イギリス政府、アンドリュー元王子を王位継承権の順位から外す法案を検討

黒い鉄格子の門を背に、白いリボンや金色の飾りなどがついた紺色のマントを着たアンドリュー王子(当時)が横を見ている

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画像説明, 2023年5月の兄チャールズ国王の戴冠式で、ガーター勲章の礼服を着ていたアンドリュー元王子
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リチャード・ウィーラー政治記者、ニック・アードリー政治担当編集委員

イギリス王室のアンドリュー・マウントバッテン=ウィンザー元王子が公務中の不正行為の疑いで19日朝に逮捕された事態を受け、王位継承順位8位の元王子を順位から外すための法案提出をイギリス政府が検討していることが明らかになった。元王子は同日夜に釈放されたが、捜査は続いている。

ルーク・ポラード国防担当閣外相は20日、BBCに対し、この措置は警察の捜査結果がどうなるかにかかわらず、「正しい対応」だと述べた。王位継承順位から外されれば、元王子が国王になる可能性はなくなる。

ポラード氏はBBCのラジオ番組で、元王子が「王座から、心臓の鼓動一拍分しか離れていない」状態になる可能性を排除するため、政府としては「もちろん」、王室の公務を管理するバッキンガム宮殿と連携していると認めた。

閣外相は、この措置が「各党の支持を得られることを願っているが、警察の捜査が終わった時に限ってとられるべきものだ」とも述べた。

アンドリュー元王子はチャールズ国王の弟。アメリカで性犯罪で有罪とされた富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)との交友を、かねて問題視されてきた。昨年10月には「王子」を含む称号や爵位を剥奪されたものの、今もなお王位継承順位は8位。国王の長男ウィリアム皇太子とその子供3人、国王の次男サセックス公爵ハリー王子とその子供2人に続いて、王位継承権がある。

元王子は19日朝に、イングランド東部ノーフォークにある王邸サンドリンガムの敷地内で、公務中の不正行為の疑いで逮捕された。11時間後に釈放されたが、捜査は続いている。元王子は一貫して不正行為を強く否定している。

王位継承順位に関する政府の姿勢が明らかになるより先に、野党・自由民主党や野党・スコットランド国民党(SNP)の議員を含め、一部の議員が元王子を王位継承順位から外す立法措置を支持していた。

他方、与党・労働党の中で王室に批判的な一部の議員の間では、元王子が実際に王位に近づく可能性があまりに低いことを理由に、立法措置が必要か疑問視する声も出ている。

首相官邸は昨年10月の時点で、王位継承順位を変更する法律を提出する予定はないと述べていた。

王位継承順位の変更には、議会が法律を制定する必要がある。下院と上院の可決を経て、国王からの裁可を受けて法律として発効することになる。

イギリス議会に加え、チャールズ3世が元首を務める英連邦の14カ国(カナダ、オーストラリア、ジャマイカ、ニュージーランドなど)の承認も必要となる。

王位継承順位が議会の立法で変更されたのは2013年が最後で、その際には、カトリック教徒と結婚したことを理由に除外されていた人たちの王位継承権が認められた。立法で王位継承順位から誰かが外されたのは1936年が最後で、エドワード8世の退位に伴い、本人と子孫が継承順位から外された。

野党・自由民主党のエド・デイヴィー党首は、警察が「恐れも偏りもなく、職務を遂行できる状態でなくてはならない」と述べた。

デイヴィー氏はさらに、「しかし明らかに、これは適切な時期に議会が検討しなくてはならない問題で、王室は当然ながら(元王子が)絶対に国王になれないようにしたいと考えるはずだ」と述べた。

最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、「公的な立場にある私たちは全員」、警察の捜査が進む間、見守る必要があると述べた。

SNPのスティーヴン・フリン英下院代表は、立法措置が必要となれば、アンドリュー元王子を王位継承順位から外すことを支持すると述べた。

労働党のレイチェル・マスケル議員も、この措置を支持し、「私はアンドリューを王位継承順位から外す法案を支持するし、国務参事官から外すことも支持する」と述べた。国務参事官(Counsellor of State)とは、君主が病気や国外滞在中のため公務を行えない場合に、公務を代行する。現在は法律によって、君主の配偶者と、王位継承順位が高い4人の21歳以上の成人と定められている。

この規定ではアンドリュー元王子が4人に含まれるが、実際には、公務に就いている王族のみが対象とされている。

イギリス下院図書館によると、元王子を王位継承順位から外せば、国務参事官の役割も自動的に剥奪される。

元王子は2019年、エプスティーン元被告との関係について語ったBBC番組「ニューズナイト」のインタビューに対する世論の反発が高まった中で、公務から退いた

20日には、イングランド南部にあるウィンザー城敷地内の邸宅ロイヤル・ロッジに、ナンバープレートの付いていないパトカーやバンが出入りする様子が確認された。計30室のロイヤル・ロッジは、今月初めまで元王子の長年の居宅だった。

この日は一時的に、車両20台以上が敷地内に駐車していたが、そのすべてが捜査や捜索に関係しているかどうかは分かっていない。

元王子を逮捕したテムズ・ヴァレー警察は、ロイヤル・ロッジの捜索を23日まで続ける方針だと、BBCの取材で分かった。