韓国、授業中のスマホ使用を法律で禁止 来年度から全国の学校で
イ・スンウク記者(BBCコリア語、ソウル)、ファン・ワン記者(BBCニュース、シンガポール)

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韓国の国会は27日、学校の授業中に携帯電話やスマート機器を使用することを禁止する法案を可決した。出席議員163人のうち115人が賛成票を投じた。青少年のスマートフォン依存が深刻な社会問題として浮上する中、韓国は子どもや若者の携帯端末使用を制限する最新の国となった。
この法律は、2026年3月から始まる新学期より施行される予定で、スマートフォン依存の有害性を示す研究が増加する中、超党派の取り組みによって成立した。
議員や保護者、教育関係者らは、スマートフォンの使用が子どもの学業成績に悪影響を及ぼし、学習に充てるべき時間を奪っていると主張している。
一方で、この禁止措置には懐疑的な声もあり、生徒らの間でも、その実効性や広範な影響、依存の根本的な原因に対処しているかなどをめぐって疑問の声が出ている。
韓国の多くの学校は、すでに何らかの形でスマートフォンの使用を制限している。同様の取り組みは、他の国でもみられる。
フィンランドやフランスでは、低年齢の子どもの学校に限定して携帯電話の使用を禁止している。一方、イタリア、オランダ、中国などでは、すべての学校で使用制限を導入している。
韓国は、こうした規制を法律として制定した数少ない国の一つとなった。
ソウル在住で14歳の子どもを持つ保護者チェ・ウンヨンさんは、「最近の子どもたちはスマートフォンを手放すことができないように見える」と語った。
しかし、問題は子どもたちだけではない。韓国政府の2024年の調査によれば、同国の人口5100万人のうち、約4分の1がスマートフォンに過度に依存しているとされる。特に10歳から19歳の若年層では、その割合が43%に達しており、年々増加傾向にあるという。
また、10代の3分の1以上が、ソーシャルメディア上の動画をスクロールする時間を自制できないと回答した。保護者の間では、こうした行動が子どもたちの生活全般に悪影響を及ぼしているとの懸念が広がっている。
前出のチェさんは、「学校に行くのは勉強するためだけでなく、友人関係を築いたり、さまざまな活動に参加したりするためでもある。しかし、そうしたことに集中できていない」と語った。
「友達と話している最中でもすぐにスマートフォンに戻ってしまい、当然ながら学習にも支障が出ている」
小学生の娘を2人持つキム・ソンさんは、ソーシャルメディア上でのいじめにも懸念を示し、「子どもたちは信じられないほど過激な言葉」を互いに投げつけていると語った。

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今回の法案を提出した野党「国民の力」所属のチョ・ジョンフン議員は、他国が同様の措置を講じていることに後押しされ、行動に踏み切ったと述べた。チョ議員は、スマートフォン依存が「生徒の脳の発達や情緒的成長に極めて有害な影響を及ぼす」という、「科学的・医学的に重要な証拠が存在する」と強調した。
この法律は授業中の使用を禁止するものだが、教員には校内でのスマートフォン使用を制止する権限を与える。また、学校にはスマート機器の適切な使用方法について生徒に教育することが求められている。
一部には例外も認められている。障害や特別な教育的支援が必要な生徒には、補助機器の使用が許可されるほか、教育目的や緊急対応での使用も認められている。
しかし、教員の間ではこの禁止措置に対する意見が分かれている。国内の二つの主要教員団体のうち、保守系の韓国教職員連合会のみが法案を支持しており、「教室内でのスマートフォン制限に対して、より強固な法的根拠を提供する」と評価している。
同団体の広報担当者は、内部調査では約70%の教員がスマートフォン使用による授業妨害を経験していると指摘。中には「(教員が携帯電話の使用を制限した際に)感情を制御できず、暴言を吐いたり、教員に暴力を振るったりする生徒もいる」と述べた。
他方、韓国教職員労働組合は、授業中のスマートフォン使用を禁止する新法に対して公式な立場を示していない。一部の組合員からは、同法が生徒のスマートフォンへのアクセス権を侵害する可能性があるとの懸念が寄せられているという。
高校教員のチョ・ヨンソンさんは、「現在の現実では、生徒たちは塾以外で友人と会う場所がなく、カカオトークやインスタグラムといったアプリを通じてしか交流できないし、学校では常に競争にさらされている」と話す。チョさんは、この法案がスマートフォンそのものを標的にしており、生徒が直面している本質的な課題、すなわち、韓国の過酷な大学入試制度には目を向けていないと指摘している。

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「スヌン(修能、大学修学能力試験の略)」として知られる韓国の大学入試は、試験が8時間にわたって連続で実施され、多くの韓国人が「人生を左右する」と考えている。試験の得点は、大学に進学できるかどうかや、進学先の大学のランクを決定する要因となり、それが将来的な就職や収入にも影響を及ぼす。
韓国の子どもたちは、学校に入った初日からこの試験に向けた準備を始める。BBCの取材に応じた13歳の男子生徒は、スマートフォンに依存する時間などないと語り、放課後の塾や宿題によって毎晩深夜まで起きていると明かした。
高校3年生のソ・ミンジュンさんは、スマートフォン禁止に反対する立場から、「単にスマートフォンを取り上げるのではなく、まずはそれなしで何ができるかを教えるべきだ」と述べた。
ソさんはまた、「授業中だけスマートフォンを禁止しても意味はない。通学中や夜寝る前には結局使ってしまう」と指摘し、「健全な使い方についての教育はなく、ただ没収されるだけだ」と批判した。









