英オックスフォード大、子どもへのワクチン治験を中断 成人の血栓報告受け

画像提供, Reuters
英オックスフォード大学は6日、英アストラゼネカと共同開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、未成年への臨床試験(治験)を中断した。イギリスでは医薬品規制当局が、同ワクチンの成人接種者にまれに血栓が生じていることについて関連を調べており、その間の措置だとしている。
オックスフォード大学のアンドリュー・ポラード教授はBBCに、治験そのものの安全性は不安視されてないが、関わっている科学者らは、英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)からのさらなる情報を待っている状態だと話した。
子どもを対象とした治験は2月に始まり、300人近くが志願している。6~17歳の人々について、同大学とアストラゼネカが開発したワクチンを接種することで、強力な免疫反応が確認されるかを調べている。
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ボリス・ジョンソン首相は6日、アストラゼネカの工場を訪れ、同社製ワクチンを支持した。
自らもこのワクチンを1回接種しているジョンソン氏は、「オックスフォード大学/アストラゼネカ製ワクチンについて言えるのは、独立規制機関であるMHRAの見解を確認するのが一番だということだ」とコメント。
「みなさんには、これまで通り接種を受け、2回目も接種しましょうとアドバイスしたい」と呼びかけた。
規制当局が近く見解発表へ
一方、欧州医薬品庁(EMA)関係者は個人的見解として、オックスフォード大学/アストラゼネカ製ワクチンと、まれに発生する血栓には何らかの関連がうかがえるとしている。
EMAとMHRAは近日中に、最新の見解を示す見通し。
EMAは「まだ結論に達しておらず、なお検証中だ」とした。一方のMHRAは、オックスフォード大学/アストラゼネカ製ワクチンの接種について、利益がリスクを上回るとしている。
政府の予防接種・免疫合同委員会(JCVI)メンバーのアダム・フィン博士は、BBCの番組ニューズナイトに出演。個人的な見方だとした上で、子どもへの治験の中断は問題が生じたからではなく、「予防措置」だとした。
オックスフォード大学/アストラゼネカ製ワクチンに対する個人としての評価はここ2週間で変わったかと問われると、血小板の減少と関連のある血栓症がみられることと、米ファイザー製ワクチンには同様の事案がみられないことが、特に気がかりだと説明。
「これら2点は、因果関係がある可能性を高めており、私たちは非常に深刻に受け止め、より明確に理解しなくてはならない」と述べた。
血栓は1810万回接種で30例
MHRAは現在、オックスフォード大学/アストラゼネカ製ワクチンの接種後に、血小板の減少とともに脳静脈洞血栓症(CVST)が発生した、まれな事案について調査している。
イギリスでは3月24日までに、同ワクチンの接種が1810万回実施され、血栓の発生は30人で確認された。うち7人は死亡したという。
同ワクチンについては、ドイツが60歳未満、カナダが55歳未満に接種を限定している。
イギリスでは、1回目のワクチン接種を済ませた人は3160万人を超え、2回目の接種をした人は約540万人に上っている。
接種にはオックスフォード大学/アストラゼネカ製と、米ファイザー/独ビオンテック製のワクチンが使われている。また、米モデルナのワクチンも使用が認められている。

<分析>さらなる情報が必要――ニック・トリグル保健担当編集委員
ワクチンから鎮痛剤まで、すべての医薬品には深刻な副作用が起こる可能性がある。
たとえば季節性のインフルエンザワクチンでは、100万人に1人が神経障害のギラン・バレー症候群になる可能性がある。
そのため、実際に問題となるのは「リスクを取るだけの効果があるのか?」ということだ。
まだ証明されていないが、もし新型ウイルスワクチンが血栓の原因だった場合、死亡する確率は250万人に1人だ。
一方、新型ウイルスに感染した場合、75歳以上では8人のうち1人が亡くなっている。40代では1000人に1人だ。
こうした数字からは、いつか感染するとしたら、ワクチンを接種しておく利益のほうが明らかにリスクを上回っていることがわかる。
いま必要なのは、どのような人に血栓が生じているかの、さらなる情報だ。何歳の人々なのか? 症状と関係するような基礎疾患はあるのか?
そのことが、リスクの大きさを見極めるのに役立つ。
イギリスとヨーロッパの規制当局は近く、最新の情報を公表する見通しだ。











