【解説】 ゼロコロナ抗議デモ、中国はどのように検閲しているのか

ケリー・アレン、BBCモニタリング

People protesting in China with blank pieces of paper.

画像提供, Getty Images

画像説明, 白紙を掲げて政府の新型コロナウイルス対策に抗議する中国の市民たち

中国各地の都市で抗議行動が起こったのを受け、その場面を人々の目に触れさせないよう、当局が検閲を大幅に強めている。

抗議行動は、政府が3年にわたって敷いている新型コロナウイルス対策の規制に対するもの。西部ウルムチ市で24日にあった高層集合住宅火災で10人が死亡したことを受け、全国に広がった。

この火災では、新型ウイルス関連の規制のため住民が火災から逃げられなかったと広くみられているが、現地当局は反論している。

抗議デモを示す言葉の検閲リストは増え続け、国内外のプラットフォームで話題をそらす試みがなされている。

中国国内で起こるデモは通常、小規模なものであれ、メディアが言及することはない。ここ数日の新型ウイルスの感染拡大も報じておらず、サッカー・ワールドカップ(W杯)や中国の宇宙開発など明るい話題を取り上げている。

ツイッターなどに投稿され、国際的に拡散している抗議の様子は、中国の国営メディアに無視されている。

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増え続ける検閲対象語リスト

新型ウイルス対策への抗議を話題にさせないため、中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」などでは、抗議の行われた「上海」や「ウルムチ」といった都市名も検閲の対象となった。これまでは検索すると数千万件もの投稿が表示されていたが、今ではわずか数百件しか出てこない。

こうした検閲の裏をかくため、人々が抗議デモで掲げた白い紙にちなみ、「白紙」や「A4」といった言葉が使われるようになった。しかし微博では現在、これらの単語も検閲されている。

それでもソーシャルメディアのユーザーたちはめげず、抗議参加者たちへの連帯を示す方法を模索している。

「A4」の代わりに「A3」はどうかといった意見や、過去にA4の紙を使ってウエストの細さを競った「A4腰」チャレンジを引き合いに出すユーザーもいた。

中国のSNSユーザーが声を届ける最も一般的な方法は、ツイッターやフェイスブックといった外国のSNSを使うことだ。

こうしたSNSは中国ではブロックされており、仮想プライベートネットワーク(VPN)を使わなければ利用できない。それでも、こうしたプラットフォームで抗議デモを強調する人もいる。

在外中国人も、中国大使館の前でろうそくをともしたり、白紙を掲げたりして抗議を行っている。

こうした光景こそ、共産党政権が国民に、特に在外中国人に見せたくないものだ。

結果として、ツイッターなどのプラットフォームでは現在、ユーザーに抗議デモの映像を検索させないよう、「ウルムチ」や「上海」といったハッシュタグをポルノや賭け事のコンテンツと共に投稿する大規模な試みがなされている。

中国は長年、こうしたことを行ってきた。2019年の香港での抗議デモでは、ツイッターやフェイスブック、ユーチューブなどが、中国政府の協力の下に偽情報が拡散されたと指摘。数百ものアカウントや投稿が排除された。

外国の仕業と非難も

国営メディアが抗議運動を無視しようとしている一方、騒動がエスカレートした場合、外国に責任があるとする言説を作る動きも出ている。

すでにソーシャルメディアでは、外国人がデモをあおっていると非難する人もいる。

国営メディアは繰り返し、西側諸国の緩やかなCOVID-19ルールを批判しており、「アメリカのレトリック」をうのみにしてはいけないと外国に警告を発している。

しかし、カタールで開催されているサッカーW杯を他の国々が楽しんでいる映像が、中国国民の怒りをあおった。その結果、中国中央電視台(CCTV)は、番組内で試合を楽しむ観客の姿を映さないことにした。

BBCのスティーヴン・マクドネル北京特派員はCCTVで放送された一場面をツイッターに投稿し、「確認するまで信じられなかったが、ゼロコロナ政策への抗議の中、CCTV はW杯の報道で観客のクローズアップを編集し、中国の視聴者がスタンドでマスクなしの何千人ものファンを見られないようにした。群衆のワイドショットのみだ」と説明した。

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これに加え、中国は11月初め、隔離期間を短縮し、短期間の入国を容易にするなど、一部の新型ウイルス対策を緩和している。

つまり、感染拡大を外国人のせいにしやすくなる可能性もある。感染者はここ数週間で記録的に急増し、28日には新たに4万件が報告された。

中国の「ゼロコロナ」政策が終わる見通しがない中、さらなる抗議行動が起こる可能性は極めて高い。陽性と判定された人とその近親者は、依然として隔離が義務付けられているため、ロックダウンの回数も10月以降、増える一方だ。これはパンデミックの初期から変わっておらず、人々はますます不満を募らせている。

中国が自国での反対意見を欧米になすりつけたのは、これが初めてではないだろう。中国で最後の大規模デモとなった2019年の香港のデモは、「暴力的な過激派」が「西側の手先」の影響を受けていると非難された。