影響を受けるフランス漁民が「1月1日から」新規則に従うことになっていたとし、「おそらく資格を満たせなかった船が怒っているのだろう」と述べた。

電力供給の停止を予告

ジャージー島の電力は95%が、フランスから3本の海底ケーブルを使って供給されている。フランスのアニク・ジラルダン海洋相は、その供給を停止すると発言した。

ジラルダン氏は4日、議会で、チャネル諸島の海域での漁業権に関する新規則は受け入れられないと主張。フランスは「報復措置を(中略)取る準備がある」と述べた。

「こういう事態になったのは残念だが、すべきことはする」

ジャージー政府の報道官は、フランス側の抗議を「とても深刻に」受け止めており、対応を取ると述べた。ただ、「善意」に基づいて行動してきたと主張した。

英海軍のセヴァンとタマーは、ポーツマス港を母港としている。ともに全長90.5メートルで、大型砲2基を備えている。