英官邸の改修費用めぐり、ジョンソン首相に疑惑浮上 どう支払った?
ベッキー・モートン、BBCニュース

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英ダウニング街(官邸)の高額の改修費用は、どのように支払われたのか。ボリス・ジョンソン首相がいま、その問いに直面している。
この問題は、最大野党・労働党が徹底した調査を求めている。
何が問題になっている?
ジョンソン首相と婚約者キャリー・シモンズ氏は、ダウニング街11番地の建物の上階にある2人の住居をリフォームした。
首相が住居整備のために受け取る公費は年3万ポンド(約450万円)だ。しかし、リフォームにかかった費用は、最大20万ポンドに上るのではないかとの見方が出ている。
この問題が一気に注目を集めるようになったのは、首相の上級顧問だったドミニク・カミングス氏が23日、ブログで世間を驚かせる発信をしたのがきっかけだった。
カミングス氏は、ジョンソン首相がかつて、住居の改修費用を献金者らに「ひそかに支出」させようとしたと主張。「不道徳で、おろかで、もしかすれば違法で、彼の意図した通りに実行されたのなら政治献金に関する適切な情報公開のルールをほぼ間違いなく破ったことになる」と訴えたのだ。
労働党は調査を要求。同時に首相に対し、改修費用の総額と、そもそも誰が支払ったのかを明らかにするよう迫った。
政府の説明
内閣府の閣外担当相のトゥルー卿は、塗装や研磨、床板の改修について、長年のダウニング街の取引業者が担ったと説明した。
また、「改修を超えた部分にかかった今年の費用は、すべて首相が個人的に負担した」と回答した。
2020~2021年の会計年度において、首相に支給される3万ドルのうちいくら使われたのか、詳細はまだ明らかになっていない。
別の財源からいくらかの費用が捻出されたのか、そして首相が後になってそれを埋め合わせたのか、という点もはっきりしない。
ジョンソン首相は、改修費用に献金を充てることを協議したことがあるかと問われると、「そのことについて何か言うことがあるとすれば、何らかの発表があるとすれば、しかるべき時期になされる」と述べた。
何が問題なのか?
透明性が問われている。
政党は7500ポンドを超える献金や借り入れについて、選挙管理委員会に届けなくてはならない。
一方、国会議員は自らの行動に影響を与えうる献金を受けた場合は、28日以内に報告しなければならない。
政府は年2回、閣僚らの経済的利害関係を公表することが求められている。だが昨年7月以降、新たな公表はされていない。
選挙管理委員会は、リフォーム関連の資金提供は政治献金に当たるのか、それゆえ公表の必要があるのかを検討中だとしている。
労働党党首のサー・キア・スターマーは「完全かつ透明な調査」を要求。浮上している疑惑は、政府への信頼を損なう恐れがあるとしている。

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財団は関与したのか?
ジョンソン首相をめぐっては、ダウニング街の遺産保存を目的とした慈善財団を設立しようとしていたとの報道が出ている。ロンドン北西にある首相公式別荘「チェッカーズ」や、閣僚などの公式別荘「ドーニーウッド」の修復費用は、この種のプログラムが支出している。
だが今日まで、そのような財団は設立されていない。
サイモン・ケース国家公務員担当大臣は下院で、これは「非常に複雑な」問題であり、政府と慈善団体委員会に、こうした財団の管理方法について質問すると述べた。
一方で、慈善財団を設立しても、首相官邸の私邸部分の費用はカバーできないと指摘している。
ケース氏はまた、保守党上院議員のブラウンロウ卿がこの財団の会長職を打診され、党を超えて会員を集めるよう指示されたと認めた。
英紙デイリー・メイルが入手した流出メールによれば、ブラウンロウ卿は昨年10月、「近く設立される『ダウニング街財団』に代わって党がすでに支払った額」を補填するために5万8000ポンドを献金するとしている。
なぜ10番地ではなく隣なのか
近年の歴代首相にならい、ジョンソン首相とシモンズ氏はダウニング街11番地の住居で暮らしている。寝室が4部屋あり、10番地の上階にある住居よりずっと広いからだ。
11番地に住んだ首相は、トニー・ブレア氏が最初だった。ブレア氏と妻シェリー氏は、夫妻と3人(のちに4人)の子どもたちのために、家族向けの住居に改変した。
2011年にはデイヴィッド・キャメロン首相(当時)と妻サマンサ・キャメロン氏が、3万ポンドをかけて、国内最重要の「グレード1」に指定されているこの建物を大幅改修した。

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今回のジョンソン首相のリフォームは、インテリアデザイナーのルル・ライトル氏が関わったと、関係者がBBCに明らかにした。
英ファッション誌タトラーによると、首相と婚約者は、前居住者だったテリーザ・メイ前首相が整えた「(英百貨店)ジョン・ルイスの家具の悪夢」のような家から、「上流社会のやすらぎの場所」に変えたかったとされる。





