トランプ氏による「ボイス・オブ・アメリカ」解体の試み、米連邦地裁が違法と判断

画像提供, Getty Images
アメリカの連邦政府が出資する「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」などの報道メディアの縮小をドナルド・トランプ大統領が命じたことをめぐり、首都ワシントンの連邦地裁は22日、それらのメディアを解体させる取り組みは法律および憲法に違反しているとし、すべての雇用と助成金の回復をトランプ政権に命じた。
VOAでは、トランプ氏の先月の縮小命令を受け、ジャーナリスト約1000人を含む1300人以上が休職とされた。
ホワイトハウスはVOAを「反トランプ」で「過激」だと非難している。VOAは第2次世界大戦中にナチス・ドイツのプロパガンダに対抗するために設立され、世界的な放送メディアになった。現在もラジオを主体に番組を流している。
今回の判決でロイス・ランバース判事は、トランプ政権による縮小によって、「VOAは80年の歴史において初めてニュースを伝えていない」と指摘。政権が「従業員、契約スタッフ、ジャーナリスト、世界中のニュースの受け手に及ぼす損害を顧みず」行動したとした。
その上で、トランプ政権に対し、従業員や契約スタッフを仕事に戻すために措置を取るよう命じた。また、「ラジオ・フリー・アジア」と「中東放送ネットワーク」に関しても、同様の対応を政権に命じた。
判事はさらに、トランプ政権について、国際放送法に違反し、連邦助成金を割り振る議会の権限を侵害している可能性が高いと判断。同政権にはVOAを閉鎖する権限がないとし、「被告の今回の行動ほど、恣意(しい)的で気まぐれな行動を端的に示すものは考えにくい」とした。
「口封じと闘い続ける」
今回の訴訟の主な原告の1人で、VOAのホワイトハウス支局長のパッツィ・ウィダクスワラ氏は、「この判決に同僚と私は感謝している。ただ、政府は控訴するだろうし、これは前進のほんの一歩だと理解している」とコメント。
「私たちは、政権によるVOAに対する違法な口封じと闘い続ける。事実に基づく、バランスの取れた、包括的な報道でアメリカの物語を伝えるという、議会が私たちに与えた使命に立ち戻るまでは」とした。
トランプ氏は1月に大統領に就任すると、政治的盟友のキャリ・レイク氏にVOAの運営を任せた。レイク氏は、2020年大統領選挙で勝利を盗まれたというトランプ氏の誤った主張を支持してきた。
3月になってトランプ氏は、VOAの上部組織で、「ラジオ・フリー・ヨーロッパ」や「ラジオ・フリー・アジア」などの放送局に資金を提供している「米グローバルメディア局(USAGM)」を、「関連法と矛盾しない最大限の範囲で廃止」するよう命じた。
ジャーナリスト、権利擁護団体、労働組合などは、この動きを違法だとして提訴。今回の判事とは別のニューヨークの判事も、大統領令を一時的に差し止めた。
USAGMとホワイトハウスは、コメントの求めにすぐには応じなかった。






