カナダのモスク銃撃、容疑者は地元27歳学生

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29日にカナダ東部ケベックシティーで起きたモスク(イスラム教礼拝所)への銃撃事件で、司法当局は30日、フランス系カナダ人の大学生、アレクサンドル・ビソネット容疑者(27)を殺人罪などで訴追した。
30日にケベックシティーの裁判所に出廷したビソネット容疑者は、第1級殺人6件と、殺人未遂5件の罪に問われている。
銃撃は29日の午後8時前、ケベック・イスラム文化センターが運営するモスクで夕刻の祈祷が行われるなかで起きた。当時モスクには50人以上が集まっていた。
カナダ各地で犠牲者を悼む集会が開かれている。
負傷者のうち重傷の5人が依然として病院で治療を受けており、比較的軽傷だった12人は手当てを受けた後、退院している。
当局は、事件直後に逮捕されていたモロッコ系カナダ人のモハメド・カハディールさんを現在、目撃者として扱っている。
ケベック州警察は犠牲者6人の身元を発表した。
・アゼディン・スフィアンさん(57)、食料品店を営む3人の子どもの父親
・カハレド・ベルカセミさん(60)、ラバル大学の食品科学学部の教授
・アブデルクリム・ハッセンさん(41)、政府機関のIT技術者
・アブバクル・タブティさん(44)
・ママドウ・タノウ・バリーさん(42)、アフリカのギニア出身
・イブラヒマ・バリーさん(39)、アフリカのギニア出身

ビソネット容疑者は30日の出廷時に罪状認否はしなかった。出廷時には白い囚人服を着用し、手錠と足かせがかけられていた。
ビソネット容疑者は、ケベックシティー、イル・ドレアン両市を結ぶ橋の上に止められていた同容疑者の車に乗っていたところを逮捕された。ビソネット容疑者は、警察に電話をかけ、当局に協力すると語っていた。
地元メディアによると、ビソネット容疑者はラバル大学で政治学と人類学を専攻。同大学は銃撃されたモスクから約3キロの距離にある。
モントリオール・ガゼット紙によると、ビソネット容疑者はフェイスブックの自分のページに、ハロウィーンで使われる死神の仮装衣装を着た写真を投稿していた。ページは現在閉鎖されている。
また、ドナルド・トランプ米大統領やフランスの極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首によるソーシャルメディア投稿に「いいね」を押していたという。
難民支援団体「ウェルカム・トゥー・レフュジーズ(難民ようこそ)」のフランソワ・デシャンプ氏は、ビソネット容疑者が極右思想に染まっていることで知られていたと語った。
デシャンプ氏は団体のフェイスブックページへの投稿で、「アレクサンドル・ビソネットというテロリストの身元を知り、痛みと怒りを感じている。不幸なことに、ケベックの多くの活動家たちには、ナショナリストでルペン氏支持、女性の権利に反対する意見をラバル大学やソーシャルメディアで主張する人物として知られていた」と述べた。
カナダのジャスティン・トルドー首相とケベック州のフィリップ・クイヤール首相は、銃撃事件をテロリストによる犯行だと述べている。
トルドー首相は、同国内に住む100万人以上のイスラム教徒に向け、「私たちは皆さんの味方だ」と呼びかけた。「(カナダ国民)3600万人はあなた方と共に悲しみにくれている。皆さんを大切に思っている」。

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トランプ米大統領が27日にイスラム教徒が多数を占める7カ国の人々の入国を禁止する大統領令に署名したことで、世界各国に反響が広がっている。
ホワイトハウスは今回の銃撃事件を非難する一方で、この事件も、トランプ大統領の政策を推し進める必要性を裏付ける一例だと述べた。
ショーン・スパイサー大統領報道官は銃撃について、「我々が警戒を緩めない理由、また大統領が我が国の安全、治安に関して受動的でなく能動的な対応をしようとしている理由を再認識させる悲惨な事件だ」と語った。
攻撃されたモスクでは、昨年夏のラマダン(断食月)中、玄関前にブタの頭が置かれるなど、ヘイトクライム(憎悪犯罪)が過去に複数件起きている。
イスラム文化センターのモハメド・ラビディ副所長によると、銃撃の犠牲者は背中から撃たれていたと語った。ラビディ氏は、「モスクの安全は、我々の非常に大きな懸念だった。しかし、こんなことは予想できなかった」と涙ながらに話した。
フランス語を話す住民が多数を占めるケベック州では、アラブ諸国をはじめ各国からの移民を数多く受け入れてきた。
しかし、移民や宗教の少数派の受け入れについて「妥当な水準」をめぐる議論が長年続いていた。






