【解説】 トランプ氏の武器供与の約束、ウクライナには大きな一歩

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ポール・アダムス、BBC外交担当編集委員
アメリカのドナルド・トランプ大統領が14日、ホワイトハウス復帰後で初めて、ウクライナに新たな兵器を提供すると約束した。
新たな取り決めでは、アメリカが北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国に兵器を売り、加盟諸国は、ロシアの侵攻と戦うウクライナにそれを供与する。
トランプ氏は、「数十億ドル相当の軍事装備」が供与されると述べたが、詳細についてはあまり語らなかった。ただ、地対空ミサイルシステム「パトリオット」と迎撃ミサイルは含まれるのかと記者団に問われると、「すべてだ」と答えた。
また、ヨーロッパのある国はパトリオットを17基保有しており、「大部分」は近くウクライナに送られるだろうと述べた。
広大な国土を有するものの、現在はほんの数基、おそらく8基程度しかパトリオットを運用していないウクライナにとって、今回の供与計画は大きな前進だ。ロシアの弾道ミサイルや巡航ミサイルに対する守りを強化する機会を得ることになる。
ホワイトハウスでトランプ氏の隣に座ったマルク・ルッテNATO事務総長は、より大きなパッケージについてほのめかした。
「パトリオットより幅広い」、「ウクライナは、実に大量の軍備を入手できるようになる。防空だけでなく、ミサイルや弾薬なども」と、ルッテ氏は述べた。
これは重要な節目だ。
2週間ほど前、米国防総省がパトリオットを含む軍事物資をウクライナに送るのを停止したというニュースが流れると、ウクライナでは恐怖が広がった。
停止がどのように決定されたのかはいまだ不明だが、トランプ氏は14日、改めてこの発表は大したことではないとの印象を与えることに努め、今回の取り決めが結ばれるとわかった上での決定だったと述べた。
「こうなると確信していたので、少し停止したまでだ」とトランプ氏は言った。
曲折した交渉を経て、アメリカが費用を負担せずに、兵器がウクライナに流れ続けることになった。交渉の多くにルッテ氏が関わった。
トランプ氏は、「私たちは大金を手にすることになる」、「これ以上はやりたくない」と述べた。
今回の取り決めは、「トランプ氏のささやき役」とも呼ばれるルッテ氏にとって、個人的な勝利だ。ルッテ氏は、NATO加盟各国が防衛費を国内総生産(GDP)の5%に引き上げると公約するのを促進したなどとして、トランプ氏をほめたたえ、応援してきた。
ルッテ氏はこの日も、トランプ氏を持ち上げ続け、今回の取り決めを「本当に大きい」とした。そして、NATO加盟の欧州諸国が費用を負担するのは「完全に理にかなっている」と述べた。

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ロシアに関税で圧力
ルッテ氏は、イギリス、ドイツ、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、オランダなど、多くの国が参加の意向だと説明。「これは最初の波に過ぎない」、「まだ続くだろう」と述べた。
これとは別に、トランプ氏はこの日、新たな期限を示してロシアを脅すという、いかにも同氏らしい対応も見せた。プーチン氏が今後50日以内に停戦協定に合意しなければ、ロシアとその貿易相手国に100%の2次関税を課すという内容だった。
これは、ウクライナや米連邦議員らが以前から強く求めてきた斬新なアプローチだ。ロシアから石油やガスを買い続けている中国やインドなどの国々をターゲットにして、ロシアに圧力をかけるものだ。
米上院は現在、さらに厳しい制裁を科す法案の審議を続けている。
トランプ氏は、500%の2次関税を想定している上院の法案を「非常に良い」と述べた。だが同時に、「しばらくすると無意味になる。ある時点で重要でなくなるからだ」と付け加えた。
いつもどおり、トランプ氏の脅しの詳細はまだ不明瞭なままだ。
しかし、今後数週間から数カ月の間に何が起こるにせよ、14日の出来事はある種の転換点になると思われる。アメリカの大統領がようやく、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領への不可解な信頼から抜け出し、同時にプーチン氏に交渉のテーブルに着く時間も与えたのだ。
ウクライナを「必要な限り」支援するという、ジョー・バイデン前米大統領の約束に戻ったわけではないのは確かだ。だが、ウクライナと西側の支援国を激怒させてきた中立的なスタンスを表明したわけでもない。
トランプ氏は、アメリカからウクライナにつながる重要な兵器パイプラインを、他国が費用を負担する限りは、当面開通したままにすると保証したと見受けられる。
しかし、50日間というのは、ウクライナの人々には非常に長く感じるだろう。ほぼ毎晩、ドローンやミサイルの砲撃を受けているからだ。
トランプ氏がしたことは何も、この事態を直ちに収束させそうにはない。











