新教皇「二度と戦争のないように」と訴え ウクライナやガザ、印パにも言及

白い法衣を着た教皇が両手を合わせて目を閉じ祈っている

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画像説明, 聖ペトロ広場に面したバルコニーで祈りを捧げる新教皇レオ14世

キリスト教カトリック教会の教皇レオ14世は11日、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ・ガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦争、インドとパキスタンの紛争激化などに言及し、世界の指導者たちに向けて「決して二度と戦争のないように」と訴えた。

レオ14世は、前任の教皇フランシスコの死去を受けた教皇選挙(コンクラーヴェ)を経て、8日にカトリック教会の新たな指導者に選出されたばかり。この日は選出後初めての「正午の祈りの集い」を行った。

教皇はその中で、現在進行中の複数の紛争に言及。ウクライナ戦争における「持続的な平和」とガザ地区での即時停戦を呼びかけたほか、インドとパキスタンが前日に、直近の敵対行為終結に関する合意に至ったことを歓迎した。

レオ14世は3年前の司教時代、ロシアのウクライナ全面侵攻を「帝国主義的な戦争」と非難。ウクライナで人道に対する罪が行われていると、強く糾弾していた。

しかし11日には、前教皇にならい、平和を呼びかけるにとどまった。

教皇は聖ペトロ大聖堂の中央バルコニーから群衆に向けて、「世界中の権力者に申し上げたい。『決して二度と戦争のないように』という、どの時代にも常に重要なこの呼びかけを繰り返したい」と語りかけた。

また、「第2次世界大戦という巨大な悲劇が終わってから80年がたったが、私たちは今、『細切れの第3次世界大戦』という悲劇に直面している」と述べた。

聖ペトロ広場に集まった群衆の中で、アフリカ系の女性が聖母マリア像を掲げている。背後では葉人女性がウクライナの旗を掲げている。

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画像説明, 新教皇初の「日曜の正午の祈り」に多くの人が集まった

「愛するウクライナの人々の苦しみを、私は心に抱き続けている」と教皇は言い、「本物で正当で永続的な平和を、できるだけ早く実現できるよう、できる限りの努力がされるように。すべての捕虜が加俸されるように。子どもたちが家族のもとへの帰れるように」と訴えた。

さらに、「ガザ地区で起きていることに、深く心を痛めている」と述べ、「即時の停戦が実現し、民間人への人道支援が許され、すべての人質が解放されることを願う」と呼びかけた。

一方で、インドとパキスタンの間で停戦が成立したことについては、「うれしい知らせだった」と述べ、「今後の交渉を通じて、恒久的な合意に至ることを願っている」と期待を示した。

集いの最後には、聖ペトロ広場に集まった信徒と共に、聖母マリアをたたえる「レジナ・チェリの祈り(アレルヤの祈り)」を唱えた。

ロシアのウクライナ侵攻は3年目に入り、戦争終結への道筋は依然として不透明だ。最近では、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、それぞれ異なる和平案を提示している。

中東では、イスラエルが2カ月間続いた停戦と人質交換合意の崩壊を受け、軍事作戦を再開している。また、ガザ地区への人道支援を全面的に遮断している。

南アジアでは、4月22日にインドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方パハルガムで発生した武装勢力による攻撃をきっかけに、両国が数日間にわたって越境攻撃を行っていたが、11日に暫定的な停戦が成立した。

教皇名に「レオ」を選んだ理由

選出直後の教皇レオ14世にとって、多忙な1週間だった。

9日にはシスティーナ礼拝堂で初のミサを執り行い、10日には枢機卿団に向けて演説を行った。また、伊ローマ郊外の聖地を訪問し、その後、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂内にあるフランシスコ前教皇の墓前で祈りを捧げた。

枢機卿団との会合で教皇は、自らを「ふさわしくない後継者」と表現しつつも、前教皇が築いた「貴重な遺産」を継承していく決意を示した。

また、宣教活動と対話の重要性を強調し、社会の中で「弱者やのけ者にされた人」への配慮を、教会の使命として掲げた。

教皇名に「レオ」を選んだ理由については、産業革命時代の教皇レオ13世に敬意を表したもので、同教皇が回勅「レールム・ノヴァルム」で当時の社会問題に答えたからだと説明。その上で、人工知能(AI)などの技術革新が進む現代では、教会は人間の尊厳と正義を守るために必要な存在だと話した。

レオ14世の正式な就任ミサは、5月18日に聖ペトロ広場で執り行われる予定となっている。

この就任ミサに先駆け、12日には報道関係者との会見を行う予定。就任ミサでは、各国の元首や要人が列席する中で説教を行う見通しだ。

ラテン語でフランシスコと書かれた白い墓石の前で祈る教皇。墓石の上には白いバラが2輪、供えられている。教皇は白い法衣を着ている

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画像説明, 前教皇フランシスコの墓前で祈る新教皇レオ14世

カトリック教会においてローマ教皇は、キリスト教の聖人でキリストの最初の弟子の一人だったとされる使徒ペトロの、生きた後継者という位置づけ。レオ14世はのその座を継ぐ第267代教皇となり、世界で14億人の信徒を擁するカトリック教会の指導者として、グローバルな共同体を導くことになる。

本名ロバート・フランシス・プレヴォスト氏は、米シカゴ生まれ。長年にわたりペルーで宣教師として活動し、2023年に同国で大司教に任命された。

アメリカ出身の教皇は史上初だが、プレヴォスト氏はペルー国籍も所有しているため、ローマ教皇庁(ヴァチカン)はレオ14世を、アルゼンチン出身の前教皇フランシスコに続く、米大陸出身の2人目の教皇と位置づけている。

レオ14世は、前任者の死去を受けて選出された「継続」と「一致」の象徴として広く受け止められており、移民や貧困層、環境問題に関する姿勢も前教皇と共通しているとされる。

就任直後の演説では、「一致した教会として皆さんと共に歩み、常に平和と正義を求めたい」と群衆に語りかけた。