米軍が追跡中の石油タンカー、ロシアが護衛 海軍艦艇を派遣

画像提供, Hakon Rimmereid via Reuters
パトリック・ジャクソン記者、ケイリーン・デヴリン上級記者BBCヴェリファイ(検証チーム)
ロシアはこのほど、大西洋でアメリカ軍に追跡されている原油タンカーを護衛するため、海軍の艦艇を展開した。BBCがアメリカで提携するCBSニュースが6日、報じた。
このタンカーは現在、何も積載していないが、過去にはヴェネズエラ産の原油を輸送していた。6日時点で英スコットランドとアイスランドの間にいるとみられていた。
ドナルド・トランプ米大統領は昨年12月、ヴェネズエラに出入りする制裁対象の原油タンカーに対し「全面封鎖」を命じると発表。ヴェネズエラ政府はこの措置を「窃盗」だと非難した。
また、今年1月3日に同国のニコラス・マドゥロ大統領を拘束しニューヨークに移送する前、トランプ氏は繰り返し、ヴェネズエラ政府が船舶を使ってアメリカに麻薬を持ち込んでいると非難していた。
アメリカの沿岸警備隊は先月、カリブ海でヴェネズエラに向かっているとみられた原油タンカーの「ベラ1」号への乗船を試みた。同船については、アメリカの制裁に違反してイラン産原油を輸送したとされ、拿捕(だほ)のための令状が出ていた。
その後、「ベラ1」は進路を大きく変更し、名称も「マリネラ」に変え、ガイアナ船籍からロシア船籍に変更したと報じられている。
「マリネラ」がヨーロッパに接近したのと同じタイミングで、米軍の輸送機約10機とヘリコプターもヨーロッパに到着している。
ロシアは、同船をめぐる状況を「懸念をもって監視している」と述べた。
アメリカの当局者2人は6日、CBSニュースに対し、米軍が「マリネラ」への乗船を計画しており、政府はこの船を沈没させるより拿捕を望んでいると語った。
米南方軍司令部はこの日、ソーシャルメディアで、「この地域を通過する制裁対象の船舶や関係者に対抗するため、米政府機関のパートナーを支援する準備を維持している」と説明。
「我々の海上部隊は警戒し、機敏で、関心のある船舶を追跡する態勢を整えている。要請があれば、我々はそこにいる」とした。
「マリネラ」は6日夜の時点で、スコットランドとアイスランドの間にいるとみられるが、距離と天候が乗船を困難にしている。
米軍はイギリスから作戦を実施する態勢で、トランプ政権は開始前にイギリスに通知するとみられる。
英国防省は現時点で、他国の軍事活動についてコメントしないとしている。
CBSが引用した米当局者は、アメリカが今回、先月実施した作戦と同様の行動を取る可能性を示唆した。この作戦では、米海兵隊と特殊作戦部隊が沿岸警備隊と協力し、ヴェネズエラの港を出たガイアナ船籍の大型原油タンカー「スキッパー」を拿捕した。

船舶自動識別装置(AIS)を使ったタンカーの追跡データは、偽装や改竄(かいざん)が可能だが、「マリネラ」が6日、ヨーロッパ大陸の西約2000キロ沖の北大西洋にいたことを示唆している。
国際法上では、国旗を掲げる船舶はその国の保護下にある。しかし、海事情報会社クプラーでリスク・コンプライアンス上級アナリストを務めるディミトリス・アンパジディス氏はBBCヴェリファイ(検証チーム)に対し、船名や船籍を変更しても大きな意味はないと語った。
「アメリカの行動は、船の基本的な識別情報(IMO番号)、所有・管理ネットワーク、制裁履歴に基づいており、塗装された標識や旗の主張によるものではない」と同氏は述べた。
アンバジディス氏は、ロシア船籍への変更は「外交的摩擦」を引き起こす可能性があるが、アメリカの執行措置を止めることはないと付け加えた。
ロシア外務省は、「現在、我々の船舶はロシア連邦の国旗の下で北大西洋の公海を航行しており、国際海事法の規範を完全に順守している」と述べた。
「理由は不明だが、このロシアの船舶は平和的な状態にもかかわらず、米軍およびNATO(北大西洋条約機構)軍から、過剰で明らかに不均衡な注目を受けている」
「公海上の航行の自由を守ると宣言する西側諸国が、この原則を自ら順守し始めることを期待する」
原油タンカーをめぐる対立の可能性は、アメリカがヴェネズエラの首都カラカスを攻撃し、マドゥロ氏夫妻を拘束して世界を驚かせた数日後に浮上した。アメリカは、兵器や麻薬取引の容疑で2人を移送する作戦中、市内の標的を攻撃した。












