医療従事者など100人以上が死亡、イギリス全土で黙祷 新型ウイルス

イギリスで28日午前11時(日本時間午後7時)、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)で亡くなった医療従事者などを追悼する1分間の黙祷が行われた。
イギリスではこれまでに国民保健サービス(NHS)職員や介護職員など100人以上に加え、交通機関職員を含む多くのキーワーカー(市民生活維持に不可欠な職種)が亡くなっている。
イギリスでは27日、COVID-19が原因で360人が病院で亡くなった。これまでに、病院でCOVID-19による死亡した人は2万1092人となった。
このうち、イングランドの病院ではNHS職員が82人、介護職員が16人亡くなっている。BBCは先週、公表されている統計から、イギリス全体で103人の医療・介護従事者がCOVID-19で亡くなっていることを突き止めた。政府の統計には自宅や介護施設で亡くなった人は含まれていない。
また、BBC番組「パノラマ」の調査報道で、専門家が助言していた医療用個人防護具(PPE)の備蓄を政府が怠っていたことが分かった。COVID-19がイギリスに到達した時点で、2009年に始まった政府のパンデミック(感染症の世界的流行)対策備蓄には、医療ガウンやフェイスシールド、綿棒、納体袋などが含まれていなかった。
パンデミック発生から間もなく、PPEが不足している窮状をジョンソン首相に訴えて国内で注目され、今月初めにCOVID-19で死亡したロンドンのアブドル・マブド・チャウドリ医師(53)の息子、インティサル・チャウドリさん(18)はBBCラジオに対して、政府に謝罪を求めると話した。
「前例のない事態で対応を判断するのは大変なことなので、国としては許せると思う。けれども(閣僚は)自分の責任を認めて、間違いから学んで先に進まないとならない。僕たちがもっと信頼できるように」
こうした中、イングランドの病院では、パンデミック(世界的流行)への対応で延期されていた一部のサービスを再開する動きも出ている。
<関連記事>
1分間の黙祷は、王立産婦人科協会と王立看護協会、公務員などの労組「ユニゾン」が共同で立ち上げたキャンペーンで、ジョンソン首相と政府も支援した。
首相の報道官は、「政府で働く全員にこの黙祷に参加するよう求めると共に、イギリス全土でも多くの人が加わってくれることを願っている」と話した。
また、各地のNHS財団トラスト傘下の病院では、弔意を示して半旗が掲げられた。

画像提供, NursingNotes
王立看護協会の会長を務めるデイム・ドナ・キネーアは、この黙祷で「沈痛だが、同時に感謝の気持ちでいっぱいのイギリスがひとつになる」と話した。
また、「これが犠牲者を思う最後の機会になってはならない。イギリスとその指導者は、亡くなったキーワーカーたち、そして今日も働いているキーワーカーたちに、計り知れない借りがあるのだから」と述べた。
最大野党・労働党のキア・スターマー党首も、最前線であまりに大勢が亡くなりすぎたと指摘。「その人たちに、私たちは恩義がある。医療者が適切な器具を適切な場所で、適切なタイミングで確実に使えるよう、徹底しなくてはならない」と話した。

画像提供, Middlesex University Hospital NHS Trust
政府は27日、新型ウイルスに感染して亡くなった医療・介護従事者の遺族に6万ポンド(約800万円)の弔慰金を支払うと発表した。
また、NHSの人事部門トップを務めるプレラナ・イサール氏は、新型ウイルス流行のピークを過ぎた段階で、亡くなった医療従事者をどのように正式に追悼するかを検討すると述べた。
ロンドン交通局も、黙祷に合わせて地下鉄やバスの運行を一時停止すると発表。乗客にも参加してほしいと述べた。
がん治療やメンタルヘルスを優先
NHSイングランドでは28日から、新型ウイルス対応で停止していた一部サービスを再開する。
マット・ハンコック保健相は、がん治療やメンタルヘルス(心の健康)に関わる支援を優先すると説明している。
NHSイングランドは新型ウイルスの流行を受け、COVID-19患者の急増に備えて3万3000床を解放。そのため、人工膝関節や股関節の置換手術など、一部の急を要さない手術がキャンセルされていた。
ハンコック氏は、サービス再開の「実際のペース」は、各病院のCOVID-19患者の数によるとしている。










