タイ南部で「300年に一度」の豪雨 東南アジア各国でも洪水被害

動画説明, タイの壊滅的な洪水で、人々は漂流物にしがみついて避難するなどした

タイの一部地域で記録的な洪水が発生しており、26日までに少なくとも33人の死亡が確認された。当局は、救援活動を支援するために軍の艦船とヘリコプターを投入している。

この豪雨は過去1週間にわたり、タイ南部の10県を襲っている。マレーシアとの国境に近い商業都市ハートヤイでは、1日に335ミリという、過去300年で最も多い降雨量を記録した。

現地の写真には、市内で車両や住宅が水没するなか、住民らが屋根の上で救助を待っている様子が写っている。

近隣諸国でも、容赦ない雨の被害が出ている。ヴェトナムではこの1週間の死者数が98人に達し、マレーシアでは1万9000人以上が自宅からの避難を強いられている。インドネシアでは、少なくとも19人が死亡。さらに少なくとも7人が北スマトラ州で地滑りに巻き込まれ、埋まったままだという。

濁った水に沈んだ街の一角に、車高の半分ほどが水に沈んだ車が多数放置されている様子を、上空から撮影した写真。電信柱や街路樹、建物などもみえるが、いずれも水につかっている

画像提供, Reuters

画像説明, ハートヤイ市では多くの車が水につかった

タイでは、洪水の影響を受けた人が200万人を超えているが、避難所に移ったのはわずか1万3000人だ。

ロイター通信によると、大多数の人々は孤立し、支援を受けられない状況にある。

危機対応を指揮することになったタイ軍は、救援物資を積んだ艦艇14隻とともに、航空母艦を派遣する準備を進めている。また、1日3000食を提供できるとされる野外キッチンも同行させるとしている。

海軍では、必要に応じて航空母艦を「浮かぶ病院」に転用するため、艦内の医療チームが対応に当たるという。

ハートヤイ市があるソンクラー県の知事は、住民を避難させるためにボートや車高の高いトラック、ジェットスキーなどを投入したと述べた。

タイ政府は25日、救援資金を拠出するため、ソンクラー県を災害地域に指定した。

しかし、多くの人々は依然として増水の中で孤立している。

ボランティア救助団体のマチマ救助センターは、過去3日間で数千件の電話が殺到し、避難を求める声が寄せられているとロイター通信に語った。

マチマのフェイスブックページにも、緊急の救助要請が投稿されている。ある利用者は、「多くの人が閉じ込められている。(中略)助けてほしい」と投稿。「今は非常に厳しい状況だ。水は2階に達しており、そこには子ども、高齢者、病人、障害のある人がいる!!!」と書いた。

別の利用者は、家族で3日間救助を待っていると書き込んだ。「今は1秒1秒が重要だ。(中略)共有をお願いします。私の(携帯電話の)バッテリーは40%だ。皆さんありがとう」。

数日間、食料や水が全くないと書き込む人もいた。

ソーシャルメディアで拡散しているある映像には、茶色く濁った水が上昇し続ける中、3人の少年が電線にぶら下がり、安全な場所へ少しずつ移動しようとしている様子が映っている。

冠水した街の通りに赤いゴムボートが浮かんでいる。ゴムボートには救命胴衣を着けた救助隊員が数人乗っている。通りに並ぶ青や緑の外壁の建物は1階部分が完全に沈み、2階のバルコニーに人が集まっている。バルコニーから1階のひさしに乗って、救助隊員から物資を受け取っている人もいる

画像提供, Reuters

画像説明, 洪水地域で取り残された人々に、救助隊がボートから物資を配布している(ハートヤイ)

マレーシアでは、1万9000人以上が安全な場所に避難し、北部の国境地域に126カ所の避難センターが設置された。

ケランタン州とペルリス州では、救助隊がひざまで水につかりながら、増水で道路が遮断された地域の住民を避難させた。

この時期、東南アジアでは季節的な豪雨が一般的だが、今年は地域で例年にない大規模な洪水が発生している。