スターマー氏、英首相として8年ぶり中国訪問 国益にかなうと主張

スターマー氏が飛行機から降りたところで、白い襟付きの赤い衣装を着た人から花束を受け取っている。近くには中国政府関係者らが笑顔で立っている

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画像説明, 北京に到着したスターマー氏は中国政府関係者らに出迎えられた(28日)

イギリスのキア・スターマー首相が28日、中国に到着した。英首相の訪中は8年ぶり。31日まで滞在の予定で、長年険悪な関係にあった両国の貿易と文化の結びつきを強めることを目指す。

スターマー氏は29日に習氏と会談する。今回の訪中については、イギリスに利益をもたらすものであり、世界2位の経済大国との「戦略的で一貫した関係」を維持することが重要だと述べている。

北京の空港に到着したスターマー氏は、中国政府高官の代表団に迎えられ、花束を贈られた。北京の天安門広場には英国旗が翻っていた。

スターマー氏は、同行中の英ビジネスリーダーら60人を前に、「この代表団は歴史を作っている。あなたたちは、私たちがもたらそうとしている変化の一部だ」と述べた。

また、「私たちは確固として目を外に向け、チャンスを逃さず、関係を築く。(中略)そして常に国益を重視している」と話した。

スターマー氏は、中国の指導者らとどのような話をするのかは明らかにしなかった。同行の記者団には、「過去、私が行ったすべての渡航において、私は常に提起すべき問題を提起してきた。だが、その機会を得るまでは、具体的な問題について先走って述べることはしたくない」と述べた。

また、「中国と関わる理由の一部には、意見が一致しない問題を議論し、一致する問題については進展させるということがある。それが私たちのアプローチだ」と述べた。

英首相の訪中は、2018年のテリーザ・メイ首相以来。スターマー氏は、アメリカのドナルド・トランプ大統領を味方につけたまま、中国との関係の修復を図りたい意向だ。

スターマー氏は、近年の米中2超大国間の貿易摩擦の高まりのなかで、イギリスは「どちらかを選ぶ」ことを強いられるものではないとの考えを強調している。

天安門のそばで、中国とイギリスの国旗がはためいている。国家主席だった毛沢東氏の肖像画が掲げられている

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画像説明, 北京の天安門広場では、イギリスと中国の国旗が並んで掲げられている

訪中への批判

英野党勢力は、中国がイギリスの安全保障にもたらすリスクや、習近平国家主席の体制下での中国の人権状況を理由に、スターマー氏の訪中を批判している。

中国は、北西部・新疆地区で暮らすウイグル族などイスラム教徒が大半を占める民族に対し、人道に対する罪を犯したとして非難されている

また、香港の民主派メディアの有力者で、終身刑を受ける可能性がある黎智英(ジミー・ライ)氏への対応をめぐっても批判がある。

イギリスにおける中国のスパイ活動に関しても懸念が出ている。英情報局保安部(MI5)長官は最近、中国の工作員らがイギリスの安全保障を日常的に脅かしていると警告している。

英政府は今月20日、ロンドンに中国が「メガ大使館」を建設する計画を承認した。そのことも、スターマー氏の今回の訪中への批判を強めている。

最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、自分が首相だったら「現時点では」中国を訪問しないとし、次のように記者団に述べた。

「私たちがもっと話し合うべき相手は、私たちの国益と一致している国々であり、私たちの経済を弱体化させようとあらん限りのことをしている国ではない」

「首相が話すべきはそのことであり、彼は強さを示す必要がある。多くの人がスパイ拠点になると考えているスーパー大使館の承認ではない」

野党・自由民主党のデイジー・クーパー副党首も下院で、「中国政権はいまだに英市民のジミー・ライを拘置所で拘束している。中国政権はイギリスの街頭で民主化デモ参加者を懸賞金をかけて追い詰め続けている。そうしたなかで英首相は、うやうやしく中国に行き、中国政権が私たちに対するスパイ行為を続けるスーパー大使館を約束すると言って、貿易協定を求めている」と批判した。