ペロシ元米下院議長が引退を表明、20年にわたり下院で民主党を率いる

青いスーツにパールのネックレスとイヤリングを着けたペロシ氏。背後にはアメリカ国旗が立てられている。

画像提供, Reuters

リリー・ジャマリ記者(サンフランシスコ)、イーファ・ウォルシュ記者(首都ワシントン)

米政界で最も影響力のある人物の一人である民主党のナンシー・ペロシ元下院議長(85)は6日、数十年にわたるキャリアに終止符を打ち、政界を引退する意向を発表した。

カリフォルニア州選出のペロシ氏は動画メッセージの中で、下院議員としての任期が終了する2027年1月以降、再選を目指さないと述べた。

これにより、ペロシ氏の波乱に満ちた政治人生が幕を閉じることになる。ペロシ氏は2003年から2023年まで連邦議会下院で民主党を率い、女性として初めて下院議長に選出された。

「私たちは歴史を刻み、進歩を遂げてきた」と、ペロシ氏はメッセージの中で語った。

「私たちは常に道を切り開いてきた。そして今、私たちは民主主義に全力で参加し続け、大切なアメリカの理想のために闘うことで、その道を引き継がなければならない」とペロシ氏は述べた。

「前進するために、私が愛する都市にメッセージを送ります。サンフランシスコ、自分たちの力を知りなさい」

ペロシ氏は1987年、47歳でサンフランシスコ選挙区から連邦下院議員に初当選し、急速に党内で頭角を現した。

2007年には民主党からの選出により下院議長に就任し、女性として初めてその職に就いた。2011年に民主党が下院の過半数議席を失うまで議長を務めた後、2019年から2023年まで再び務めた。

合衆国憲法に明記されている唯一の連邦議会職である下院議長は、副大統領に次ぎ、大統領職の継承順位第2位に位置づけられている。

トランプ氏の2度の弾劾訴追を主導

ペロシ氏は下院議長時代、連邦議会で複数の大統領の政策を推進または阻止する上で重要な役割を果たしてきた。

バラク・オバマ元大統領の看板政策だった医療保険制度改革法(オバマケア)の成立を主導したことや、ジョー・バイデン前大統領の政権下でインフラ整備や気候変動対策に関する法案を推進したことが広く評価されている。

一方で、ドナルド・トランプ大統領の1期目では直接的な対立姿勢を示し、トランプ氏の一般教書演説の原稿を同氏の背後で破り捨てたことは広く知られている

その頃には、ペロシ氏は共和党の怒りの的となっていた。共和党側からは、巨額の支出を伴う急進的な政策を推し進める沿岸部のエリート層の象徴と見なされていた。

ペロシ氏はトランプ氏に対する2度の弾劾訴追を主導した。1度目は2019年、権力乱用に関するもので、トランプ氏がウクライナに対し、バイデン氏に不利な情報を求め、その見返りとして軍事支援を行おうとした疑いが持たれた。トランプ氏はその後、共和党が多数を占める上院で無罪となった

2度目は2021年で、トランプ氏はこの時、同年1月6日の連邦議会議事堂襲撃に際し、「反乱を扇動」したとして訴追された。この弾劾も最終的には失敗に終わり、トランプ氏は再び無罪となった

動画説明, 口論し、原稿を破り、「国内の敵」と……引退表明のペロシ氏とトランプ氏の確執

「引退してうれしい」とトランプ氏

トランプ大統領は6日、ペロシ氏の引退について問われると、同氏を「邪悪な女性だ」と非難した。

トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、「彼女が引退してうれしい。彼女は引退することで国に大きな貢献をしたと思う」、「彼女は国にとって非常に大きな負担だったと思う」と語った。

トランプ氏の1期目終了後、ペロシ氏はバイデン氏と連携し、民主党の立法課題の多くを下院で推進した。

民主党は下院で議席数がわずかしか優勢でない状況にもかかわらず、2年足らずの間に、新型コロナウイルス対策の救済法案、超党派によるインフラ投資法案、数兆ドル規模の環境・社会支出プログラム、同性婚を保護する法案などを可決させた。

ペロシ氏は2022年、ハキーム・ジェフリーズ下院議員(ニューヨーク州)に下院院内総務の座を引き継ぎ、党指導部から引退した。

下院議長職を退いた後も、ペロシ氏は依然として政界において大きな影響力を持ち続けてきた。最近では、2026年の中間選挙で民主党が下院の5議席を奪還することを目指すカリフォルニア州の選挙区再編案の成立に向け、重要な役割を果たした。