欧州は防衛のアメリカ依存をやめ、緊急に行動すべき EU外務トップが訴える

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欧州連合(EU)のカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)は28日、アメリカが米欧関係を根底から揺るがしているとし、欧州各国は早急に防衛力を向上させ、北大西洋条約機構(NATO)を「その強さを維持するため、より欧州的に」しなければならないと訴えた。
カラス氏はこの日、ブリュッセルで開かれた防衛会議で演説。アメリカは今後もヨーロッパにとってパートナーであり同盟国であり続けるだろうが、「生存を外部委託して生き残った」大国はないと述べ、アメリカ頼みに対して警告を発した。
この発言の背景には、NATOのマルク・ルッテ事務総長が、アメリカ抜きで自国を守れると欧州諸国が考えるなら、それらの国々の議員らは「夢を見続ける」のと同じだと発言し、反発を招いたことがある。
この発言に対しては、フランスのジャン=ノエル・バロ外相が27日、「欧州人は自分たちの安全保障を管理できるし、しなければならない。アメリカでさえ同意している。それがNATOのヨーロッパの柱だ」と述べていた。
ヨーロッパとアメリカの間では、ドナルド・トランプ米大統領がデンマーク自治領グリーンランドを手に入れると脅したことで、緊張が一気に高まっている。トランプ氏はその後、追加関税の脅しを取り下げ、取引の可能性を探るとしているが、詳細は明らかになっていない。
カラス氏はこの日の演説で、トランプ政権下のアメリカにとって、ヨーロッパは「もはや主要な重心ではない」と強調。ヨーロッパを国の集合体として考えるのではなく、欧州人として共同で行動する方向に、文化を変える必要があると述べた。
また、アメリカのヨーロッパ離れは「すでにしばらく進行している」とし、一時的なものではなく構造的なものだと付け加えた。
欧州単独で防衛なら防衛費10%必要と
NATO加盟国は昨年、トランプ氏の圧力の下、2035年までに防衛費を国内総生産(GDP)の5%に引き上げることを約束した。ただ、その一部は自国のインフラ整備に充てられる可能性がある。
ルッテ事務総長は26日の欧州議会で、ヨーロッパが防衛を本当に「単独でやっていく」つもりなら、防衛費をGDPの10%にし、独自の核戦力をもつ必要があると述べた。
そして、アメリカから離れることは、「アメリカの核の傘という究極の自由の保証を失う」ことになるとした。
1949年に米ワシントンで創設されたNATOは、当時の主な目的として、敵対するソヴィエト連邦(1991年に崩壊)の脅威を前に、加盟国の安全と自由を守ることを掲げていた。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、NATOが東へと拡大し、ロシアの安全保障の脅威になっていると長年、非難してきた。そして、2022年にロシアがウクライナに本格侵攻したのは、そのことへの対応だと主張している。
ウクライナ侵攻以降、ロシアが好戦姿勢を強めていることを受け、スウェーデンとフィンランドのEU加盟2国が新たにNATOに加わった。
ロシアは、ウクライナでの戦争をめぐる将来の和平協定では、同国がNATOに加盟しないと規定することを求めている。
ウクライナは、EUとNATOに加盟することを憲法で定めている。ただ、同国がすぐにNATOに加盟する可能性は低いとみられている。










