香港立法会選挙、民主派候補12人の立候補資格を取り消し

Pro-democracy activist Joshua Wong speaks to journalists after being disqualified from running in the local district's council elections in November, in Hong Kong, China October 29, 2019.

画像提供, Reuters

画像説明, 著名な民主化活動家の黄之鋒氏は、立候補資格の取り消しは「香港人の意思を完全に無視したもの」だと述べた(2019年10月撮影)

香港の選挙管理当局は30日、9月6日に予定されている立法会(議会に相当、定数70)選挙について、政府に批判的な立場の民主派候補12人の立候補資格を取り消した。香港では、反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」(国安法)施行をめぐり、政治的緊張が高まっている。

民主派議員は今年9月の立法会選挙で、過半数獲得を目指していた。

資格を取り消されたのは、著名な民主化活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏を含む活動家4人、岑敖暉(レスター・シュム)氏ら区議会議員4人のほか、現職の立法会議員4人。

メンバー4人が資格を取り消された、民主派政党の1つの公民党は、「香港人の投票権が侵された」と述べたとロイター通信は報じた。

立候補にふさわしくない

香港政府は民主派候補12人について、立候補するのはふさわしくないとした。

また、12人が議員に求められる憲法上の義務を順守しているとみなされない理由について、次の4つを挙げた。

  • 香港独立を提唱あるいは奨励したこと
  • 香港問題への外国政府による介入を要請したこと
  • 中国中央政府による国家安全維持法(国安法)の義務に対して「基本的に反発」を示したこと
  • 香港政府を特定の政治的要求に強制的に応じさせるため、香港政府によって導入された立法案を「見境なく否決して、立法会メンバーとしての職務を執行する意向」を示したこと

香港政府は声明で、香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」に従って、民主派候補12人の立候補資格を取り消す決定を下したと説明した。

「一部メンバーが主張するような政治的検閲や言論の自由の制限、選挙に立候補する権利の剥奪が起きる可能性はまったくない」としつつ、さらに立候補資格を失う者が出る可能性は排除できないと付け加えた。

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「香港人の意思を無視」

2014年の民主化デモ「雨傘運動」を率いて、10代の活動家として有名になった黄氏は、今回の決定について、「香港人の意思を完全に無視したもの」であり、「消滅しつつある香港の自治の最後の支柱を踏みにじっている」と述べた。

黄氏は、「予備選で最大の勝者になったにも関わらず、立法会選挙から失格になった」とツイートした。「数分前に、私は立法会選挙への立候補資格を取り消された。予備選で3万票以上を獲得したにも関わらずだ」。

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Transparent line

香港はかつてイギリスの植民地だった。1997年に中国に返還されたが、「一国二制度」の下、中国大陸にはみられないような独自の自由が保障されていた。

しかし国安法の導入によって、こうした香港の自治が損なわれるのではないかとの批判が出ている。

国安法は西側諸国の政府から広く非難を受けている。一方、中国側は、民主化を求める抗議デモが昨年、数カ月にわたって続いた香港の安定を回復するために、同法は必要だと主張している。香港での抗議デモでは、たびたび暴力的な衝突が起きた。

動画説明, 茶葉、アヘン、戦争……香港とイギリスの歴史を2分で解説

口封じしようとしている

公民党創立メンバーの郭栄鏗(デニス・クォック)氏は、香港での記者会見で、中国政府が民主派を口封じしようとしているのは明らかだと述べた。

「今日、我々はこの政権が始めつつある執拗(しつよう)な抑圧がもたらした結果を目の当たりにしている。香港特別行政区基本法の下で、かつて香港のすべての人が享受していた基本的権利と自由を奪うだけでなく(中略)我々の心に恐怖と抑圧を植え付けようとしている。そんなことを実現させてはならない」

動画説明, 香港で国家安全維持法が施行 市民の反応は

イギリスのドミニク・ラーブ外相は今回の決定を非難した。

「(民主派候補が)政治的な考えを理由に立候補資格を取り消されたのは明らかだ。英中共同声明と香港特別行政区基本法で保障された『一国二制度』の完全性や権利、そして自由が損なわれている」

イギリス統治時代に香港の最後の総督を務めたクリス・パッテン氏は、中国政府は「とんでもない政治的粛清」を行っていると述べた。

「香港市民の大半の権利を奪うために、国家安全維持法が利用されている。今や、民主主義を信じることは明らかに違法だ。(中略)警察国家で想定されるような行為だ」と、パッテン氏は声明で述べた。

中国政府の香港出先機関、中国政府在香港連絡弁公室は、立候補資格を取り消された者は政府をまひさせ、国家権力を転覆しようとしていたとし、資格取り消しを断固として支持すると主張したと、ロイター通信は報じた。

資格取り消しは大方の予想通り

2016年に行われた前回の立法会選挙では、中国からの独立を訴える若い民主派候補が立候補資格を取り消された。そのため、今回のような大規模な資格取り消しは大方の予想通りだったと、香港で取材するBBCのグレイス・ツォイ記者は指摘する。

今回資格が取り消された人の多くは、より対立的な戦略を支持する若者だった。

しかし、ツォイ記者によると、2006年に弁護士グループによって創立された公民党からの候補者4人が出馬を禁止されたのは驚きだったという。公民党はより穏健な民主派政党とみなされているからだ。

LegCo

画像提供, Getty Images

画像説明, 香港立法会の議場内

立法会とは

立法会の議員70人は、香港の法律や予算を成立させるが、地域別の直接普通選挙で選ばれるのは35議席のみ。ほかに30議席は企業、銀行、貿易などの職能団体から選ばれる。歴史的に見るとこれらの分野は主に親中派だ。残り5議席は国民が選出した区議会議員で構成される。

一部の議員のみが国民によって選出されることから、この制度を非民主主義的と批判する声もある。一方でこの制度を支持する人々は、ポピュリズム(大衆迎合主義)を回避し、香港の事業利益の保護につながっているとしている。