金正恩氏が異例の謝罪、「同胞に申し訳ない」 韓国政府職員の射殺めぐり

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韓国の政府職員が北朝鮮兵に射殺された事件で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は25日、韓国側に謝罪の書簡を送った。韓国大統領府が明らかにした。金委員長が個別事案について謝罪するのは、極めて異例。

報道によると、金委員長は韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に宛てた書簡で、このような事件は起こるべきではなかったと伝えた。

金氏は「南(韓国)の同胞に大きな失望感を与え、非常に申し訳ない」と謝罪したという。

「10発以上発砲、遺体は焼却せず」

韓国の徐薫(ソ・フン)国家安保室長はこの日の会見で、北朝鮮から事件の調査報告も受けたと説明した。

それによると、北朝鮮の警備艇は北朝鮮海域で、ライフジャケットをつけた男性を発見。警備艇の担当者たちはマスクをつけて遠くから男性に職務質問をしたものの、男性が身元を明かさないまま逃げようとしたため、10発以上発砲したという。

北朝鮮は、燃やしたのは当初発表されたような男性の遺体ではなく、男性がつかまっていた「浮遊用の器具」だと説明。「北朝鮮兵は発砲後の捜索で、身元不明の侵入者の居場所を特定できなかった。国家的緊急疾病予防措置に従い、浮遊用の器具を焼却した」と書かれてあったと、徐氏は明らかにした。

Unidentified fishing boats before the North Korean coastline from a viewpoint on the South Korea-controlled island of Yeonpyeong near the disputed waters of the Yellow Sea at dawn.

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画像説明, 韓国の延坪島は南北軍事境界線近くに位置する。写真は延坪島の展望台から見た黄海と北朝鮮

韓国国防省は前日24日、海洋水産省の男性職員(47)が南北軍事境界線近くの延坪島沖で行方不明になった後、北朝鮮側の海域で北朝鮮の兵士に発見されて射殺されたと発表した。男性の遺体は油をかけられ、焼却されたとした。

同省によると、男性は船内に靴を脱いで残していたという。また韓国メディアは、男性が最近離婚したばかりで、経済的なトラブルを抱えていたと伝えている。

南北軍事境界線には厳重な警備が敷かれている。

北朝鮮は現在、10月10日の朝鮮労働党創建75周年の記念日に向けて、大規模な軍事パレードを計画中とされる。そのため新型コロナウイルスの流入を防ぐため、強硬策を実施中の可能性がある。

北朝鮮は1月の時点で中国との国境を封鎖。7月には非常事態を最高レベルに引き上げたと発表した。

ロバート・エイブラムス在韓米軍司令官は先月、北朝鮮が中国国境沿いに幅1~2キロの「緩衝帯」を設置し、越境者は「射殺」するよう特別部隊に命令していると報告していた。

北朝鮮はかつて、越境者を送還することもあった。2017年には北朝鮮海域に「不法」侵入した韓国漁船を「人道的見地」から送還するという異例の対応をとっていた。