【元ロシア・スパイ】 娘のユリアさん、初のビデオ声明 「いずれは帰国したい」
今年3月に英南部ソールズベリーで元ロシア情報将校の父親と共に、神経剤による殺害未遂の被害に遭ったユリア・スクリパリさん(33)が23日、ロイター通信を通じて、初のビデオ声明を発表した。
父セルゲイ・スクリパリさん(66)と共に神経剤「ノビチョク」を浴びたユリアさんは、ソールズベリー地域病院で1カ月半にわたる入院治療を受けた後、4月9日に退院した。ロイター通信に対して、自分の人生が「ひっくり返ってしまった」ものの、いずれはロシアに帰国したいと話した。
「20日間続いた意識不明の状態から目覚めると、自分たちに毒が使われたかもしれないと知りました。自分たちが2人ともそうして攻撃されたことを、まだ受け止めきれずにいます」
ユリアさんは、自分たちが暗殺されかけながらも助かったのは「とても幸運」だと話す一方で、治療は辛く、自分の体や精神状態が受けた影響が続いていると話した。
その上でユリアさんは、自分たちを支援してくれる病院スタッフや、当日の路上で自分たちを助けてくれた人たちに感謝した。
セルゲイさんは今月初めに退院した。

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ビデオでは、ユリアさんの首に、呼吸を助けるための気管切開術の痕と思われる傷跡が見て取れる。
ユリアさんは、自分は治療を続けながら1日1日を着実に暮らしていくと述べた。さらに、父親が全快するまで世話を続けたいと話した。
さらに、自分と父親のプライバシー尊重を求めたほか、自分と父親の意向を語れるのは自分たちだけで、代弁者や代理人はいないと強調した。
加えて、ロシア大使館からの支援の申し出には感謝しつつ、今はそれを受け入れる用意がないし、受け入れたくないと言明した。

画像提供, Reuters
ユリアさんが英語で手書きした声明全文はこちら。ユリアさんはロシア語でも声明を発表した。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ロシア政府として「情報源から直接情報を得るため」ユリアさんに接触を試みてきたと話した。
「ロシア外務省と在ロンドンのロシア大使館が、彼女に連絡をとろうとしなかった日はないと、ユリア・スクリパリさんには知ってもらいたい。私たちは何より、彼女が強制的に拘束されていないか、誰か別人が彼女のふりをしていないか、確認しようとしていた」と報道官は説明した。
ロンドンのロシア大使館は、ユリアさんの声明が「生まれつきの英語話者」によって書かれたもののようだと指摘し、本当にユリアさんによるものか疑わしいと疑念を示した。
「英国は我々に、ユリアと直接話をする機会を提供する義務がある。彼女が自分の意志に反して拘束されているわけではなく、発言を強要されているわけでもないと確認するためだ」と、大使館は声明を発表した。
退院後のスクリパリ親子は、英当局によって安全な場所に移動していたが、親子一緒かどうかは明らかになっていない。
何があったのか
スクリパリ親子は3月4日、ソールズベリー中心部にあるベンチで意識不明となっている状態で発見された。
現場に真っ先に駆けつけたウィルトシャー警察のニック・ベイリー刑事巡査部長も神経剤に触れて病院に入院し治療を受けていたが、最初に退院した。
英政府はロシア当局による暗殺未遂事件だと断定し、ロシア外交官23人の追放を含む制裁措置を発表した。英政府に続き米国や複数の欧州連合(EU)加盟国も、ロシア制裁を発動した。
一方のロシアは、一切の関与を否定し、報復措置として英国外交官に国外退去を命じた。
神経剤「ノビチョク」が最も高濃度で検出されたのは、スクリパリさんの家の玄関だった。ソールズベリー市内では今も除染活動が続いている。











