インド首都の病院、酸素を使い切る 新型ウイルスの死者増加
インドで新型コロナウイルスの感染第2波が急拡大する中、首都デリーの6つの病院で医療用酸素が底をつき、死者の増加に拍車をかけている。医師らは他の病院でも備蓄は数時間分しかないと話している。
インドの病院では、医療用酸素を待つ間に多くの人が亡くなっている。集中治療室の病床は99%以上埋まっている。
22日には、国内で過去24時間に確認された新型ウイルスの新規感染者が31万4835人に上り、これまでの世界最多を記録した。死者は前日より2104人増えた。
これまでに確認された累計感染者数は約1600万人に達している。
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酸素が不足
医療用酸素をめぐっては、別の州に運び出すのを州当局が禁じる動きが出ていると、デリーの放送局NDTVが伝えた。医療施設の一部は、予備をため込んでいると批判されている。
新型ウイルスに感染しデリー市内の病院で治療中の政治家サウラブ・バラドワジ氏は、病院には3時間分の医療用酸素しか残されていないと、ツイッター(ヒンディー語)で危機を訴えた。

画像提供, Saurabh Bharadwaj
「酸素に頼っている人は多く、酸素なしではそれらの人は、水から出された魚のように死んでしまう」
デリーは、インド国内で最も医療施設が充実していることで知られる。しかし、このところの感染急拡大によって医療崩壊が発生していると、BBCのヨギータ・リマエ・インド特派員は話す。
高まる緊張
インド南部の政府系病院の医師(匿名を希望)は、院内で緊張が高まっているとBBCに話した。
「患者らが医師に殴りかかろうとしている」、「患者らは全部医師のせいにし、管理職さえも医師が悪いと言っている。ストレスがたまる環境だ」。
さらに、「もう医療用酸素の99%近くを使ってしまい、残りは1%だけだ。悲惨な状況だ」と述べた。
火葬場がフル回転
死者の急増で、葬儀も十分にできない状況が生じている。
ロイター通信によると、遺族らは葬儀を長時間待たされている。デリーの火葬場の中には、件数の増加に対応するため、駐車場にまきの山を組んで火葬を行うところも出ている。複数の火葬場が集団火葬を実施しており、都市によっては昼夜を問わず火葬が行われている。
「新型ウイルス流行の初期は、1日の平均が8件から10件ほどで、18件だった日が1日だけあった。現在の状況はかなりひどい。昨夜は78人の遺体を火葬した」と、デリー北東部で火葬場を経営するジテンダー・シン・シャンティ氏はロイター通信に話した。
「この新型ウイルスは4倍恐ろしい(中略)多くの遺体がそこら中で待っている。それらを火葬する火葬場はもういっぱいだ。ひどい時代だ、ひどい時代だ」
悪化の背景
インドは1月時点では、新型ウイルスの流行を比較的抑えていた。しかしそれ以降、悪化の一途をたどった。
先月以降の感染者急増の背景としては、防止対策の緩みや、ヒンズー教の祝祭への数百万人の参加、「二重変異」株を含む変異株の出現が挙げられる。
批判の矛先は、西ベンガル州の選挙で大型集会を開いた各政党にも向けられている。政府は、投票を続行させた判断は誤りではないと主張しているが、選挙管理委員会は現在、選挙集会を禁止している。投票は現在も段階的に続けられている。

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対策を協議
ナレンドラ・モディ首相は22日、高官らと会議を開き、医療用酸素の供給不足問題を協議した。
政府の発表によると、首相は「高度な対策」が進行中だと説明を受けた。各州政府は必要度を調査する。
インドでは現在、全国的なロックダウンは実施されておらず、各地域が独自に規制を出している。
デリーは先週末に、1週間のロックダウンを発表。政府機関と病院や薬局、食料品店など生活に不可欠な事業所のみ営業できるとした。
感染拡大が最も深刻なマハラシュトラ州では、より厳しい制限が発表されている。同州はインドで最も経済力がある州で、経済の中心都市ムンバイがある。新型ウイルスの流行発生から、感染拡大の中心地となっており、国内の感染の4分の1が同州で確認されている。

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ワクチン接種の状況
ワクチン接種は、開始した1月には好調だったものの、その後ペースが落ちている。
これまでに接種を受けたのは約1億3000万人に上るが、人口が10億人を超えるインドではごく一部でしかない。接種対象者も、医療関係者や不可欠な公共サービスの職員、45歳以上、併存疾患がある人に限られている。
政府は7月までに2億5000万人への接種を目標にしているが、専門家らは達成は難しいとみている。
5月1日からは18歳以上が接種対象となる。だが、ワクチンが不足しており、接種のペースがさらに落ちることが危ぶまれている。












