台湾の李登輝元総裁が死去 「台湾民主化の父」

画像提供, Reuters
台湾の元総統で、「台湾民主化の父」と呼ばれた李登輝氏が30日、死去した。97歳だった。
李氏は1988~2000年、台湾(中華民国)の総統を務めた。
台湾で独裁体制を終わらせ、多元主義と民主主義を定着させた功績がたたえられた。一方、評価が分かれた人物でもあった。
中国からの独立を主張し、中国政府との緊張を高めた。中国は台湾を身勝手な地方と位置づけ、いずれ統一されるべきだとしている。
総統の直接選挙を導入
李氏の死因は、敗血性ショックと多臓器不全。台北市内の病院に半年ほど前から入院していた。
総統在任中、憲法を改正し総統直接選挙を導入するなど、民主化を推し進めた。
現職の蔡英文総統は李氏について、「プライドと私たち独自のアイデンティティの上に築かれている民主主義の基礎をつくった」などとツイートした。

台湾で取材するBBCニュースのシンディ・スイ記者は、「台湾に早期に民主主義を根付かせるとともに、台湾独立を訴えて中国との緊張を高めた李氏のレガシー(遺産)は、その死後も影響を持ち続けるだろう」と説明した。
中国に対抗
李氏は、台湾を吸収しようとする中国に対抗することで台湾内の支持を拡大した。台湾が「民主主義と自由、人権、尊厳の国」になることを望んだ。
1988年、前任の蒋経国氏の死去を受けて総統に就任した。
1996年には、台湾初の直接総統選挙で圧勝。2期目に入った。
中国はこの選挙までの数カ月間、投票に影響を与えようと、台湾海峡周辺でミサイル演習などを繰り広げた。
1940年代の国共内戦以来、中国は台湾を、いつかは復帰する中国の一部とみなしている。一方、台湾市民の多くは台湾を事実上の独立国と考えている。様々な世論調査からは、台湾市民が正式な独立は求めず、現状維持を望んでいる状況が浮かび上がる。

画像提供, EPA

現職の蔡総統は李氏の弟子とされ、同氏の路線を継承しているとみられている。中国本土とは距離を置き、アメリカから支持を獲得している。
台湾と中国の緊張は近年、新たな高まりをみせている。
状況が悪化した場合、アメリカは台湾をめぐり中国と戦うとの見方もある。ただ、米中とも戦争は望んでいない。
中国の台湾外交部は31日、李氏死去の知らせは聞いているとした上で、「台湾の独立は行き止まり状態にある」と述べた。
中国共産党系の英字紙「環球時報」は、李氏を「台湾独立の親玉」と呼び、「李氏の死去は中国本土のほとんどの人にとってはまったく悲しいニュースではない」とする記事をウェブ版に掲載した。
日本との関係で批判も
総統を退任後、李氏は公金横領の罪で起訴されたが、無罪となった。
晩年には、かつての日本の植民地支配に肯定的な、時代遅れの物の見方をしていると批判された。
第2次世界大戦の戦争犯罪人をまつる、日本の靖国神社に参拝したこともある。また、南京大虐殺や従軍慰安婦などの日本の戦時中の残虐行為は虚偽だと主張した。
さらに、台湾が領有権を主張する尖閣諸島は日本に帰属すると述べ、多くの台湾市民を動揺させた。








