パキスタンの自爆攻撃、死者100人以上に 背景に何があるのか
アシフ・ファローキ(イスラマバード)、サイモン・フレイザー、BBCニュース

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パキスタン北西部ペシャワルの最も警備が厳しいエリアにあるモスク(イスラム教の礼拝堂)で1月30日に発生した自爆攻撃について、当局は犯人がどのように攻撃を実行したのか調べを進めている。
今回の自爆攻撃では、死亡が確認された人が増え続けており、31日までに少なくとも100人に上っている。大半は礼拝中の治安維持部隊員だった。負傷者も50人を超え、重体の人もいる。
パキスタンで近年発生した中で最悪規模の自爆攻撃の1つとなっており、国民に衝撃を与えている。
ペシャワル警察のムハンマド・イジャズ・カーン長官は地元メディアに対し、事件当時、モスク周辺には300~400人の警官がいたと語った。
最前線で武装勢力に対抗するペシャワル警察は、自分たちの士気をくじくために警官が狙われたとみている。

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停戦破棄で暴力行為が増加
パキスタンでは昨年11月、イスラム強硬派武装組織「パキスタンのタリバン運動」(TTP)が、政府と合意した停戦を破棄。それ以降、暴力行為が増加し、警官や兵士が頻繁に攻撃されるようになった。
今回のモスクでの自爆攻撃はTTPが実行したとの説が流れたが、TTPはこれを否定。分裂した勢力の司令官に責任があるとした。
一部観測筋は、TTPが犯行を否定したことを疑問視し、注意をそらすための策略の可能性があると指摘している。
TTPとは
TTPはこれまで、モスクや学校、市場に対する攻撃について犯行を主張することを控え、自分たちの暴力行為はパキスタン国民に対するものではなく、治安部隊との戦争に向けられたものだと主張してきた。
何年にもわたってパキスタン軍や警察と戦っており、莫大な数の犠牲者を出してきた。アフガニスタンのタリバンの分派で、強硬なイデオロギーは共有しているが、別の集団だ。
膨大な要求リストの最上位には、パキスタン北西部で自分たちの解釈に基づくシャリア(イスラム法)を導入することが挙げられている。
10年ほど前には、アフガニスタン国境沿いの山岳地帯の支配地域からパキスタンを不安定にすると警告した。この地域は数十年にわたり過激派の温床となっている。
TTPの攻撃で最も注目を集め、国際的に非難されたのは、2012年10月の女子学生マララ・ユサフザイさん銃撃事件だった。ユサフザイさんは女性が教育を受ける権利を訴えていた。
その2年後には、ペシャワルの学校で集団惨殺が発生。141人(そのほとんどが子ども)が犠牲になったこの事件についてTTPは犯行を主張していないが、大規模な軍事攻撃が起き、パキスタン国内における同グループの影響力は大きく低下した。
国民から怒りの声が上がる中、パキスタン軍は武装勢力の拠点を破壊し、反政府勢力を国境の向こうのアフガニスタンへと追いやった。これによりパキスタン国内の過激派による暴力行為は減少した。
しかし近年、パキスタン北西部ではTTPなどによる攻撃が再び増加している。
国に戻るも武器放棄せず
2021年8月にアフガニスタンでタリバンが復権すると、パキスタンのイムラン・カーン首相(当時)は越境して隠れていた武装勢力に対し、武器を捨てれば故郷に戻って定住してもいいと提案した。
武装勢力はパキスタンに戻ったものの、武器を引き渡すことには同意しなかった。これが現在の問題が始まるきっかけとなり、カーン氏によって始められた対話は決裂した。

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2022年4月のカーン氏の失脚後に力を握った新たな政治・軍事指導者たちは、TTPの要求には応じず、対話を停止。その結果、同年11月に停戦が破棄されは、TTPは攻撃を再開した。
献血団体を運営するアシュラフ・アリ氏は、ペシャワルの人々は恐怖の中で生活していると語った。
「私も、私の家族も、すべての市民が、深いトラウマを抱えている。人々はここでおびえている」と、アリ氏はBBCに述べた。
「次に何が起こるのか、誰もが不安に思っている。ペシャワルがテロの街から観光地へと変わるまで長い道のりだったが、ペシャワルは今またテロ行為でひどい影響を受けている」
軍や警察の体制は
パキスタン政府は、軍は武装勢力に対抗する準備ができていると主張している。しかし、警察は依然として、高度な訓練を受け、十分に武装した反政府勢力と戦うための装備が不十分なままだ。最近の武装勢力による攻撃では警察署が制圧されたケースや、警官が抵抗しなかったケースもあった。
国民は暴力行為をきっぱりと終わらせることを望んでいる。複数の専門家からは、2014年に実施されたような、武装勢力を打ち負かすための全面的な軍事作戦を求める声が上がっている。
パキスタン人は20年間も繰り返されてきた国の武装勢力への対応に落胆し、批判的になっている。
多くの人は治安・民間組織の中に武装勢力に対して甘い部分があり、それが脅威への適切な対処がなされない理由だと考えている。






