米中、TikTok米事業の所有権めぐる「枠組み」で合意

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ジェシカ・ローンズリー記者(BBCニュース)、リリー・ジャマリ北米テクノロジー担当編集委員
アメリカは15日、中国と動画共有アプリ「TikTok」のアメリカ事業に関する「枠組み」合意に達した。スコット・ベッセント米財務長官はこの日、この枠組みはマドリードでの協議の中で設定されたと説明。19日にも、ドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席がこの合意を「完了させる」と述べた。
トランプ大統領は、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、協議は「非常にうまくいった」と述べた。中国は枠組み合意があることを認めたが、自国企業の利益を損なう形での合意は行わないとした。
アメリカでは、国家安全保障上の懸念を理由に、TikTokを運営する中国企業バイトダンスに対し、事業売却かアメリカでのサービス停止を迫る期限が迫っている。
この期限はこれまでに3度延長されており、最新の延期は9月17日に終了する予定だ。
この法律が施行された同月、TikTokは一時的にサービスを停止したが、その後トランプ氏が介入し、75日間の延期を発令した。
米司法省は、TikTokによるアメリカ人ユーザーのデータへのアクセスが「極めて深刻かつ広範な、国家安全保障上の脅威」だと述べている。
一方、バイトダンスは、アメリカ事業は完全に独立しており、一切のデータは中国政府と共有していないと繰り返し主張している。同社はまた、禁止措置はアメリカ国内のユーザー1億7000万人について、言論の自由を侵害するものだとしている。
これまでに、オラクルの共同創業者ラリー・エリソン氏、YouTubeクリエイターのMrBeast氏、富豪で投資家のフランク・マッコート氏などの名前が、同プラットフォームの買収候補として挙がっている。
BBCがアメリカで提携するCBSは15日夜、米オラクルが、米中合意が成立した場合に、TikTokのアメリカ事業継続を可能にする企業グループの一員に含まれていると報じた。
BBCは、オラクルとTikTok、ホワイトハウス、そして米首都ワシントンにある中国大使館にコメントを求めている。
米中貿易交渉の主要争点に
TikTokの所有権は、アメリカと中国の貿易交渉で主要な争点となっている。専門家らは、この問題は関税引き下げや貿易障壁の緩和を目指す中国の交渉努力の中でも重要な要素だとみている。
ベッセント財務長官は、2日目の貿易交渉を終えた後に「枠組み」合意を発表。合意された商業的な条件は、アメリカの国家安全保障上の利益を保護するものだと述べた。

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交渉団の一人、アメリカ通商代表部のジェイミソン・グリア氏は、この合意は「首脳による承認が前提だ」と述べた。また、交渉団は「再び(期限の)延長を行う立場にはない」とも語った。
中国側の首席通商交渉官である李成鋼氏は、自国の原則を犠牲にしてアメリカと合意することはないと述べ、どのような合意も指導部の審査を経て初めて成立すると話した。
中国政府の「裏口」?
合意の詳細は依然として乏しく、TikTokの強力な「おすすめ」のアルゴリズムを誰が管理するかなどの問題について、専門家の間では懐疑的な見方もある。
米コーネル大学テック政策研究所のサラ・クレプス所長は、TikTokのアメリカ人ユーザーのデータが完全に国内で保存・暗号化されるかどうか、また、中国政府による裏口アクセスを検出するための独立した監査が実施されるかどうかも不明だと指摘した。
「これらの詳細が明確にならない限り、合意は所有権の問題を表面的に解決するだけで、根本的な脆弱性を放置するリスクがある」と、同氏は付け加えた。
ジョー・バイデン前大統領の下で国家安全保障担当官を務めたジム・セクリート氏は、アルゴリズムの譲渡を新しい所有者に認めるかどうかは、中国政府の判断に委ねられており、TikTokの合意が幅広い貿易・関税交渉に組み込まれたのも、おそらくそれが理由だろうと述べた。
国家安全保障上の懸念が解消されれば、「この合意は大きな前進となる」と、同氏は話した。
セクリート氏はさらに、バイトダンスが現在では中国最大級の人工知能(AI)企業の一つとなっているにもかかわらず、議会が対応の必要性を判断した当時と同様の運営を続けていると指摘した。
「TikTokが現在、アメリカ人から収集しているデータは、明日にも中国の軍事および情報機関の能力を支えるAIモデルの訓練に利用される可能性がある」と、セクリート氏は述べた。








