インドで1日の感染者連日34万人超に 病院では医療用酸素不足で20人死亡
インドでは25日、新型コロナウイルスの1日の感染者数が4日連続で世界最多を記録した。医療用酸素の不足が深刻化しており、首都デリーの病院ではそれが原因で20人が死亡したという。
インド保健省が25日に公表した集計によると、過去24時間以内で新しく確認された感染者は34万9691人に達し、前日の34万6786人をさらに上回った。政府集計によると、新型コロナウイルスによる感染症COVID-19のため24時間の間に死亡した人数は2767人で、これも前日の2624人を上回った。
23日までの24時間の感染者は33万2730人、死者は2263人だった。
首都デリーのジャイプール・ゴールデン病院では24日朝までに少なくとも20人が、医療用酸素の不足が原因で死亡したという。
インド政府は、医療用酸素の供給に鉄道や空軍を動員するとしている。
世界保健機関(WHO)は、インドの現状は新型コロナウイルスがいかに甚大な被害をもたらすか、あらためて「恐ろしいほど念押しする」ものだと注意喚起した。

画像提供, Reuters
インドでは今年2月半ばに、1日の感染者数が1万1000人前後まで減少し、ワクチンの輸入も進んでいた。このため3月には保健相が、インドはパンデミック対応の「終盤に差し掛かった」と発言するなど、感染封じ込めに成功したと政府関係者の多くは考えていた。
しかしその後、新しい変異株が広く見つかるようになったほか、ヒンドゥー教の祭典「クンブメーラ」に数百万人が参加してガンジス川で沐浴(もくよく)するなど、大規模な集会の数々が感染拡大につながったと見られている。


「患者さんは死んでしまう」
首都デリーにある聖家族病院では、集中治療室は満員で、たとえベッドがあったとしてもそれを入れる場所がもはやない。
同病院のスミット・レイ医師はBBCに対して、「どこの病院もぎりぎりの瀬戸際状態だ。酸素がなくなれば、患者さんの多くはもうどうしようもない。手の打ちようがない。数分以内に死んでしまう」と話した。
「人工呼吸器につながれている患者さんたちは、高流量の酸素を必要としている。それがなくなれば、ほとんどの人は死んでしまう」
デリーのジャイプール・ゴールデン病院では医師がBBCに、政府は23日午後5時に3.6トンの酸素を提供すると約束したが、実際にはほんのわずかな量が深夜0時にやっと届いたと話した。
ロイター通信によると、23日にはデリー首都圏のアルヴィンド・ケジリワル首相がテレビで、酸素供給を政府に求めた。
「国内の酸素工場はすべてただちに、軍を通じて政府が管理すべきだ」と、ケジリワル氏は呼びかけた。
インド南部ヴェローレにあるキリスト教医科大学のガガンディープ・カン教授(ウイルス学)はBBCに、これまで以上の感染対策が必要だとして、「不要不急の行動を確実に止めなくてはならない」と話した。
「インドの結婚式がどういうものか、知っているでしょう。家族の行事だろうが会社の行事だろうが、政治集会だろうが、集会の規模を制限しなくてはならない。本当に、止めさせなくてはならない」と、教授は強調した。
<解説> 「酸素を、酸素を……」―――スティク・ビスワス、BBCオンライン・インド特派員

「酸素、酸素、酸素が手に入りませんか?」 今朝はこの悲痛な電話で目が覚めた。デリーの病院で生死の境にいる夫のため、学校の先生がかけてきたのだ。
今日もまた……と、私は思う。この街では本当に大勢にとって、呼吸そのものがぜいたくなものになってしまった。私たちは必死に電話をかけまくり、SOSを出す。重症病棟で働く友人の医師にメールする。
新聞を手に取る。民間病院で重症患者25人が亡くなったとある。重症病棟で医療用酸素の空気圧を下げていたのだと、病院は説明している。
新聞の一面には、1本の酸素ボンベを男性2人と女性1人が一緒に使う写真が出ている。見ず知らずの3人が、1本のライフラインを共有している。政府の怠慢がもたらした悲劇に巻き込まれて。
今日もまた1日が過ぎていく。変化は何もないのだと気づく。酸素がないので、患者が次々と死んでいる。医薬品も足りないままで、闇市場で取引されている。
朝に電話してきた先生から、また電話だ。病院には予備の酸素流量計さえないので、なんとか自分で調達しなくてはならないのだと。私たちはまた電話をかけまくり、ツイッターでも呼びかける。誰かが、流量計を見つけてくれる。
政府の言い分とは裏腹に、事態は悪化を続けている。ベッドはない。医薬品もほとんどない。大勢が緩慢な死への道を進んでいる。













