パキスタン、インドの「空爆」に対抗すると カシミール地方で緊張高まる

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パキスタン政府は27日、インドが26日にパキスタン領内で過激派戦闘員に対する空爆を行ったことに対し、「時期と場所を見て」対抗措置を取ると表明した。
インドはこの空爆で多数の戦闘員を殺害したと発表しているが、パキスタンはこれを「無謀」だとしている。
核保有国であるインドとパキスタンの関係は、共に領有を主張するカシミール地方でインド軍が攻撃されたことで緊張が高まった。
この攻撃はパキスタンに拠点を置くイスラム過激派集団「ジェイシモハメド(JeM)」が犯行声明を出しており、インドは報復を約束していた。
またインドは、パキスタンが領内で武装集団の活動を許していると批判しているが、パキスタンはこれを否定している。
インドとパキスタンは、イスラム教徒が多数を占めるカシミール地方の帰属をめぐり対立している。
1947年にイギリスから独立して以降、両国はこれまでに3度の戦争と1度の局地的な紛争を行ったが、うち1つを除いた全てがカシミール地方をめぐるものだった。
カシミール地方のインド領とパキスタン領を分ける事実上の国境線を越えて空爆が行われたのは、1971年の第3次印パ戦争以来、初めてのこととなる。
何が起こった?
インドとパキスタンは今回の空爆について異なる主張をしている。
インド政府は、パキスタン北西部のバラコットにある拠点を空爆したと発表した。
ヴィジャイ・ゴカーレ外務次官は、この空爆で「多数の」戦闘員が殺されたと述べ、さらなるJeMからの攻撃を阻止するための「先制攻撃」だったと擁護した。
バラコットの住民はBBCの取材に対し、大きな爆発音で目が覚めたと語った。犠牲者については確認が取れていない。
パキスタン軍は、空爆による犠牲者はいないと主張している。また、パキスタン軍の戦闘機がインド軍機を撤退させ、「積載物」を住民があまり住んでいない地域に投下させたとしている。


両国の反応は?
パキスタンのシャー・マフムード・クレシ外相は、インドは5月の選挙に向けて「利己的で無謀な虚偽の主張」をしていると述べた。
また、イムラン・カーン首相も出席した国家安全保障委員会の会合は、今回の空爆に対してパキスタンが「時期と場所を見て対抗措置を取る」という警告を発した。

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インドのナレンドラ・モディ首相は26日、ラジャスタン州の政治集会に出席していた。空爆については直接言及しなかったものの、聴衆に対し「貴方たちの熱意とエネルギーを理解している。今日は我々の英雄たちに頭を垂れる日だ」と語った。
両国の緊張が高まる中、欧州連合(EU)や中国は両国共に「最大限に自制」するよう求めている。

<分析>危険水準に達した印パ関係 ――エム・イリアス・カーン、BBCニュース、イスラマバード
インドがパキスタン領内の標的を空爆したことで、両国の緊張関係は危険水準に達した。
2016年9月にカシミール地方ウリのインド軍が攻撃された際もインド政府は「局地的な空爆」で対抗し、同じような状況が生まれた。
インドはこの際、特別部隊をパキスタン側のカシミール地方に投下して武装集団の拠点を破壊したと主張していたが、これは大きく誇張されていたことが分かった。しかしインド軍は実際にカシミールの停戦ラインを越えてパキスタン側に侵攻し、パキスタン軍に犠牲者を出している。
今回インドは、パキスタン領内の国境線を越え、ここ数年カシミールの武装集団の訓練キャンプがある場所を攻撃した。
パキスタン軍は空爆された区域を閉鎖しており、地元警察も立ち入ることができない。空爆の詳細が明らかになるには時間がかかるだろう。
また、パキスタンの高官は今回の空爆が国境線ではなく「停戦ラインを越えて」行われたと述べ、その深刻さを控えめに示している。
パキスタンは対抗措置を取るとしているが、外交手段以上のものにはならないだろう。しかし、パキスタン軍が「時機を見て」カシミール地方に駐屯するインド軍に報復攻撃を仕掛ける可能性も否定できないとする意見もある。

インドとパキスタンの緊張関係
1947年10月:イギリスから独立して2カ月後に、カシミール地方の領有権をめぐって戦争が始まった
1965年8月:再びカシミール地方をめぐって短い戦争が起きた
1971年12月:東パキスタンが独立運動を起こし、インドが介入。パキスタン領内を空爆した。結果として東パキスタンはバングラデシュとして独立した
1999年5月:カシミール地方カールギルのインドの駐屯地を、パキスタン軍と武装勢力が制圧。インドは空と地上から攻撃を行い、パキスタン側を排除した
2001年10月:インド側のカシミールの国会が攻撃され、38人が死亡。2カ月後にインドの首都デリーの国会議事堂が攻撃され、14人が亡くなった
2008年11月:インド西部ムンバイの主要駅や高級ホテル、ユダヤ人の集会所などが同時に攻撃され、166人が犠牲となった。インドはパキスタンに拠点を置く過激派集団「ラシュカレトイバ(LeT)」の犯行だと非難している
2016年1月:インド北部パサンコットの空軍基地が4日間にわたって攻撃され、インド兵7人と戦闘員6人が死亡した
2016年9月18日:カシミール地方ウリのインド軍駐屯地が攻撃され、インド兵19人が死亡した
2016年9月30日:インドはパキスタン側のカシミールにいる武装集団に「局地的な空爆」を行ったと発表。パキスタンはこうした空爆はなかったと主張している








