猛暑から逃れる「気候シェルター」、全国規模で展開 スペイン首相が構想発表

サングラスをかけ、半袖Tシャツを着た男女が、水道の水をウォーターボトルに入れている。背後には木々や青い空、スペインのサグラダ・ファミリア教会が見える

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画像説明, スペインでは今夏、例年よりも暑い日が続き、降雨量も少なかった。画像はバルセロナのサグラダ・ファミリア教会前でウォーターボトルを持つ人

スペインのペドロ・サンチェス首相は17日、夏の猛烈な暑さから国民らを守るため、公共施設を使った気候シェルターの全国ネットワークを構築する方針を発表した。

サンチェス首相は、首都マドリードで開かれた会議で、気候変動の影響に対処するための計画を提示した際に、この構想について明らかにした。

「壊滅的な干ばつや熱波はもはや、めずらしい現象ではない。夏の間に、複数の熱波が襲うのではなく、6月から8月まで続く長期的な熱波に直面することもある。これが今の新常態だ」と、サンチェス氏は述べた。

スペインは今年、3度の熱波に見舞われ、史上最も暑い夏を経験した。スペイン国立気象庁(AEMET)によると、8月には16日間にわたる熱波の影響で、気温が摂氏45度を超えた。

サンチェス氏は、全国規模のシェルター・ネットワークの一環として、誰もが利用できる涼しい空間を設置すると説明。

シェルターは「最も必要とされる地域、つまり、人々が最も暑さに苦しむ地域」に政府の資金で設置されると付け加えた。

こうしたシェルターは、カタルーニャやバスク、ムルシアなどの州政府が構築している既存ネットワークに追加されるかたちで展開される。

カタルーニャ州の州都バルセロナではすでに、図書館や博物館、スポーツ施設、ショッピングモールなどの建物に約400カ所の気候シェルターが設けられている。

空調設備のある空間には通常、椅子や無料の水が用意されている。特に健康問題を抱える人や高齢者、乳児、リソースに限りがある人々に、暑さから逃れられる場所を提供することを目的としている。

図書館の広い空間に、赤い1人掛けの椅子が12脚、円形に並んでいる。半袖Tシャツやノースリーブの服を着た人たちが椅子に座ったり、本を読んだりしている。部屋の奥には複数の本棚が並んでいる

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画像説明, バルセロナではすでに、空調設備のある公共施設内に気候シェルターを設けるネットワークが構築されている

サンチェス氏は、国家的な気候変動対策の一環として、小規模な町での洪水防止計画に政府が資金を拠出するとも発表。また、小規模な町での火災防止計画には2000万ユーロ(約366億円)を割り当てるとした。

この一連の案は、議会下院にはまだ提出されていない。サンチェス氏は、これは「選挙の武器ではなく(中略)スペインを守る盾だ」と述べ、野党に計画への協力を呼びかけた。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、熱波は、人為的な気候変動によってその頻度や激しさが増している。

スペインでは今夏の猛烈な暑さに関連して3800人以上が死亡したことが、同国保健省の推計で示されている。昨年より88%増加したことになる。

同国は今年、壊滅的な山火事にも見舞われ、40万ヘクタール以上が焼失した。