イギリス南東部でモスク放火、容疑者の画像を警察が公開

警察が公開した容疑者2人の画像。1人は白いロゴが入った特徴的な黒いジャケット姿。もう1人は鮮やかな赤色の手袋をはめている。2人とも黒い布のようなもので顔を覆っている

画像提供, Sussex Police

画像説明, 警察が公開した容疑者2人の画像。1人は白いロゴが入った特徴的な黒いジャケット姿。もう1人は鮮やかな赤色の手袋をはめている

イギリス南東部イースト・サセックス州にあるモスク(イスラム教の礼拝所)で4日夜、火災が起きた。警察は放火の疑いがあるとして捜査を進めており、5日に容疑者2人の画像を公開した。

現地の消防は4日午後9時50分ごろ、イースト・サセックス州ピースヘイヴンのフィリス・アベニュー沿いにあるモスクで火災が起きたとの通報を受けて出動した。

サセックス警察によると、負傷者はいないものの、建物の正面玄関と外に駐車されていた車両が損傷した。同警察は憎悪犯罪として捜査を進めている。

ギャヴィン・パッチ警部は、「多くの人に以前より安全ではないと感じさせる、恐ろしく、危険を顧みない攻撃だ」と述べた。

警察は5日、容疑者2人の画像を公開した。1人は胸元に「Pre London」という白いロゴが入った特徴的な黒いジャケットを着ている。

もう1人は鮮やかな赤色の手袋をはめている。

パッチ警部は、「我々は、生命を危険にさらす意図を持った放火事件とみており、事件の責任を負う人物の特定に向けて捜査を続けていく」と付け加えた。

事件を受け、現場周辺で警官の配備が強化された。警察は住民らに安心してもらえるよう、州内のほかの宗教施設で追加のパトロールを実施していると説明した。

モスクの外に黒く焼けた車が停まっている。モスクの階段はすすで黒くなり、手すりの一部が溶けて変形している

画像提供, Eddie Mitchell

画像説明, モスクのボランティアによると、2人の人物がモスクの玄関と外に停められていた車の近くに液体をまき、それに火をつけたという。画像はモスクの外に停められた車

BBCの取材に匿名を条件に応じたモスクのボランティアによると、2人の人物が正面玄関から侵入しようとしたが、鍵がかかっていたため入れなかった。その後、2人は玄関と、外に停められていた車の近くに液体をまき、それに火をつけたという。

「殺人になっていたかもしれない」とボランティアは述べ、モスク内から2人が脱出したと話した。

モスクの広報担当者は、「この憎しみに満ちた行為は、私たちのコミュニティーを代表するものではない」と述べ、分断を拒絶するよう呼びかけた。

「ピースヘイヴンはこれまでずっと、思いやりと敬意に満ちた場所だった」

広報担当者は、緊急サービスによる「迅速な対応」と、連帯の意を示してくれた全ての人への感謝を述べた。

「みなさんの支援は私たちを強くし、愛と理解が憎しみと分断に必ず打ち勝つということを思い出させてくれている」

シャバナ・マフムード内相はソーシャルメディアへの投稿で、「非常に憂慮すべき」攻撃だとし、国民に「団結」を呼びかけた。

「この国の最大の強みは、多様なコミュニティーから一つの国家を築き上げたその能力だ」と、内相は強調。

「イギリスのムスリム(イスラム教徒)に対する攻撃は、すべてのイギリス人と国そのものに対する攻撃だ」とした。

動画説明, オレンジ色の炎が上がるピースヘイヴンのモスクの動画

宗教施設への攻撃相次ぐ

イギリスでは、イングランド北部マンチェスターで2日に起きたシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)襲撃事件を受け、宗教施設の安全性への関心が再び高まっている。シナゴーグでの事件では、ユダヤ教徒2人が死亡した。

イギリス人でシリアにルーツがあるジハード・アル・シャミー容疑者(35)は、シナゴーグの外で射殺された。

ブライトン・アンド・ホーヴ・ムスリム・フォーラムのタリク・ユング議長は、マンチェスターとピースヘイヴンでの事件に誰もが「深い悲しみと衝撃を受けている」と語った。

議長は、ユダヤ教徒、キリスト教徒、ヒンドゥー教徒、イスラム教徒であるかに関係なく、礼拝者が危害を加えられることは「あってはならない」とした。

そして、「信仰の指導者や地域の人々が協力して、平和をもたらす努力をしてくれると願っている」と、BBCラジオ・サセックスに語った。

「それを大いに必要としている今こそ、私たちは互いに支え合うべきだ」

白いモスクの入り口前に焼けた車が停まっている。周囲には警察の規制線が張られ、警官が立っている

画像提供, Eddie Mitchell

画像説明, 火災があったモスクと焼けた車(中央)。ブライトン・ケンプタウン・アンド・ピースヘイヴン選出の労働党議員クリス・ウォード氏は、モスク攻撃を非難した

反人種差別団体「ブライトン・アンド・ホーヴ・スタンド・アップ・トゥ・レイシズム」は、今回の事件は「突然起きたもの」ではないと指摘する。

「何週間にもわたり、人種差別主義者やファシストの集団が(中略)サセックスの南部沿岸地域で旗を振り、人種差別的な落書きをするなどして、黒人やアジア系に対する憎悪と脅迫の雰囲気をあおっている」

ブライトン・ケンプタウン・アンド・ピースヘイヴン選出の労働党議員クリス・ウォード氏は、「非常に不快」だとモスク攻撃を非難した。

「負傷者が出なかったのは、ただの偶然だ」

「私たちの平和的で寛容な地元コミュニティーに、このような暴力と憎しみが入り込む余地はない。私たちはこれらを根絶し、影響を受けた全ての人に連帯する」

ルイス地区評議会を率いるゾーイ・ニコルソン氏は、ピースヘイヴンのムスリム住民は地元自治体から「揺るぎない支援と連帯」を得ていると述べた。

「私たちはあなた方と協力し合い、抵抗する。そのことに、疑いの余地はない」