ウクライナでロシア人ジャーナリスト射殺、ロシア政府批判

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ウクライナ警察は29日、首都キエフでロシア国籍のジャーナリスト、アルカディー・バブチェンコ氏(41)が射殺されたと発表した。自宅アパートの玄関で血を流して倒れているのを妻が発見したが、救急車内で死亡が確認された。
バブチェンコ氏は2016年に起きたロシア軍用機の墜落事件を取材した後、殺害予告を受け取り、ロシアを離れていた。当初はチェコ・プラハに滞在していたが、後にキエフに移住した。ロシア政府を表立って批判していた。
元戦場記者で、キエフでは民放ATRテレビでプレゼンターを務めていた。
事件で分かっていることは?
ウクライナ警察のヤロスラフ・トラカロ報道官はBBCに対し、バブチェンコ氏の死亡を確認したと話した。
バブチェンコ氏は背後から数回撃たれたという情報もある。
キエフ警察のアンドリイ・クリシュチェンコ本部長は地元メディアに、事件は同氏の「職業活動」が原因だとみていると語った。警察は捜査に着手した。

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ウクライナのアントン・ヘラシュチェンコ議員は、パンを買いに外出したバブチェンコ氏を、犯人は自宅近くで待ち伏せていたと話した。
ボロディミル・グロイスマン首相は、バブチェンコ氏が「ウクライナの真の友人で、ロシアの侵攻を世界に発信していた」述べ、「犯人は罰せられるべきだ」と強調した。
一方、ロシア外務省は声明で、この殺人事件を「早急に捜査するため、あらゆる努力を行うようウクライナ当局に要求する」と述べた。
外務省はさらに、バブチェンコ氏の遺族と友人に哀悼の意を示した。
バブチェンコ氏は襲撃の数時間前にフェイスブックに投稿し、4年前のこの日、自分がいかに幸運だったかをつづっていた。
4年前の5月29日、バブチェンコ氏はウクライナ東部の戦争地域へ向かうため、ウクライナ兵と共にヘリコプターに乗る予定だったという。
しかしヘリコプター内が満員だったため、バブチェンコ氏は搭乗を諦めた。このヘリはその後、親ロシア派の武装勢力に撃ち落され、14人が死亡した。
「私は幸運だった。この日は私の2つめの誕生日になった」と彼はつづっている。
アルカディー・バブチェンコ氏とは?
バブチェンコ氏は著名な反体制派で、2012年には野党が計画した非公式選挙に立候補したほか、ロシア政府のシリアやウクライナ東部への侵攻を非難していた。
2016年12月には、シリアに向かっていたロシアの軍事輸送機Tu-154が黒海に墜落した事故についての記事をフェイスブックに投稿(ロシア語)。ロシアを「侵略者」と表現したこの記事をきっかけに、ロシア政府から殺害予告や侵害行為を受けたと述べていた。
2017年2月に英紙ガーディアンに寄稿した記事では、このことで「もはや安全とは思えない国」から離れざるをえなくなったと話している。

バブチェンコ氏は、モスクワで法学を学んでいた18歳の時にロシア軍に徴兵され、チェチェン紛争の起きていた1994年から2000年まで従軍していた。
自伝「One Soldier's War」では、ロシアとチェチェン共和国の双方で数万人もの死者を出したこの紛争での経験を語っている。
その後ジャーナリストに転身し、さまざまな報道機関で活躍した。BBCでも、2014年にウクライナ東部で起きたウクライナ軍ヘリコプター撃墜について、現場の様子を伝えている。
キエフではここ数年、著名なジャーナリストや政治家への襲撃事件が相次いでいる。被害者のほとんどは、ロシア政府を声高に批判してきた人々だ。







