トランプ米大統領、鉄鋼・アルミ25%関税に署名 免除措置廃止

画像提供, Reuters
ドナルド・トランプ米大統領は10日、アメリカが輸入する全ての鉄鋼・アルミニウムに対し、25%の関税をかける命令に署名した。これまで関税を減免してきた国々も「例外なく」対象にする方針。今後、自動車や医薬品、半導体などにも同様の措置を実施する可能性も示唆した。
トランプ氏は、アメリカからの輸入品に関税をかける諸国に「相互関税」をかける方針も示したが、対象国を示さなかった。免除があるのかどうかにも触れなかった。
トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室で記者団を前に、「私は本日、鉄鋼とアルミニウムに対するこの国の関税を簡素化する」、「例外も免除もなく25%だ」と述べ、命令書に署名した。
その上でトランプ氏は、記者団に対して、「これはすごいことだ」、「アメリカをまた金持ちにする、その始まりだ」と述べた。
「この国にとって、鉄とアルミはアメリカ国内で作られなくてはならない。外国ではなく」とトランプ氏は話した。
関税によってアメリカの消費者にとっての値段が上がるのではないかと記者団に質問されると、「究極的には安くなる」と答えた。
こうしたなか、オーストラリアのアルバニージー首相は、トランプ大統領との電話会談で、関税に関する懸念を提起し、オーストラリアが免除される可能性があることを示唆したと記者団に話した。
「アメリカ大統領は、両国の利益のため、免除を検討中だと同意した」と首相は述べた。
トランプ氏はオーストラリアへの免除措置について、「理由は、向こうが飛行機をたくさん買うからだ」、「(オーストラリアは)すこし遠くにあって、飛行機がたくさん必要なんだ」と述べたうえで、免除措置について「熟慮する」、とアンソニー・アルバニージー首相には伝えてあると記者団に話した。
トランプ氏は、今後さらに医薬品や半導体などについても関税を検討する可能性を示し、「この国の偉大な産業がアメリカに戻ってくるべき時だ(中略)たくさんそうなるし、これはその最初だ。ほかの項目や話題についても、そうしていく」と話した。
諸外国がアメリカに報復関税を課すのではないかと記者団が重ねて質問すると、トランプ氏は「かまわない」と繰り返した。
カナダ政財界、関税に反発

鉄鋼についても、カナダはアメリカにとって最大の輸入国。カナダの鉄鋼業界は、最も人口の多いオンタリオ州に集中している。
カナダの指導者たちは、トランプ前大統領の新しい関税計画を厳しく批判しており、これが国境を越えた両国の雇用に悪影響を及ぼすと述べている。
カナダ商工会議所のキャンダス・レイング会頭は、「今日のニュースは、不確実性が永続的に続くとはっきり示すものだ」と述べた。
「企業や投資家はすでに30日間の関税停止で不安定な状況にある。そして今回、アメリカとカナダの経済の成功に不可欠な鉄鋼とアルミニウム産業が真っ先に火中にくべられた」とレイング会頭は声明で述べた。
オンタリオ州のダグ・フォード州首相(保守党)は10日、関税がアメリカのビジネスに悪影響を及ぼし、「物価を引き上げ、アメリカの労働者の雇用を奪う」とソーシャルメディアに書いた。
「アメリカは負ける。カナダは負ける。中国が勝つ」と、州首相は指摘した。
カナダ連邦議会下院のコディ・ブロイス議員(自由党)はBBCに対して、トランプ大統領による鉄鋼とアルミニウムへの関税はカナダとアメリカの関係を「完全にひっくり返す」ものだと話した。
カナダは、世界で最も多くの鉄鋼とアルミニウムをアメリカに輸出している。
ノヴァスコシア州選出のブロイス議員は、BBC番組「ニューズアワー」に対し、トランプ氏がわずか数週間でアメリカとカナダの関係を「完全に変えた」と語った。
「後戻りできない」とブロイス議員は番組で話し、「私たちはアメリカとの強力な経済パートナーシップを維持したいと考えているが、私の選挙区の有権者は、カナダがこれまでより自給自足し、アメリカへの依存を減らすため、世界中の他の貿易相手を見つけることを期待している」と述べた。
アメリカで缶詰値上がりか
ニューヨークで取材するBBCのナタリー・シャーマン・ビジネス担当記者によると、鉄鋼関税の影響でアメリカ国内で缶詰が値上がりする可能性があると専門家は指摘している。
アメリカの代表的な缶メーカー業界団体「缶製造業協会」のロバート・バドウェイ会長は、食料品店での缶詰価格が上昇する可能性を指摘。アメリカで缶詰製造に使われる鉄鋼の約70%が、ドイツ、オランダ、カナダなどから輸入されているため。
バドウェイ会長は、トランプ氏が2018年に鉄鋼保護のために関税を発表してアメリカ国内内での生産が大幅に減少した結果、缶などに使われる鉄鋼の価格が高騰していると述べた。
これまで多くの缶製造業者は、鉄鋼メーカーの反対を押し切って関税からの除外を獲得してきた。これは国産の缶だけでは供給不足だと、アメリカ政府が認めたことによると、バドウェイ会長は説明する。
「大統領はこれらの関税が鉄鋼業界を保護していると信じているかもしれないが、アメリカの食料安全保障と缶詰食品の供給弾力性を確実に損なっている。アメリカ人は毎日、家族においしくて便利で適正価格の食事を出すために、アメリカ製の缶詰食品を頼りにしている」とバドウェイ氏は述べた。








