IS掃討作戦で民間人1600人超死亡、米主導の有志連合の攻撃で=国際人権団体

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米国主導の有志連合による、シリア北部ラッカでの過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦の空爆と砲撃により、2017年に民間人1600人以上が死亡していたことが明らかになった。人権団体が25日、調査結果を公表した。
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」と空爆による民間人犠牲者を監視する団体「エアウォーズ」は、有志連合の攻撃を受けた200カ所を調査し、犠牲者1000人の身元を確認したという。
両団体は、対IS国際有志連合に対し、「2年近くにわたり」このような民間人の死を「否定することは終わりにするよう」求めた。
有志連合側は、掃討作戦での民間人の犠牲者数は180人だったと主張している。
有志連合の指揮官は、民間人の犠牲者を出さないため、すべての実行可能な予防措置を講じ、攻撃の指令は武力紛争法を順守していると説明している。
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ISは、シリアと隣国イラクに住む800万人近い市民を残虐に支配してきた。米国、英国、フランスを含む有志連合国は2014年以降、シリアとその周辺地域で3万4000回もの攻撃を行なってきた。
米軍は、シリアに居住するクルド人とアラブ人の武装組織「シリア民主軍(SDF)」と連携している。
SDFは先月、ISの最後の拠点であるシリア東部バグズを制圧。ラッカを事実上の首都とする「カリフ制国家」の正式な終焉をもたらした。

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アムネスティとエアウォーズによると、「ストライク・トラッカー」と名付けられた前例のない調査の結果、2017年6月から10月にラッカで行なわれた米国と英国およびフランスの空爆と、米国の砲撃により死亡したとされる民間人のデータベースを構築することができたという。
アムネスティで危機対応アドバイザーを務めるドナテラ・ロベラ氏は、ISの「狙撃兵と地雷が、ラッカを死の落とし穴へと変貌させた」が、「(有志連合の)空爆の多くは誤りであり、何万もの砲撃が無差別的なものだった。だから、有志連合が何百もの民間人を殺傷したことには何の驚きもない」と述べた。
「有志連合はラッカを完全に破壊した。その事実を消すことはできない」

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アムネスティとエアウォーズは、1600人以上の民間人犠牲者に関するデータベースを構築するため、何千ものソーシャルメディア上の投稿など、公になっている情報を分析した。
その後、研究者は約2カ月かけて、ラッカ市内の攻撃された場所で調査を実施し、400人以上の目撃者や生存者に聞き取りを行なった。
犠牲になった641人の名前を直接確認したほか、残りの犠牲者に関する複数の重要な情報源にたどり着いた。
(ラッカ市内の航空写真。左:2014年2月撮影。右:2017年10月撮影)

両団体によると、有志連合は5カ月間の攻撃で死亡した民間人159人について責任を認めたものの、それ以外の死者に関する報告の多くについては「信憑性がない」として一蹴したという。
さらに、有志連合は現地訪問や、目撃者や生存者の聞き取りをしなかったため、適切に調査を実施できていなかったという。

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国連人権理事会は昨年3月、ラッカ奪還のための戦闘には「すべての側による違反行為が伴い、非常に多くの民間人が犠牲となった」との報告書を発表した。


有志連合の報道官はBBCに対し、「(IS)掃討作戦中の意図しない人命の損失は悲劇的なことだ。しかし、(ISに)人に痛みを与え苦しめるテロ活動の継続を可能にさせるリスクとのバランスを保たなければならない」と述べた。
報道官は、有志連合は民間人が犠牲になっている可能性をすべて真剣に受け止め、徹底的な調査を行なったが、十分な情報がない場合や、有志連合による攻撃が行なわれた時間と場所に合致しない場合は、その限りではないと主張した。
「アムネスティ・インターナショナルはラッカ掃討作戦に関して、新たに86人が犠牲になったと主張したが、そのうち43人についてはすでに信憑性があると確認された。残りの43人については、団体側にさらなる情報の提示を求めた。提示されれば、調査を実施できるかどうか判断することになるだろう」











